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「Uvance」ブランドで金融向けソリューションを体系化

ネット勘定系シェア5割越えを目指す富士通 ATM撤退で脱ハードウェアを加速

2025年06月09日 07時00分更新

文● 大河原克行 編集● 福澤/TECH.ASCII.jp

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 富士通は、2025年6月5日、金融機関のデジタル変革を支援するソリューションを「Uvance for Finance」として体系化することを発表した。

 デジタル化を進める銀行から従来の店舗型の銀行まで、多様な業態に対応するソリューションで金融ビジネスの拡大を図る。10年後の2035年には、ネットバンクの勘定系システムにおけるシェアを現在の31%から50%以上に、また営業店システムのシェアを34%から50%以上に引き上げる目標を掲げる。

あわせて2025年度には、金融ビジネスで売上高5200億円以上、うちUvanceで700億円以上を目指す

 Uvance for Financeでは、クラウドネイティブな勘定系ソリューション「Fujitsu Core Banking xBank(クロスバンク)」、オムニチャネル化と業務効率化を推進するための店舗ソリューション「Digital Branch」を提供。5月には、Fujitsu Core Banking xBankの第1号ユーザーであるソニー銀行が、AWS上で新勘定系システムを稼働開始したばかりだ(参考記事:ソニー銀行の勘定系がAWS上で稼働開始 ビジネスアジリティとレジリエンシーを確保)。

 富士通の執行役員常務である八木勝氏は、「金融ビジネスは、富士通の売上げに貢献する“収益エンジン”となっており、さらなる拡大を進めていく。金融の未来を切り開くために、これまで以上に金融機関に貢献し、新たなチャレンジにも取り組む」と方針を示した。

富士通 執行役員常務 八木勝氏

 一方、ATMおよび営業店専用ハードウェアの提供を2028年3月末に終了することもあわせて発表。今後は、ハードウェアは沖電気工業(OKI)から調達し、経営資源をソリューション提供に集中させていく。

次世代の金融サービスを実現する「Fujitsu Core Banking xBank」「Digital Branch」

 Uvance for Financeにおいて、今後継続的に進化させていく主要なソリューションとなるのが、勘定系ソリューション「Fujitsu Core Banking xBank」と店舗ソリューション「Digital Branch」である。

 Fujitsu Core Banking xBankは、富士通が蓄積してきた勘定系のナレッジを集約したクラウドネイティブなソリューションだ。次世代の金融サービスを支えるために開発され、内部・外部のAPIを掛け合わせることで金融サービスを実装でき、一部の機能だけの活用や、複数機能を組み合わせた活用も可能になる。「xBankの意味もここにある。すべての勘定系システムを切り替えることなく、ないものを補うといった利用もでき、機能ごとに価格設定をしている」と八木氏。

勘定系ソリューション「Fujitsu Core Banking xBank」

 マイクロサービスアーキテクチャーを採用しており、銀行業務のトランザクション単位でAPI化する仕組み(特許出願済)を実現。従来の勘定系システムに比べて60%の資産規模を削減するとともに、データの整合性を担保する。

 また、AIドリブンな開発・保守を見据えており、ソフトウェア資産や開発資産、法令、個別要件などを富士通のAIプラットフォームに学習させることで、今後の追加開発や保守において、生成AIの活用を推進していく。

マイクロアーキテクチャーで柔軟性・拡張性の高い勘定系ソリューション

 もうひとつ、Uvance for Financeで注力するのが、店舗ソリューションのDigital Branchである。従来から提供していた店舗システム「FBC (Financial Business Components)」を中核に、フロント領域のソリューションをクラウド化。あらゆるデバイスにおけるサービス提供に対応して、営業店システムのオムニチャネル化を支援する。

 既に、FBCによる店舗ソリューションは33行に導入されており、広島銀行や東和銀行ではクラウド化を完了。静岡銀行や伊予銀行、ふくおかフィナンシャルグループも、クラウド環境への移行を進めている。「非対面と対面に対応したハイブリッドクラウド化により、Digital Branch 2.0を実現する。さらに今後は、金融データとAIを活用し、データドリブンによってスマート化する『Digital Branch 3.0』へと発展させていく」(八木氏)。

店舗ソリューション「Digital Branch」

 また、Fujitsu Uvanceでは、富士通のAIプラットフォームを組み合わせたデータ活用基盤「Fujitsu Data Intelligence PaaS」を提供している。今後は、同基盤によって金融機関が持つデータを分析、予測する仕組みを構築して、顧客ニーズに最適化したサービス創出を支援していく。

高度なAI技術でデータを分析/予測する基盤も提供

 具体的な事例として、CO2排出削減料をクレジットとしてあつかえる「J-クレジット」の創出支援サービス「Digital MRV Plus for J-クレジットサービス」が紹介された。みずほ銀行、IHI、富士通の3社が協力し、J-クレジットの自己調達や創出から、資金化までをサポートし、脱炭素社会の実現に貢献する。

 また、2025年4月には、三井住友銀行とAI・データビジネスの共創における連携を発表。同行が持つ業界知見やデータサイエンスなどの分析ノウハウと、富士通が持つAI需要予測を組み合わせた、データ分析サービスの提供を目指す。銀行のデータを活用することで、予測精度の誤差を5%以下にすることができるという。

 八木氏は、「Uvance for Financeによって、金融サービスでもオンクラウドやクロスインダストリーにリーチしていく。xBankやDigital Branchだけでなく、SAPとの協業による保険業界向け基幹業務ソリューションや、米FICOとの連携による信用スコアリングおよびデータ分析ソリューションなども、Uvance for Financeとして提供していく」と説明。

 加えて、「金融ビジネスにおけるUvance比率を高め、勘定系ソリューションおよび店舗系ソリューションでは国内トップシェアを維持していきたい」と、金融領域での継続的な事業拡大に意欲をみせた。

ソリューションに資源集中すべく「ATM・営業店専用ハードウェア」からは撤退

 富士通は、ATMおよび営業店専用ハードウェアの提供を2028年3月末に終了し、保守サポート期限を最長で2036年3月末までとすることも発表した。それに伴い、2025年4月に、ATMおよび営業店専用ハードウェアの調達に関して、沖電気工業と基本合意している。今後富士通は、沖電気のハードウェアにソフトウェアを提供し、それを金融機関向けに販売していくことになる。コンビニエンスストア向けATMについても、ソリューションに最適なハードウェアを選定し、展開していく。

 八木氏は、「キャッシュレス化の動きもあり、ATMの需要が減少している。富士通が、サービスソリューションに事業ポートフォリオをシフトするなかで、金融専用ハードウェアだけに捉われず、ニーズに合った適切なデバイスとソフトウェアを組み合わせて提供していく。富士通は、経営資源をソリューションに集中させることで、金融機関に貢献できる」と語った。

ATMおよび営業店専用ハードウェアから撤退

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