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有名人の写真を無断で使った詐欺広告に注意

NHKがひろゆき氏のスキャンダルを報じている……? そう思って誘導された先に“詐欺サイト”の罠

2025年06月03日 17時00分更新

文● モーダル小嶋 編集●ASCII

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 著名人の写真を無断で使用し、投資詐欺などに誘導するSNSの広告が存在します。その有名人が推奨しているように見せかけて、SNS上の投資グループや偽の暗号通貨取引サービスに誘い込む……という手口です。

 2024年頃から被害が多数報告されるようになり、名前や画像を利用された著名人が強く抗議しているほか、政府与党でも対策の勉強会が実施されたこともあって、報道で知った人も多いでしょう。

 2025年6月現在も、その手の詐欺広告がなくなったわけではありません。最近、Xで筆者が実際に見かけたのは、以下のようなものです。

XのTLに流れてきた、西村博之氏の写真が使われた広告 ※もちろん、この広告は詐欺です

 Xは広告アカウントを開設すれば広告出稿が可能なのですが、この広告では「放送中の発言で西村博之氏がSNSでトレンド入り」などとあり、いかにも西村博之(ひろゆき)氏が話題になったように見せかけています。

 もちろん、そんな事実はありません。写真自体も、関係ないものが無断で使われていると思われます。

 この広告が悪質だと感じるのは、「nhk.or.jpから」という出典の表示が有効になっていることです。

「nhk.or.jpから」という出典の表示で、「NHKのサイトにアクセスできるのかな?」と思わせるところが悪質

 これだけ見れば、「この広告の画像をタップすれば、NHKのサイトにアクセスできるのだろう」と考える人がいても不思議ではないでしょう。つまり、「NHKがひろゆき氏のスキャンダルを報じている……?」と思わせる罠になっているのです。当然、タップしてもNHKのサイトにアクセスするわけではありません。

 ちなみに広告主のアカウントは2012年8月からX(当時はTwitter)を利用していることから、使われなくなったアカウントが乗っ取られたことも考えられます。投稿は一つしかありませんでした。

 その広告をタップすると、「読売新聞の記事をgooニュース上で見ている」ような画面が表示されます。NHKにアクセスできるという“設定”はどこへやら……という感じですね。

 もちろん、これは偽サイトで、gooニュースにも読売新聞にもこんな記事はありません。また、どこのリンクをタップしても後述の“詐欺サイト”に飛ばされます。

さもスキャンダル記事が表示されているような画面 ※もちろん、この記事は偽物です

 この記事(に見せかけたWebページ)では、西村博之氏が政治評論家の寺島実郎氏との対談中に、うっかり暗号通貨を取引するプログラムのことをしゃべってしまい、日本銀行が放送を止めるように電話してくるという、かなり荒唐無稽な内容が書かれています。また、記事中の2人の口調も不自然なものになっています。

記事の内容はテレビ番組の書き起こし……を装っているのですが、こんな口調で会話するとは思いにくい ※くどいようですが、この記事は偽物です

 そして、記事の最後には、暗号通貨取引プラットフォーム(をよそおったサイト)へのリンクがあります。冷静に考えれば、Web上のニュース記事の最後にそのようなものがあるのはとても不自然でしょう。もちろん“詐欺サイト”なので、絶対にアクセスしてはいけません。

記事の最後にこのようなリンクが。ニュース記事の最後にこんなものがあること自体がおかしいのですが……もちろんアクセスしてはいけません

 広告によってXが収益を得ている現状がある一方、SNSの詐欺広告に対しても責任を負っていることは確かです。そもそも広告に関してはXが審査をしているわけですから(X広告の承認について)、運営側にはより一層の厳格な対応を求めたいところ。

 当たり前ですが、世の中にうまい話はありません。SNSなどで有名人を使った広告を見かけたら、まずは「詐欺では?」と疑う心構えが必要です。

 その手の広告を見つけたら、その有名人の名前と投資について検索してみましょう。被害を報告するSNSの投稿のみならず、本人が公式サイトなどで注意を喚起している例が見つかることもあります。

 不安に感じることがあれば、消費生活相談窓口や警察に相談しましょう。

◆消費者ホットライン……電話番号 188(いやや!)
◆警察相談専用電話……電話番号 #9110
◆情報セキュリティ安心相談窓口……電話番号 03-5978-7509

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