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GitHub Copilotのエージェント拡充からWindowsのMCP対応まで

オープンな“エージェント型Web”の構築に向け 今年もAI全振りな「Microsoft Build」まとめ

2025年05月22日 08時00分更新

文● 福澤陽介/TECH.ASCII.jp

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 Microsoftは、2025年5月19日(米国時間)、開発者向け年次イベント「Microsoft Build 2025」を開催した。

 2024年11月のIgniteでは「エージェンティックワールド(Agentic World)」というメッセージを打ち出したMicrosoft。本イベントの基調講演では、CEOのサティア・ナデラ(Satya Nadella)氏より、 「オープンなエージェント型Web(Agentic Web)」という世界観が披露された。これは、人の代わりに働くエージェント型AIたちが、オープンなプロトコルを通じて、世界中のWebサイトやWebサービスとつながるという“新しいインターネットのビジョン”である。

基調講演に登壇したサティア・ナデラ(Satya Nadella)氏

 このメッセージを含め、今年のBuildも“AI一色”で、数多くのアップデートが発表された。本記事では、注目の発表をピックアップして紹介する。なお、主要な発表については、Microsoftの「BOOK OF NEWS」でもまとめられている。

GitHub Copilot:Coding AgentやAzure SRE Agent、アプリのモダナイズ機能がパブリックプレビュー

 まず、Visual Studio Code(VS Code)の拡張機能としての「GitHub Copilot Chat」を、オープンソース化することを発表した。今後、VS CodeのOSSリポジトリにGitHub CopilotのAI機能を統合していく。

 また、GitHub Copilotでは、さまざまな開発タスクを自律的にこなす「Coding Agent」、Javaや.NETアプリのバージョンアップを支援する「アプリモダナイゼーション(App Modernization)」の機能がパブリックプレビューを迎えている。さらに、新しいエージェントとして、Aure上のシステムを監視して、トラブルシューティングのための洞察を提供する「Azure SRE Agent」も登場している(パブリックプレビュー)。

GitHub Copilot Coding Agent

Microsoft 365 Copilot:Copilotをファインチューニングできる「Microsoft 365 Copilot Tuning」

 Microsoft 365 Copilot関連では、企業の独自データでCopilotのAIモデルをファインチューニングできる「Microsoft 365 Copilot Tuning」が発表された。この機能で企業に最適化したモデルは、Agent Builder(Copilot Studio)で構築するエージェントでも活用できる。今後、5000以上のライセンスを保有するMicrosoft 365 Copilotのユーザー企業に対して、アーリーアクセスプログラムが展開される予定だ。

Microsoft 365 Copilot Tuning

 Teams向けのエージェントを開発可能な「Teams AI Library」では、MCP(Model Context Protocol)に加えて、Agent2Agent(A2A)プロトコルもサポート。Teams内でのやりとりを覚えて、パーソナライズされた回答を返す「Memory」機能も追加された。ローコード・ノーコードのAIアプリ開発基盤「Copilot Studio」では、複数のエージェントが連携して、広範囲なタスクにも対応可能な「Multi-agent Orchestration」の機能を追加している。

Azure AI Foundry:ローカル環境でAI開発するための「Azure AI Foundry Local」

 開発プロ向けのAIアプリの開発基盤「Azure AI Foundry」においては、エージェント開発のための「Azure AI Foundry Agent Service」が一般提供開始となった。この基盤では、マルチエージェントを開発するための「Semantic Kernel」や「AutoGen」といったSDKも提供され、MCP・A2Aプロトコルにも対応している。

 また、Azure AI Foundry Modelsが対応するモデルに、xAIの「Grok 3」と「Grok 3 mini」が加わった。OpenAIのAIモデルから、性能やコストが最適なモデルを自動選択する「Model Router」の機能も発表されている。Azure AI FoundryでファインチューニングしたモデルをCopilot Studioで利用可能にする「Bring your own models to Copilot Studio」機能も、パブリックプレビューを迎えた。

 加えて、Windows 11とMacOSのローカル環境でAIモデルを実行可能な「Azure AI Foundry Local」も登場した(パブリックプレビュー)。あわせて、このFoundry Localを統合したローカルでのAI開発プラットフォームである「Windows AI Foundry」も発表されている。これは、Windows Copilot Runtimeを進化させたものになり、AIアプリ開発のライフサイクル全体をローカルのWindows上で実行可能だ。

Windows AI Foundry

オープンなエージェント型Web実現に向けて:WindowsのMCP対応、次世代のHTML「NLWeb」も

 最後に、「オープンなエージェント型Web」を実現するためのアップデートを紹介する。この世界において、従来のWebにおける“HTTP”のような役割を果たすのが、LLMが外部データやツールとやりとりする標準プロトコル、MCPである。

 Microsoftでは、GitHubやCopilot Studio、Dynamics 365、Azure AI Foundryなど、MCPへの広範なファーストパーティ対応を進めている。今回発表されたのが、WindowsにおけるMCPのネイティブサポートだ。今後数カ月以内に、一部パートナーにプライベート開発者プレビューとして提供される。

 MCP対応では、エージェントがWindowsにインストールされたMCPサーバーを検出できるようにする「MCP Registry for Windows」と、ファイルシステムやウィンドウ、WSL(Windows Subsystem for Linux)といったWindowsのシステム機能をあつかえるようにする「MCP Servers for Windows」を提供する。また、開発者向けには、Windows上のアプリの特定機能をエージェントに提供するための「App Actions」も用意。なお、App Actions APIは「Windows SDK 10.0.26100.4188」以降で利用できる。

エージェントがWindowsとつながる仕組み

 もうひとつ、オープンなエージェント型Webの世界における、次世代の“HTML”として発表されたのが、オープンプロジェクトとして進められる新技術「NLWeb(Natural Language Web)」だ。Schema.orgやRSSなどの半構造化データとLLMツールを組み合わせて、Webサイトに自前のデータと好みのLLMを用いた、会話型のインターフェイスを追加できる技術になる。さらに、NLWebのエンドポイントは、MCPサーバーとしても機能するため、エージェントもWebサイトのコンテンツにアクセス可能になる。

NLWebのイメージ

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