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現金回収をゼロに。BANKEYが切り開く“規制時代”の送金DX【IVS2025】

 2025年7月2日〜4日、日本最大級のスタートアップカンファレンス「IVS2025」が京都市勧業館「みやこめっせ」で開催。会場には、AIやディープテックなど、いかにも“最先端”を感じさせる企業が並ぶ中、「銀行振込を使いやすくする」と掲げていたのが、フィンテック系スタートアップの株式会社BANKEYだ。

「銀行振込って、正直めんどうですよね。しかも手数料まで取られる」。そう話すのは、 代表取締役の阪本善彦氏。同社が手がけるのは、この振込という“銀行の最後の不便”を一気に変える仕組みだ。

 サービスの中核は、企業が請求に対してワンクリックで支払いを完了できる決済インフラ。クレジットカードのように使いやすいが、手数料は固定制。金額に比例して高くなるキャッシュレス決済とは違い、大口送金でも負担が抑えられる。しかも、銀行口座から直接送金されるため、資金トレースも容易で、会計処理との相性も良い。

株式会社BANKEY 代表取締役 阪本善彦氏

 興味深いのは、その“最初のターゲット”だ。BANKEYがまず導入を進めたのは、海外送金業者。その理由は、「現金回収」の非効率さとリスクの大きさにある。

 例えば、日本に住む外国人が海外の家族に送金する場合、送金会社の窓口に現金を直接持ち込むケースが多い。この現金回収には手間とコストがかかり、なによりマネーロンダリング対策の面でも課題が大きい。

「FATF(金融活動作業部会)などの国際的な規制が強まる中で、現金による資金の移動はますます厳しくなる。BANKEYのような口座連携型の仕組みであれば、資金の出所を明確にしたまま、安全に送金が完了する。そこが高く評価されました」と阪本氏。

 実はこの領域、銀行業界は「現金は自分たちの仕事じゃない」と、これまで見て見ぬふりをしてきた。現金回収のような“めんどうな部分”は、強固なインフラを持ちながらも手がつけられてこなかったのだ。

 BANKEYは、そこにチャンスがあると考えている。「銀行には強いインフラがあるのに、それを活かせていない領域がまだある。私たちはそこを“つなぎ直す”存在になりたい」(阪本氏)

 話を聞いてみると確かに理にかなっている。銀行にしかできないこともあるはずだ。意外と、ここから振込のDXが本当に動き出すかもしれない。

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