研究開発の試行錯誤プロセス短縮を図る 研究者の仮説をAIで数理モデルへ自動変換、「PhysiLenz」提供開始
量子コンピュータ関連ソフトウェアを開発する株式会社QunaSysは7月22日に、生成AIを活用して研究者の仮説を数理モデルへ自動変換するサービス「PhysiLenz(フィジレンズ)」の提供開始を発表した。
同社によると、研究開発の現場では、アイデアを素早く試すスピードが求められるが、「仮説の裏側にある現象の本質を理解し、知見として蓄積する余裕がない」との課題があるという。経験や勘に頼ったアプローチでは再現性が乏しく、実験計画を立てにくい。その一方で、データ駆動型の高度な計算モデルは“ブラックボックス化”しやすく、得られた結果の根拠が説明しにくいという課題もあるそうだ。
「PhysiLenz」は、研究者のひらめきや専門知識を生かしながら、仮説を数理モデルとして可視化し、そのモデルをもとに次の一手を定量的に導き出す環境を提供する、としている。
「PhysiLenz」の主な特長として挙げられているのは以下のポイント。
1.高い説明性を備えた数理モデル構築
仮説を入力すると、AIがベースモデルを探索。そのベースモデルに対し、研究者が持つ仮説や制約を変数として融合させ、モデル式を拡張するというプロセスを通じて、論理的な説明性を担保した独自の数理モデルを構築。
2.リアルタイムの視覚的パラメータ解析
モデルと実験データを同一グラフ上に重ねて可視化。寄与度や適用限界を直感的に把握し、次の実験計画を迅速に策定。
3.ノーコードで扱える生成AI UI
直感的なチャット UIとガイドが変数設定から結果解釈までをサポート。試行錯誤の過程をコメントとして共有・記録可能。
同サービスは材料開発や化学プロセス最適化において広く活用可能とのこと。例えば、無機真球フィラーゴムの配合設計、ポリマー重合の分子量制御、燃料電池の電解質膜設計、溶解度の数理モデリングといった領域で活用実績があるという。


























