5月はSusHi Techに万博、海外スタートアップエコシステムを日本で知れるぞ
北島×ガチ鈴木の最近何してた?
万博、SusHi Tech……5月のイベントシーズン、どう動く?
北島:大阪・関西万博も始まったし、5月には「SusHi Tech Tokyo 2025」をはじめ、イベントが目白押しだね。
ガチ:GW明けから特に密度が高いです。7〜8日はBeyond Next Venturesの「TECHNIUM Global Conference」、8〜9日はSansanの「Startup JAPAN EXPO 2025」など、大型イベントが続きます。
大阪・関西万博の会場でもスタートアップ系の催しがいくつかありますよ。北欧パビリオンの「北欧スタートアップデー」と、5月12日にフランスパビリオンで開催される「フレンチテック&イノベーションDAY@大阪万博」をはじめ、各国がスタートアップ、イノベーションでパビリオン、また大阪市内でイベントが盛りだくさん。
北島:イベントが重なって大変だけど、海外からエコシステム関係者が一斉に集まるという意味では、万博とSusHi Techのタイミングはいい相乗効果を生んでるのでは。
ガチ:そうですね。とくにSusHi Techは、グローバルカンファレンスとして本当に海外に認知されてきています。今年は万博の後押しもあるけど、それ抜きでも「SusHi Tech」というブランドが確立されていっている感じがします。
北島:「SusHi Tech」って、名前だけ見ると食のイベントっぽいっていう意見もあったけど、海外ではちゃんと浸透してるんだね。先日、宮坂副知事に取材したときも、「批判があっても、失敗しても経験が残ればいい」と言い切っていて、10年、20年スパンでの覚悟を感じたよ(記事)。
ガチ:去年は、フランスの「Viva Technology」とドバイの「GITEX Global」に行ったんですが、どこでも東京都のブースがあって、東京都の吉村室長や宮坂副知事が現地でトップ営業をしていたのが印象的でした。あの積み重ねが、今につながってるんでしょうね。
グローバル化する国内カンファレンス
ガチ:ちなみに福岡では去年から「RAMEN TECH」というグローバルカンファレンスが始まってますし、愛知の「Tech GALA Japan」もSXSWと連携してグローバル感を強めているようです。最近の大型カンファレンスは、どこも“グローバル”を強く意識して設計されていますね。
北島:みんな「SXSWみたいなイベントにしたい」っていうよね。札幌の「NoMaps」もそう。
ガチ:この前、家の掃除してたら、「SXSW 2014」のチケットが出てきたんですよ。
北島:アスキーでスタートアップの企画が始まったのは2014年の秋なので、まだ我々のスタートアップ取材はまだ始まってないよね? 週アスの取材で行ったの?
ガチ:そうです。テキサス州にあるDellの工場見学で現地に行ったんですけど、ちょうどSXSWが開催されてて。町中がフェス状態で、プレスだって言ったらパスをもらえて、少しだけ会場を回ったんですよ。
北島:あのオースティンの“お祭り感”、やっぱり全然違うよね。町全体が盛り上がってて、ビジネスもテックも関係ない人たちまで巻き込んでる。あれは、みんなやりたくなるよ。(記事)
ガチ:そう、地元の人たちが主体的に動いてるから、公式イベントとは別に勝手に盛り上がる催しも自然発生してるんですよね。SXSWを体験したら「うちでもやりたい」って思う気持ち、よくわかります。でも、どんな“エンタメ”をくっつけるかがポイントな気がします。
北島:SXSWは「音楽」がめちゃくちゃ強い。札幌のNoMapsは「映画」とくっついて、札幌国際短編映画祭と連携してるよね。じゃあ、SusHi TechやRAMEN TECHは、何をくっつける?
ガチ:それこそ、今年はSusHi Techの直前にニコニコ超会議もあるし、くっつけちゃえばいいのに。
「都市×スタートアップ」の最前線、注目は高輪ゲートウェイ
北島:SusHi Tech以外で注目してるイベントってある?
ガチ:個人的に楽しみにしてるのは、5月13日、14日に高輪ゲートウェイで開催される「Gateway Tech 高輪カンファレンスイベント」ですね。会場は、開業したばかりの「TAKANAWA GATEWAY CITY」。スタートアップと地域イノベーションで新しい街を育てていこうというコンセプトのもと、展示と実証実験を組み合わせた新しいタイプのカンファレンスです。
北島:初開催で、100社以上のスタートアップが出展するんだよね。テーマは「環境」「モビリティ」「ヘルスケア」の3本柱。新駅とビルを整備して、そこに生まれる都市空間のなかで実証実験を行っていくという、かなりリアルに都市開発とスタートアップが結びついたモデルだね。
ガチ:そうですね。例えば「PLATEAU」のような3D都市データの活用や、MaaS(Mobility as a Service)のような都市インフラ系の技術が、街そのものに溶け込んでいく。そうした事例が見られると期待しています。
国内で完結するのではなく、こうした都市づくりのプロセスをパッケージ化して、中東や東南アジアに展開できたら、めちゃくちゃ美しいですよね。
海外で勝負するスタートアップと、連携・支援のこの先
北島:最近会ったスタートアップで印象に残ってるところってある?
ガチ:直近では、ベトナムで飲食店向けに食材調達BtoB-ECを展開しているKAMEREOの代表の方とお話しました。もともとは、飲食店と市場をつなぐ“Uber的なマッチングプラットフォーム”からスタートしたんです。でも、配達を担うのが素人でなかなかうまくいかなかった。そこで発想を大きく転換して、ロジスティクスの仕組みや裏側のシステムをゼロから構築し、サプライヤーと連携したフルフィルメント体制を丸ごと自前で整備したんです。
北島:それって、マレーシア中心に展開してる東南アジア産直ECの「SECAI MARCHE」(記事)と近いね。
興味深いのは、その両社に国内で生鮮流通のプラットフォームを展開するフーディソンの山本徹さんがエンジェル出資していること。KAMEREO、SEKAI MARCHEと、地域もアジア圏で共通してるから、自然と情報交換もしてそうだし。“華僑”ならぬ“和僑”のようなスタートアップネットワークが生まれてきたら面白い。こういった海外にインフラごと立ち上げるスタートアップが近年は増えてる印象がある。
ガチ:すごくいい傾向ですよね。KAMEREOはシリーズAである程度仕組みを固めて、シリーズBでは住友商事が出資。商社が入ったことで、今後一気にスケールしていく可能性があります。日本のスタートアップ政策も、今は「外貨を獲得すること」が大きな目標になっているので、こうしたモデルは注目されるでしょうね。
北島:食品物流って、地域のネットワークが命だからね。SECAI MARCHEの創業者も「最初は作物を背負って、店を行商してまわった」って言ってた。そういう泥臭いことができるのって、スタートアップならではだよね。商社だけでは手が出しづらかった領域に、スタートアップが挑んで、成長しながら出資も引き寄せていくっていうのは、理想的なモデルだと思う。
ガチ:とはいえ、実際に海外でやるのは本当に大変だと思います。現地のリアルは、行ってみないとわからない。我々もそうですが、途中から関わる支援者側って、スタートアップの一番きつい時期を知らないことが多い。みなさんあえて苦労を見せないし、だからこそ軽々しくアドバイスなんてできない。だからこそ、伴走できる支援者としてもシリアルアントレプレナーの存在が本当に重要なんです。
北島:そうだね。エンジェル投資やVCという立場でも、同じ経験している人が関わってくれるだけで、ものすごく心強いよね。
ガチ:僕らメディアとしても、現場に足を運びながら、しっかりとみなさんの思いをキャッチしていきたいですね。
北島:イベントに参加される方は、ぜひ現地で。5月からさっそく体力勝負ですが、がんばっていきましょう!






























