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新世代TPU「Ironwood」も発表、前世代比でピーク性能は5倍、電力効率は2倍に

「Google Cloud Next」でAIエージェント機能を大幅強化、エコシステムづくりも進める

文●末岡洋子 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

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Google WorkspaceではGeminiの統合が進む

 ビジネス生産性スイートの「Google Workspace」でも、Geminiの統合が進んでいる。

 Google Cloudでは今年1月、Google Workspaceのすべての商用ライセンスに対し、Geminiの全機能を組み込む発表を行っている。Google Cloud グローバルスペシャリティセールス Google Workspace 事業本部 ソリューション営業部 本部長の吉村光平氏は、「Geminiを全ユーザーが使える状態になっている」と説明する。

 今回のNextでは、「Googleスプレッドシート」の新機能として、Geminiがデータを自動で分析し、グラフを作ったり、データからインサイトを表示する機能を発表した。

 まったく新しい機能となるのが「Google Workspace Flows」だ。これは、Google Workspaceのアプリ間をまたいだワークフローを作成できる自動化機能である。吉村氏は「これまでフローを作成するにはルールベースで記述する必要があったが、ルールを記述することなく、自然言語でGeminiに指示を与えるだけで自動化ができる」と説明した。

AIエージェントの開発ツール組み込み、“Googleならでは”のポイント

 Oracleとの提携による「Oracle Database@Google Cloud」が、Google Cloud 東京リージョン/大阪リージョンでサービス提供を開始したことが発表された。

 寶野氏は「他のプロバイダ(AWS、Azure)よりも早く、東京と大阪に対応できた」と述べ、東西でのDR構成も可能であることを強調した。「Google Cloudを使いたいが、既存の資産(Oracle Database)はそのまま動かしたい、モダナイゼーションのニーズなどで、かなりの引き合いがある」という。

 開発者向けの大きな発表としては、コーディング、コードレビュー、テスト、ドキュメント作成といった作業を支援するAIエージェント機能「Gemini Code Assist Agent」がある。タスクをカンバン形式で可視化し、AIエージェントが実行中のタスクが把握できる。下田氏は「開発全体の可視化と自動化、そしてオーケストレーションを体現しているようなイメージ」と説明した。

 開発系ではもうひとつ、「Gemini Cloud Assist」がプレビューとして発表された。これは、アプリケーションの設計、実装、運用、コスト/性能の最適化といった、アプリケーションのライフサイクル管理を支援するAIエージェント機能。自然言語を用いて運用効率を改善できる。

 Gemini Cloud Assistの狙いについて、下田氏は「Google自身がアプリケーションを開発している。開発作業はコードを書くだけではないということを熟知しているからこそ、各フェーズをしっかり支援する。開発も運用も統合して支援していく」と述べた。

* * *

(左から)Google Cloud AI/ML 事業開発部長 下田倫大氏、Google Cloudテクノロジー部門 兼 事業開発本部 執行役員の寳野雄太氏、Google Cloud グローバルスペシャリティセールス Google Workspace 事業本部 ソリューション営業部 本部長 吉村光平氏、Google Cloud 技術部長(インフラ、アプリケーション開発、データベース)の安原稔貴氏

 まとめとして、日本向けに解説してくれた4氏に、今回のGoogle Cloud Nextのハイライトをそれぞれ総括してもらった。

寳野氏:「Agentspaceに大きな関心をいただいているが、AIエージェントを進めるにあたってプラットフォームが必要ということを改めて示すことができた」
吉村氏:「Agentspaceの活用により、Google Workspaceの外にあるデータに対してもエージェント同士が連携する未来が見えてきた」
安原氏「Cloud WAN、お客様の反応からGoogleのインフラへの期待値が高いことを実感した。GoogleのGeminiだけでなく、他のモデルを使う場としてもGoogle Cloudを選んでもらっている」
下田氏「Agentspaceはやはり大きな反響がある。Googleはプラットフォーマーと思っていただいているので、Agentspaceのようなプラットフォームにポジティブな印象を持ってもらっている。AgentspaceとNotebook LM、Chromeとの連携の発表はエコシステムを見せることができた」

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