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スピッツの曲に見た「人の価値創造」 及川さんの話、刺さりすぎです

2025年07月12日 15時00分更新

文● 大谷イビサ 編集●ASCII

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「SHIFT Agile FES」に登壇したTably 代表取締役 及川卓也氏

 七夕の日のギフトだった。「ソフトウェアファースト」の著者である及川卓也氏の講演をレポートした「生成AI時代の「エンジニアの二極化」 求められるのは“情熱駆動開発”」は素晴らしすぎて、本気で推しコメントを書くことにした。

 この半年の間、エンジニアにとって大きな関心事となっているのは、「AI駆動型開発の登場で、自分はどうすべきか? 仕事もなくなるのではないか?」という不安だ。もはやAIはアシスタントではなく、コーディングの主役になっている。これに対して、及川氏は「従来型のソフトウェアエンジニアは今後苦悩する」と指摘する。エンジニアとしてのアイデンティティを喪失し、自らのスキルを再定義する必要に迫られるという。

 では、人の領域である価値創造を目指すためになにが必要か? 引き合いに出されたスピッツ「美しい鰭」の例は、秀逸だった。20代から彼らの曲を聞いているが、美しい鰭も最初に聴いたときは、彼らが使わないリズムの違和感とスピッツ節が同居したチャレンジな曲だと感じた。だから、「過去の曲を学習させても、変拍子を含むものは生成されない。人が違和感を伴う問いを投げかけない限りは、新しいものは生まれない」は本当に刺さるフレーズだった。生成AIが求める正解とは異なることに挑戦する逸脱は、エンジニアや私のようなライター業に限らず、多くのビジネスパーソンに求められる1つの資質になるだろう。

文:大谷イビサ

ASCII.jpのクラウド・IT担当で、TECH.ASCII.jpの編集長。「インターネットASCII」や「アスキーNT」「NETWORK magazine」などの編集を担当し、2011年から現職。「ITだってエンタテインメント」をキーワードに、楽しく、ユーザー目線に立った情報発信を心がけている。2017年からは「ASCII TeamLeaders」を立ち上げ、SaaSの活用と働き方の理想像を追い続けている。

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