進化するMicrosoft 365 Copilot PowerPoint Copilotでプレゼン資料作成を時短する
2025年06月06日 09時00分更新
本連載は生成AIをこれから活用しようとしている方たちのために、生成AIの基本やコピペしてそのまま使えるプロンプトなどを紹介。兎にも角にも生成AIに触り始めることで、AIに対する理解を深め、AIスキルを身に着けて欲しい。第18回はPowerPoint Copilotを活用してプレゼン資料作成を時短、さらにブラッシュアップする方法について解説する。
PowerPointのスライド作成を時短してブラッシュアップ時間を増やす
生成AIの定番活用のひとつがプレゼン資料の作成支援だ。PowerPoint Copilotを使えば、今まで時間がかかっていたスライドの作成を大幅に時短できる。その分、内容のブラッシュアップに費やせるので、クオリティアップも実現できるだろう。
PowerPointの「Copilot」ボタンをクリックすると、右側にチャットUIが開く。まずはプレゼン資料をゼロベースで作ってもらおう。プロンプト候補から「以下に関するプレゼンテーションを作成します」をクリックし、作ってほしいプレゼンのテーマを入力する。ここでは、「名刺交換の作法・マナー」としてみた。
すると、生成AIがスライドの構成案を出してくる。問題なければ「スライドの生成」をクリックしよう。少し時間がかかるものの、イメージ画像を入れたり、適したデザインを適用してスライドを作成してくれる。
スピーカーノートのたたき台もCopilotで作成
スピーカーノートも生成AIにたたき台を作ってもらうと、大幅に時短できる。これもPowerPoint Copilotに「盛り上げる感じで300文字」と頼むだけでOK。最初は硬い文章が返ってきたので、「文章が固いので滑らかな文章にして」と指示するといい感じになった。漢字をリアルタイムで読み上げるのが苦手なら、読み仮名を振ってもらうこともできる。
ちなみに、出力にはコピーやいいねボタンに加え、再生ボタンも用意されている。クリックすると合成音声で読み上げてくれるので、プレゼン時の雰囲気を確認できるので活用しよう。
■プロンプト
このページのスピーカーノートをもっと盛り上げる感じで、300文字に増やしてください
■プロンプト
文章が固いです。もっと話しやすい、滑らかな文章にしてください。難しい漢字には読みを付けてください
PowerPoint Copilotがスライドに合わせたイメージ画像を入れてくれるが、意味不明な画像になっていることもある。そんな時は画像の差し替えを依頼しよう。「Designer」が4枚の画像を提示してくれるので、そのうちの1枚を選択し、「+挿入」をクリックするとスライド内に貼り付けられる。
スライドを追加したい場合も、PowerPoint Copilotを利用できる。「スライド」メニューから「Copilot」をクリックし、追加する内容を指示すれば自動的にデザインされたスライドが追加される。内容に問題なければ「保持する」をクリックすればいい。
既存の資料を読み込ませてプレゼン資料に仕立てる
とはいえ、テーマを入れてポン出しだと、取引先に出せるクオリティにならないことが多い。やはり、プレゼン内容はこちらから提示したほうがいい資料になる可能性が高くなる。。そんな時はPowerPoint Copilotに資料を読み込ませて、スライドに仕立ててもらうといい。
ここでは、「ネット詐欺被害の最新状況と対策」という1万7000文字のWordファイルを読み込ませて、スライドを作ってもらう。PowerPoint Copilotのプロンプト候補から「以下からプレゼンテーションを作成します」をクリックし、ファイルを選択する。OneDriveに入っているなら「ファイル」から選択できる。もちろん、ローカルにあるファイルをアップロードすることも可能だ。
なんと、網羅的に50ページ以上のスライドが生成されたのだが、そのうちの数枚が見出しのみでコンテンツがなかったり、「現在作成中です」のような意味不明な内容になっていた。とは言え、必ず人の目でチェックしなければならないのだから、ブラッシュアップ作業がてらに削除してしまえばいいだけだ。
また、資料に画像が含まれていればそれを流用するのだが、テキストのみの場合はイメージ画像を生成してくれない傾向がある。そんな時は、チャットで画像を提示してもらい、「デザイナー」で配置してもらえばいい。
以上が、プレゼン資料の作成にPowerPoint Copilotを活用する方法となる。PowerPoint CopilotはOpenAIのGPT-4をベースにしたものだが、具体的にどのAIモデルなのかは公表されていない。とはいえ、触ってみた感じ性能はそこまで高くなさそう。そのため、クオリティだけを求めるならChatGPT 4oやo3もしくは、GeminiやClaudeの最新AIモデルを利用するほうがいいだろう。しかし、アプリ間の行き来なしに、PowerPointに直接指示してスライドを作れるのもとても便利。目的に合わせて使い分けることをお勧めする。
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注目の最新AIニュース
生成AIの導入拡大に伴い大企業での人員削減が進む
AIの進化と社会普及に伴い、大企業での人員削減が進んでいる。
Salesforceは2025年2月に従業員1000人以上を解雇した。CEOのマーク・ベニオフ氏はAIによる大幅な生産性向上を理由に、2025年にはソフトウェアエンジニアを新たに採用しないとも発言している。メタも2月に約3600人(従業員の5%)を解雇。CEOのマーク・ザッカーバーグ氏は「低パフォーマーをより速く退出させる」と発表し、中級エンジニアをAIに置き換えるという。
IBMのCEO アービンド・クリシュナ氏は5月、同社が数百人の人事部門従業員をAIに置き換えたことを明言した。「AskHR」と呼ばれるAIエージェントは人事タスクの94%を自動化し、休暇申請や給与明細などの処理を担当しているそう。マイクロソフトも5月に従業員の約3%にあたる約6000人をリストラした。同社のワシントン州本社のソフトウェア開発部門では、GitHub Copilotの社内導入拡大により、最大30%のコードがAIによって生成されていると報告されている。
AIの導入は確実に雇用構造を変えつつある。人員削減の理由を明確にAIとしていない企業もあるが、AI関連部門への投資を増やしている企業も多い。AI導入によるリストラは今後も続くと予想され、企業は「AIスキル」を持つ人材を優先的に採用する一方、自動化可能な業務を担当する従業員を削減する傾向は引き続き強まるだろう。

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