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新清士の「メタバース・プレゼンス」 第101回

ChatGPT、“ジブリ風”で世界騒然 画像生成AIが「自己回帰」で新時代に

2025年04月07日 08時00分更新

文● 新清士

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既存のキャラクターに類似していないか注意が必要

 ところで、登場時は「ジブリ風」が話題になりましたが、他にもディズニーなどを含む、いろんなアニメーションやマンガ風の画像を出力できます。どれくらい大量の画像を学習したのかは明らかになっていませんが、様々なスタイルのタッチが再現できる程度に学習されていることは間違いありません。

△様々なスタイルを試しているXへの投稿例

 米TechCrunchは、ジブリ風の画像によるAI著作権問題を扱った記事(OpenAI’s viral Studio Ghibli moment highlights AI copyright concerns)で、OpenAIが「個々の存命アーティストのスタイルを複製することは拒否する一方で、より広範なスタジオのスタイルを複製することを許可している」とコメントしていました。実際に存命アーティスト風の画像生成を試してみたところ、拒否されました。

 一方で、「ジブリ風」といったスタイルだけでは、著作権侵害に当たらないという解釈が正しいということが専門家からは発言が相次ぎました。例えば、AIと知財に詳しい福岡真之介弁護士は、Xでの投稿で、「ジブリ風だけでは著作権侵害にはならない。生成画像がジブリのキャラと似ている場合に限り著作権が問題となる。したがってジブリキャラと似ている場合には使わない方が良い」と発言しています。

△福岡真之介弁護士の発言

 著作権法上、スタイルは著作権法上保護されない「アイデア」として理解され、それ自体は著作物として認められないためです。これは世界の共通した考えであるようです。

 一方で、AI生成物の場合は「類似性と依拠性」が大きくポイントとなるため、まずは生成された画像が何かに類似しているかどうかが、著作権侵害の判断のポイントになります。たとえば、特定のキャラクターにそっくりだった場合は、侵害行為に該当する可能性が出てくるわけです。そして、その出力結果は、出力者により責任があると考えられ、SNSなどで公開した場合には、著作権侵害の責任が公開者に問われることになります。利用の際には、既存の著作物に類似していないかに注意する必要があります。

 現在、学習段階で大量のデータを集める行為が著作権侵害に当たるかどうかは、アメリカでも裁判が進められています。その結果が将来のOpenAIのサービス展開に影響を与える可能性はあります。ただ、利用者がその責任を問われることは、まずないと考えられます。

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