T2、自動運転トラックによる幹線輸送の商用運行を関東－関西間で開始

　株式会社T2は7月1日に、自動運転トラックによる幹線輸送（各種荷物を全国の配送拠点に主要な輸送ネットワークを通じて効率的に運ぶこと）の商用運行を、関東－関西間で同日から開始すると発表した。同社の調べによると自動運転トラックによる幹線輸送の事業化は国内で初めての事例になるとのこと（2025年7月時点）。先駆けとして、佐川急便株式会社、西濃運輸株式会社、日本郵便株式会社、福山通運株式会社および三井倉庫ロジスティクス株式会社の5社から始めるという。

　商用運行は、ドライバーが乗車したうえでハンドルから手を放すレベル2^※1自動運転トラックを用いて取り組み、2027年にはドライバーの乗車を必要としないレベル4^※2自動運転による幹線輸送の実現を目指すとしている。
※1 ドライバーの監視のもとに行われる特定条件下での高機能自動運転
※2 特定の走行環境条件を満たす限定された領域において、自動運行装置が運転操作の全部を代替する状態
（参照：国土交通省資料 https://www.mlit.go.jp/common/001226541.pdf）

　T2では2022年の会社設立以来、「2024年問題」を背景にしたトラックドライバー不足などの「物流危機」に対応すべく、多様な業界の企業とともに、自社開発の自動運転トラックによる幹線輸送の実証に取り組んできたという。複数の実証を通じて「自動運転トラック」の有効性を検証するとともに、関東－関西間の長距離を自動運転で走行するうえで必要な技術が確立した状況を踏まえ、今回、商用運行を開始するに至ったという。

　上記5社とは、T2の自動運転トラックが各社の既存の運行と同等の輸送品質や安全性を担保できることを実証で確認し合ったうえで、商用運行のユーザーとして参画することに合意。初回の運行ルートは以下のとおりで、定期運行を目指していくとのこと。
　佐川急便：東名高速道路・綾瀬スマートIC ～ 京滋バイパス・巨椋IC
　西濃運輸：東名高速道路・厚木IC ～ 京滋バイパス・久御山JCT
　日本郵便：東名高速道路・厚木IC ～ 京滋バイパス・久御山JCT
　福山通運：東名高速道路・綾瀬スマートIC ～ 名神高速道路・豊中IC
　三井倉庫ロジスティクス：東名高速道路・綾瀬スマートIC ～ 名神高速道路・吹田IC

　さらに今後、商用運行の規模を拡大させていくとしている。商用運行の開始後は、これまでと比較して運行本数を増強するとともに、運行頻度も高めることで、ユーザーに合わせた継続・安定的な輸送の実現を図るとのこと。さらに、T2のエンジニアがドライバーと同乗していた運行から、自動運転トラックを運用するために必要なトレーニングを積んだドライバーによる「ワンマン運行」に切り替え、T2の運行管理拠点のみでオペレーションを完結させることで、通常の運送会社と遜色のない自立かつ成熟した体制を構築するとしている。

　運行区間は、東名高速道路の横浜青葉IC（神奈川県）から、2025年6月に走破を達成した阪神高速道路の魚崎出入口（兵庫県）までの約500キロを設定したうえで、今後、四国・九州へ延伸を図っていくとしている。