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AWSジャパンが語る2025年度の中堅・中小企業向け事業戦略

中堅・中小企業のクラウド移行が生成AI活用で加速 AWSを使った3社のAI実装例

2025年07月24日 07時00分更新

文● 福澤陽介/TECH.ASCII.jp

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 日本企業の99.7%を占め、売上高の78%を占める中堅・中小企業。日本の競争力を高めるには、これらの企業の成長が不可欠であり、アマゾン ウェブ サービス ジャパン(AWSジャパン)が進める“クラウドの民主化”の達成においても無視できない存在だ。

 AWSジャパンは、2025年7月15日、中堅・中小企業向け事業の戦略説明会を開催。マキタ、Qualiagram(クオリアグラム)、やさしい手の3社が、生成AIサービス「Amazon Bedrock」を使ったAI実装例を披露すると共に、AWSジャパンの重点施策が語られた。

 AWSジャパンの常務執行役員 広域事業統括本部 統括本部長である原田洋次氏は、「肌感覚となるが、(大企業と比べて)中堅・中小企業はPoCが多く、登壇企業のように実用化も進んでいる。生成AIの登場をきっかけに、クラウドシフトがより進み、中堅・中小企業はそのスピードが早い」と強調した。

アマゾン ウェブ サービス ジャパン 常務執行役員 広域事業統括本部 統括本部長 原田洋次氏

マキタ:労働災害対応も生成AIのサポートでスピーディに

 まず、事例を披露したのは、船舶用のディーゼルエンジンを手掛けるマキタだ。創業115年目の老舗製造業である同社は、全社的なIT活用を推進しており、基幹システムはAWSクラウドにリフト(移行)済み。今回は、現在注力しているデータ・AI基盤整備の中から、「経営ダッシュボード」「生成AIの活用」の取り組みを紹介した。

マキタのAWS利用状況

 同社にとって「経営におけるデータ活用は10年来の悲願」だったという。工場などのオンプレミス環境も含めて散在するデータを一元化し、データ活用の無駄をなくして、データドリブン経営につなげる。こうした理想を、BIサービス「Amazon QuickSight」と各種SaaSで開発した経営ダッシュボードで実現した。データ連携では、サーバレスのコンピューティングサービス「AWS Lambda」やデータクレンジングツール「AWS Glue DataBrew」を利用し、リアルタイムに業務データを可視化できる基盤を作りあげている。

 現在、同社が運用するダッシュボードは7つで、全部門が231にもおよぶ指標を確認でき、経営会議でも必須情報として扱われる。マキタの執行役員 情報企画部長である高山百合子氏は、QuickSightについて、「非エンジニアでもダッシュボードを構築可能であり、GUIで直感的に設定できることが利点。大規模データも可視化・分析でき、データ表示も早く、サポートも充実していた」と評価する。

マキタ 執行役員 情報企画部長 高山百合子氏

 データ基盤の整備とあわせて注力しているのが、生成AIの活用だ。同社では、全社利用の対話型AIと、部門特化型のAIを運用している。ローコードのAI開発ツール「Dify」のDokerコンテナ版をAWS上に展開することで、場所やデバイスを問わずにアクセスが可能で、セキュリティも担保された閉域型のAI環境を実現している。

 加えて紹介されたのが、労働災害を防ぐための生成AI活用だ。労災発生時には、事故報告書を作り、再発防止策を検討して、対策を実施する流れとなる。しかし、現場担当者がPCに不慣れであることが多く、報告書作成に時間を要した結果、対策まで遅れてしまうという課題を抱えていたという。

 そこで、報告書作成を支援するチャットAIを開発。Excelで作成した報告書を読み込ませると、情報に不備がないかをチェックし、発生原因の分析や対策案、過去の類似事例や関連の法令までを追加してくれる。事前設定されたプロンプトによって誰でも利用でき、気象情報を加味した多角的な分析にも挑戦しているという。こちらは、「Amazon Bedrock Agents」で構築している。

災害発生時の報告書作成支援のチャットAI

 この取り組みは現在トライアル段階だが、現場では「良い手ごたえ」が得られているという。高山氏は、「AWSは豊富な機能を備え、スモールスタートがしやすく、内製化のハードルが低い。今後は、予測分析や市民開発にも挑戦していきたい」と語った。

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