サウンドバーの左右が外れてリアスピーカーになる構造、AVアンプよりすごいかも?
合計29ユニット搭載で11.1.4ch対応、サウンドバー「JBL BAR 1300MK2」は数字も体験も色々バグってた
2025年06月05日 18時00分更新
ハーマンインターナショナルは6月5日、JBLブランドのサウンドバー「BAR 1300MK2」の体験会を開催した。リアスピーカーが分離し、最大11.1.4chの再生が可能となる本格的なサウンドバー。
GREEN FUNDINGで6月18日から先行販売の募集を開始。本日(6月6日)から事前登録の受付も開始している。
左右が外れてリアスピーカーになる
一般的なサウンドバーは前方のみに設置し、バーチャルサラウンドによって広がりのある音を再現するが、本機は後方のスピーカーからも音が鳴るリアルなサラウンド体験ができるのが特徴だ。サブウーファーとリアスピーカーはワイヤレス接続なので設置も簡単。また、シンプルに使いたい場合は、リアスピーカーを本体の側面に合体させ、一体型のサウンドバーにもできる。この状態でバッテリーの充電も進む。
IMAX Enhancedにも対応
内蔵するスピーカーの数は、サブウーファーを合わせて29基。そのうちの7基は高域再生用のツィーター。さらに8基本がミッドレンジ。50×75cmのレーストラック型の振動板を備えた(角が丸った四角い振動板)スピーカーだ。さらに上部に向けて6基のハイトスピーカーも装備している。
1スピーカー/1アンプの独立マルチスピーカー構成になっているのも特徴だ。ウーファーとツィーターを駆動するアンプが独立している利点としては、音の方向を問わず、低域にフル出力を触れるという点が挙げられる。
例えば、左右に大きく音が動くアクション映画では、音の動きを指向性の高いツィーターで表現し、爆発音などが発生する場合は50W×8基=合計400Wの出力すべてを使った低域の再現ができる。
サウンドバーの場合、高音質をうたう機種でもアンプの割り当ては1chあたり1アンプ(つまり高域と中域/低域を同じアンプで駆動する)場合が多い。低域と高域が連動して駆動することになるが、音が右側もしくは左側によっている状態で爆発などを再現しようとすると、その側のチャンネルだけで低域がなり、出力は落ちてしまう。
少々マニアックな話にはなるが、必要な時に必要な場所で迫力ある低域を出せるのは、ツィーターとウーファーを一緒に駆動する1ch/1アンプのスピーカーには出せない利点と言えるだろう。
サブウーファーも小型化し設置しやすくなった。35%サイズダウンした。20cm径のウーファーを左右に配置した密閉型で出力は600W、歪みが少なく応答性が高いリアルな重低音が得られる。また、振動を打ち消しあう対向配置にしたことで、本体の振動も抑えられる。
別体のサブウーファーもワイヤレス接続で、スピーカーとしての機能が進化している。本機同様、リアスピーカーを本体から本体から取り外せる「BAR 1000」(7.1.4ch)よりも横方向のチャンネル数が増えるので、より繋がりのいい音の動きを感じ取れるのも進化ポイントだ。
IMAX Enhancedにも対応!
音源については、Dolby Atmosに加えて、IMAX Enhancedにも対応する。
会場ではDolby Atmosのデモ音源である「リーフ」の再生も体験できた。これは、葉っぱ型空中からぐるぐると回りながらゆっくりと降りてくる様子を見せる音源で、葉っぱの動きに合わせて音が縦横無尽に動いていくのが聞きどころ。上から音が聞こえ、自分を中心に音が回っていく様子、そして、深い低域の振動が腹に伝わってくる感覚がすごい。
また、DTS:Xで制作されたジュラシックワールドでは、翼竜と飛行機が遭遇するシーンで高さ方向の音の広がりや回り込むような音の動きの凄さが感じられた。
サラウンド再生のための再生アルゴリズムも強化
29個ものスピーカーを扱うために、信号処理も強化されている。
具体的には「MultiBeam 3.0」「Pure Voice 2.0」「Smart Detail」といった新しい技術が採用されている。
このうちMultiBeam 3.0は最大7つのビームを生成して、壁に反射。実際にスピーカーが置かれているようなリアルなサラウンド再現をする技術。最新の3.0ではスピーカードライバーの位置を機種ごとに最適化したアルゴリズム(モデリング)で実現している。ビームフォーミングの指向性を狭め、音のエネルギーを高めることで、より正確で明瞭度の高いチャンネルの再現が可能となった。
Pure Voice 2.0は映画やテレビの声を聞きやすくする技術。イコライザーで声の帯域だけを強調するといった単純な処理ではないのが特徴。信号を解析してリアルタイムに声の成分を認識し、低域と高域などを維持しながら、声の成分だけを明瞭に浮き立たせられるのが特徴だ。2.0では再生している音の大きさ(音量レベル)と静かなシーンなのか迫力あるシーンなのか(環境コンテンツ)といった要素を考慮してセリフの強調度合いを最適化するアルゴリズムに進化したという。
Smart DetailsはPure Voice 2.0の技術を効果音などに応用したもので、轟音の中で埋もれてしまいがちな繊細な環境音や効果音を認識し、浮き立たせるものとなっている。
設置のしやすさも特徴だ。使いやすさにも配慮されている。左右の端にある着脱式のリアスピーカーは、マグネットで固定する仕組みで、上に持ち上げるだけで簡単に着脱が可能。フロントの表示部分も明るくはっきりとした有機ELとなっており、見やすい。
HDMI入力端子は3つ、HDMI出力は1つ(eARC対応)。光デジタル入力、Bluetooth、Ethernet端子などを装備する。本体サイズは幅1030×奥行き136×高さ58mm、重量は6.0kg(サブウーファー本体)。リアスピーカーは1個あたり202×136×58mm/1.3kg、サブウーファーは315×275×277mm/12kgだ。
取り外したスピーカーはリアに置く以外にも使える!
BAR 1300MK2では平日はシンプルなサウンドバーとして使い、休日のみリアルなサラウンドを楽しみたいといった使いわけも提案しているが、こうした設置方法の変更も簡単だ。音量調節などの操作は本体に付属するリモコンに加え、HDMIで接続したテレビのリモコン(CEC)やスマホアプリからも可能となっている。外観はフラットになっており、セミグロスのマットブラックも質感を持ちつつ存在感を主張しすぎない。掃除などもしやすいのがメリットだという。
設置状態がシンプルな一体型バーとしての再生(リアスピーカーを左右に装着し、一体化した状態での再生)も体験できた。Dolby Atmos(9.1.4ch)の「ゴジラ -1.0」でゴジラが銀座に上陸するシーンでは、前方からのみの音ではあるが音の広がりが楽しめ、迫ってくるゴジラの足音がずしんと響き、高さ方向の音の広がりも意識できる満足度の高い再生音だった。
こうしたリアスピーカーありの状態、一体型バーの状態としての再生に加えて、取り外し可能なスピーカーを単体のBluetoothスピーカーとして活用できるのも面白い部分だ。具体的には「ナイトリスニングモード」「ブロードキャスト機能」、2台の「ポータブルBluetoothスピーカー」として活用する方法などが選べる。
ナイトリスニングモードは、サウンドバーとサブウーファーをオフにした状態で、リアスピーカーだけを使ったステレオ再生が可能になる機能。オン/オフはアプリで設定する。取り外したスピーカーを自分の手元に置いて音を聞けるので、大きな音を出したくない深夜に音を絞って使ったり、高齢者が家族とテレビを一緒に見る際、お手元スピーカーとして使ったりとこれまでのサウンドバーにはない使い方が可能になる。
また、ブロードキャスト機能を使うと、リビングではサウンドバーとサブウーファーの音は鳴らしつつ、キッチンなど少し離れた場所でもテレビの音を聞けるので便利だ。また、リアスピーカーは縦置きして設置することで、Bluetoothスピーカーとして利用可能だ。Auracast対応となっており、1台でも活用できるほか、2台のステレオスピーカー、あるいは1台ずつのモノラルスピーカーとしても活用できる。
小型のスピーカーではあるが、50Wと余裕のある出力があることもあり、単体で聞いてもなかなかいい音を出していた。低域がリッチなのも印象的だった。本体には縦置きするためのゴム脚も備える。連続再生時間は約10時間。防水機能などは装備していない。
価格もリーズナブル、環境音を再生するなど新しい利用シーンも提案
映画や音楽を楽しむ以外の活用法も提案している。リモコンのハートボタンを押すことで、フォレスト、レイン、オーシャン、シティーウォークという4つの自然の音を再生できる。棚の上にリアスピーカーを置くなどすることでより広がりのある音を楽しめるほか、タイマー機能も装備している。なお、この機能はすでに販売されているBAR 1000でもファームウェアのアップデートによって利用できる。
BAR 1300MK2を通じて、JBLは「MORE for LESS」のコンセプトを提案。1台で様々な機能を利用できる多機能な機種を導入することで、他の機器を追加せずに機能が完結。家の中に置く必要な機器を減らせるというメリットを訴求していくという。11.1.4chのリアルサラウンドをAVアンプと単品のスピーカーで構築するのはハードルが高いが、そのエッセンスを高いレベルで手軽に体験できるのは魅力が高い。
最近ではリアスピーカーの追加が可能なサウンドバーも増える傾向だが、7.1.4chのリアルサラウンドのサウンドバーでシステムを構築すると、40万円近い予算になってしまうことも多い。BAR 1300MK2は一般販売される場合でも約半分の23万円弱程度の価格が想定されており、GREEN FUNDINGでの先行販売では20万円を切る価格になるというリーズナブルさもポイントだ。
