燃えカスじゃない。“黒いパウダー”の高付加価値素材がアップサイクルを変える【IVS2025】
2025年7月2日〜4日、日本最大級のスタートアップカンファレンス「IVS2025」が京都市勧業館「みやこめっせ」で開催。株式会社Gabのブースでは、廃棄物を炭化して、機能性のある素材に変える「.Garbon」を紹介していた。
同社が提案するのは、企業から出る廃棄物を炭化し、「高付加価値素材」としてアップサイクルする仕組み。炭の活用というと、これまでは肥料に混ぜたり、海に沈めて海藻によるCO₂吸収を促す“ブルーカーボン”などが主流だった。しかしGabは、そうした一方向の処理ではなく、炭を素材として再設計し、製品の中に組み込む“価値化”に取り組んでいる。
この素材を使った第一弾プロダクトは、消臭・抗菌機能を持ち、かつ10年持つ耐久性の「人工皮革」。製造は、国内の人工皮革メーカーと共同で行っており、動物性レザーの1/3という軽さも魅力だ。今後はバッグやジャケット、シューズなどのアパレル製品として展開していくという。
同社の強みは炭化プロセスそのものよりも、その後の“出口設計”にある。有楽町で展開するソーシャルグッド商品のセレクトショップ「エシカルな暮らし」や、ゲーミフィケーションを取り入れたゴミ拾いイベント「清走中」など、暮らしと社会課題をつなぐ事業を複数展開してきたGabならではのノウハウが、炭化物配合素材を再価値化する事業に活かされている。
炭化そのものは昔からある技術だ。でも、それを高付加価値素材である「黒いパウダー」にして、素材として再設計し、製品として世の中に出していく仕組みまで整えているところは珍しい。素材づくりから売り方、ストーリーまで一貫して手がけるGabの取り組みは、サーキュラーエコノミーに対して、ちょっと違ったアプローチを見せていた。































