結城さんの「作りたいもの」を最優先、工場と直接交渉してハイスペックでもかなり価格を抑えた
「結城さくなのプロ意識にキャリーされた」― AMICISコラボキーボードは本人120%監修、作り手の情熱や哲学に迫る
出会いから1週間で始動、 「120%結城さくな監修」のデザインが生まれるまで
──本日はよろしくお願いします。さっそくですが、今回のコラボレーションはどのように始まったのでしょうか?
森坂 仁一氏(以下、森坂氏):結城さんとはデビューされた頃にご縁がありました。当時はまだAMICISがローンチしておらず、弊社が大きなIPとのコラボレーションを積極的に展開していこうという時期で、ぜひ結城さんともご一緒したいとお声がけしたんです。幸い、我々のグループ会社(株式会社バーチャルエンターテイメント)が展開する「VSPO! GEAR」もご存知で、すぐに意気投合し、1週間後にはデザインに着手しました。
――デザインはどのように進められたのですか?
森坂氏:まず結城さんからイメージカラーである青・白・ピンクを使いたいというアイデアをいただき、それをもとに弊社のデザイナーがラフを作成しました。そのラフを結城さんに確認いただきフィードバックを頂戴し、修正する、というキャッチボールをラフの段階で何度も繰り返しました。かなり詳細な部分までフィードバックをいただきましたね。フカヒレさんにお願いしたキービジュアルも、ポージングから盛り込む小物に至るまで、すべて結城さんのご指示のもとで制作しました。デザインは120%、結城さんの監修です。
――デザインする上でとくに大切にされたことは何でしょうか?
森坂氏:結城さんには最初にお伝えしたんです。「商業的に見れば、白・黒・青のような、多くの方、とくに男性に手に取っていただきやすいデザインのほうが売れるでしょう。でも、私たちにとって一番大切なのは、結城さんが心から“これを作りたい”と思えるデザインであること。だから、販売数は一切気にしないで、本当に好きなように決めてください」と。
――あくまで結城さんの「作りたいもの」を最優先されたのですね。
森坂氏:はい。「デザインで売る」ことよりも「結城さんだけでなく、彼女のファンの方々にも心から満足していただく」ことを最優先に考えていました。これは結城さんに限らず、ほかのすべてのプロジェクトにおいても同様の方針です。そうでなければ、「一緒に作る」という我々のブランドの根幹が揺らいでしまいますから。
――販売数よりも、クリエイターのこだわりを追求し、共に創り上げることを重視されていると。
森坂氏:おっしゃる通りです。IPのファンの皆様が見たときにがっかりされることが、私たちにとってもっとも避けたいことです。とくに結城さんのファンの皆様に「本当にさくなちゃん(結城さん)らしいね」と感じていただけなければ、このプロジェクトを行なう意味がありません。これは、正直売り上げよりも重視しているポイントです。
――細部にまでこだわりが詰まったデザインですが、とくに力を入れた箇所はどこでしょうか。
森坂氏:すべてにこだわっていますが、強いて1つ挙げるとすれば裏面ですね。当初は普通のプレートを予定していました。しかし、ファンの皆様の心理を考えると、「大切なものを汚したくない」というお気持ちがあるだろうと考えました。そこで耐久性を高めるためにガラスパネルを採用するというアイデアをひらめき、試作してみたところ非常によかったため、このデザインに決定しました。ほかにも、例えば十字キーのそばのワンポイントはプリントに見えるかもしれませんが、実は彫刻を施しています。ですから絶対に剥げることがありません。
――パッケージデザインにも、かなりのこだわりを感じます。
森坂氏:コンセプトが「一流を目指す猫メイド、至高のキーボード」ですから、パッケージが安っぽかったら興醒めですよね(笑)。「至高のキーボード」を謳うからには、製品本体だけでなく、パッケージも含めてすべてが一級品であるべきだと考えました。箱自体も飾っておきたくなるような、所有欲を満たすデザインを目指しました。高級ブランドのシューズなどは、まず箱からして格好いいですよね。そういった細部にまで徹底的にこだわっています。




