ビジネスクオリティの図解を簡単に生成する「Napkin AI」で時短しながら視覚的効果を高める
2025年06月20日 09時00分更新
本連載は生成AIをこれから活用しようとしている方たちのために、生成AIの基本やコピペしてそのまま使えるプロンプトなどを紹介。兎にも角にも生成AIに触り始めることで、AIに対する理解を深め、AIスキルを身に着けて欲しい。第20回は図解専門の生成AI「Napkin AI」を使って、ビジネス文書などに使う図解を生成する方法について解説する。
慣れていない人でも簡単に図が作れる「Napkin AI」
ビジネスシーンでは、複雑な情報を視覚化して伝える重要性が高まっている。テキストよりもビジュアルの方が複雑なアイデアも理解しやすくなり、聴き手側の記憶にも残りやすい。膨大な資料よりも数ページの優れたビジュアル資料が「アイデアの本質を捉え、誤解を解消し、共有モデルを作る」ことが多い。そのため、パワーポイントや報告書、ブログなどで図表やインフォグラフィックを付けるケースが増えている。
画像生成AIはリアルな写真やイラストの生成が得意で、正確な図解を作るのは苦手だ。最新のAIモデルであれば、最近はなんとか作成できるようになってきているが、日本語の表示はまだまだ文字化けが多くクオリティ不足という課題がある。
とはいえ、人手で図解を作るのも労力と時間の負担が大きい。VisioやPowerPointなど汎用ツールでは自分で図形を配置・整列しなければならず、特に大規模な図表では作成・更新に膨大な時間がかかる。
しかもデザインセンスがない筆者のような人間が作ると、苦労して作った図も何となくかっこ悪くなってしまう。図解作成にはデザイン知識やテンプレート選択のノウハウが必要で、慣れない人にとっては大きな壁となっているのだ。
そこで、お勧めなのが図解専門の生成AI「Napkin AI」だ。テキストからダイレクトに図表を生成する専門の生成AIツールとして注目を集めている。Napkin AIは2024年8月にローンチし、現在は日本語にも対応。現在はベータ版という位置づけで、上位プランも利用できる。
入力したテキストを解釈し、提案もしてくれる
Napkin AIは知識やセンスがなくても、誰でもプロ品質の図解を作成できるのが特徴だ。ユーザーは提案される成果物から選ぶだけでいい。操作も簡単だ。まずは、公式サイトにアクセスし、Googleアカウントかメールアドレスで登録する。サインインして、「New Napkin」をクリックすれば、すぐにプロジェクトを開始できる。
図解の元となるテキストを用意する方法は3つある。1つ目が空のページから作業を始める「Blank Napkin」、2つ目が、簡単なキーワードからAIに文章を生成させる「Draft with AI」、3つ目が、「Import from File」となる。
例えば、ブログ記事に掲載する図解を生成するなら、「Blank Napkin」を選んで、テキストを入力するか貼り付ける。ここでは、生成AI御三家であるChatGPT、Gemini、Claudeを並べた図解を生成してみる。単に並べて入力し、その部分にマウスを合わせると、青い「Generate Visual」ボタンが表示されるので、クリックしよう。数秒待つと、AIがテキストの内容を解釈して複数の図解候補を生成してくれる。ユーザーはその中からイメージに最も近いものを選択し、文書に挿入するだけだ。
生成された図解のクオリティの高さに驚くはず。単に文字を並べるのではなく、何が書かれているのか判断し、図の構成を考えたり、テキストを追加しているのだ。「AIの巨人たち」や「どのAIモデルを選ぶべきか?」など、異なる切り口を提案してくれるのもすごい。それぞれのAIに説明も付けている。
気に入った図解をクリックすると、続けてカスタマイズが可能だ。例えば、AIが生成したタイトルや説明文が気に入らなければ修正できる。色やアイコンのデザインを変更することもできる。例えば、4つ目のAIを追加することもできるのだ。
また、画像編集ソフトのように、自由にペンで書き込んだり、テキストボックスを追加したり、画像を貼り付けることも可能だ。
完成したら、右上の「Export」ボタンからダウンロードできる。その際、用途に応じていろいろと選べるのが便利。例えば、ファイル形式はPNG、SVG、PDF、PPTに対応。PPTX形式でエクスポートしておけばPowerPointやGoogle Slidesで直接編集を加えられる。「Background」のスイッチをオフにすると背景を透過させられるので、ウェブサイトのデザインや印刷物を制作する際に便利だ。サイズも2倍、3倍で出力できる。
Napkinのロゴはオフにしておこう。この機能には王冠マークが付いているので、将来有料プランがローンチされた時には上位プラン向けの機能になるだろう。
本分を読み込ませて図解を生成することも可能
本来、構造化したテキストから図解を生成するほうがクオリティが高まる。とはいえ、長い原稿にいくつもの図解を入れる場合、その手間も面倒だ。そんな時は、そのまま原稿を貼り付け、該当パラグラフを選択し、図解を生成させればいい。
試しに、Geminiで生成した「眠りの質を上げる」記事を貼り付けて、図解を生成してみよう。「レム睡眠とノンレム睡眠の役割分担」についてのパラグラフを選択し、青いアイコンをクリック。このパラグラフにはレム睡眠とノンレム睡眠の役割に加え、ノンレム睡眠時のステージについての解説も入っている。そこでNapkin AIは両方の図解を生成してくれた。
今回は、レム睡眠とノンレム睡眠の役割についての図解を選択した。天秤でレム睡眠とノンレム睡眠の特徴を表現し、文中にない「睡眠の役割のバランスを取る」というタイトルを付けてくれるのは賢い。
また、アイコンも自動で生成してくれるのもありがたい。ほとんどの場合、適切なアイコンになっているはずだが、変更したい場合は変更することもできる。青いアイコンをクリックし、キーワードを入力すると候補が表示される。
以上のように、Napkin AIの存在はとてもありがたい。大げさでなく、これまで素人には自分で作れなかった図解をワンクリックで作成できるメリットは大きい。たとえ自分で作れる人でも、従来1~3時間を費やしていた作業が1分もかからなくなるのであれば、大きな業務効率アップになるだろう。複雑な概念や難解なデータを視覚的に表現する新たな武器を手に入れることで、読者や視聴者へより情報を伝えやすくなる。クライアントからの評価や読者のエンゲージメントにおいて、明確な優位性を築くことができるはずだ。
もし、図解を自作できればいいと考えている人は、兎にも角にもNapkin AIを触ってみてほしい。今のところ無料で使えるのだから見過ごす手はない。いち早くこの革新的なツールを使いこなし、自らの業務プロセスを見直してみてはいかがだろうか。
AIで何とかしたい業務を大募集!
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注目の最新AIニュース
AIエージェントがウェブ体験を拡張する「Genspark AI ブラウザ」が登場
検索特化型の生成AI「Genspark」は最近、AIエージェント機能をローンチ。相次いで新機能を投入しており、6月11日には「Genspark AI ブラウザ」をリリースした。
ブラウザに搭載されているAIエージェントがユーザーに代わって複雑なタスクを自律実行してくれるのが最大の特徴だ。たとえば、レストランの電話予約や商品価格の比較分析、YouTube動画の要約とスライド自動生成など、これまで人間が手動で行っていた作業を完全自動化できる。80以上の専門ツールと700以上のアプリケーションとの連携により、従来のブラウザが、表示するだけだったのに対し、実際に作業を実行するプラットフォームとして機能する。
このブラウザは「Mixture-of-Agents」技術を採用しており、ChatGPTやClaude、Geminiなど複数の大規模言語モデルを同時に活用している。複数のAIモデルが協調して処理を行うことで、AIの「ハルシネーション(幻覚)」を大幅に削減している。
無料プランでも利用できるが、高度な機能を利用する際に必要なクレジットは1日5~10回分なので、本格的に利用する際は有料プランの契約が必要となる。

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