「その実験、やらなくていいかも?」化学メーカーの“手探り開発”を変えるCrowdChem【IVS2025】
2025年7月2日〜4日に開催されたスタートアップカンファレンス「IVS2025」。会場となった京都は、化学系の研究が盛んな土地でもある。株式会社CrowdChemのブースでは、化学メーカー向けに研究開発の効率化を支援するサービスが紹介されていた。
化学素材の開発では、試行錯誤を繰り返す“手探りの実験”が今も主流。データの管理も分散していて、過去の知見が十分に活かされないまま、似たような実験が何度も繰り返される現場も多いという。
CrowdChemは、接着剤や樹脂、電池などの研究開発における過去の実験データを統合・解析して、「次に何を試すべきか」をAIが提案する研究支援サービスを開発している。特徴的なのは、実験シミュレーションに必要な“材料”となるデータを自社でも集めていること。現在、127万件の実験データを保有しており、企業が自社で一からデータを用意しなくても、すぐに使い始められるのが強みだ。
さらに、クライアント企業内に眠る過去データも活用可能。そこにCrowdChemの汎用データを掛け合わせ、「今ある情報だけで、最適な実験ステップが見えてくる」仕組みを提供する。
COOの徳田優希氏は、「膨大な実験データを正しく整理すれば、開発のリードタイムは確実に短縮できる。人の経験や勘に頼りがちな研究開発の現場を、もっと科学的に進められるようにしたい」と話す。
ソフトウェア開発にとどまらず、化学の知見を持つ研究者も社内に抱えることで、導入から活用までを一気通貫で支援する体制も整えている。同社は海外展開も視野に入れており、「将来的にはユニコーン企業を目指したい」と話していた。化学×AIというニッチだが実務に直結する分野で、今後の展開にも注目が集まりそうだ。































