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新清士の「メタバース・プレゼンス」 第100回

動画生成AI、革命の兆し 「Stable Diffusion」級の衝撃再び

2025年03月31日 07時00分更新

文● 新清士

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アダルト、特殊表現もLoRAで爆発

 Civitaiには、既に様々なLoRAが登場しています。はっきり言えば、今のところアダルト系LoRAが多い印象です。Wan 2.1は、学習時に「過度に露出が高い」学習データをフィルタリングで外していることを技術レポートで明らかにしています。実際に過度に性的な動画を作ろうとすると、適切に生成できないことがあるようです。しかし、ローカルの強みは検閲のないデータ作成にもあるため、自分たちで追加しようという動きは出てくるわけです。

 動画としての面白さを追求する特殊表現LoRAを次々に開発する人たちも出てきています。

 Remadeというグループは、ほぼ毎日のように特殊表現LoRAを公開しています。ここが開発して話題になったのが、「360度LoRA」です。1枚の画像をその場で回転させ、360度の画像を作ってくれます。かなり精度も高く、表現としての面白さだけでなく、動画から静止画を切り出すことで、特定キャラクターをさまざまな角度からとらえた2D生成用LoRAの素材に活用できる点や、3Dモデル作成に必要な三面図の作成にも適していることから、注目を集めました。この特殊表現は、動画サービスのPixVerseが「360°Microwave(360度レンジ)」という名称ですでにサービスとして展開していますが、ローカルPC環境では実現できていませんでした。

 同様に、画像をケーキ化する「Cakeify」、潰してしまう「Crush Effect」、すべてのものを潰してしまう「Squish Effect」などのLoRAも次々に発表しています。これらも動画生成サービスのPikaLabsなどが展開していた特殊効果によく似ていますが、いずれもローカルPC環境では再現する方法がなかったものです。また、正面の人物像から目だけのアップにするような「Eye Extreme Close-Up」といったLoRAも開発されており、LoRAを使ったカメラ制御も成功しつつあります。

Remadeが公開している様々なLoRA。Wan 2.1用だけで25種類(3月30日現在。Civitaiのリンクはこちら

▲360度LoRAを試している例

▲360度LoRAとプロンプトを組み合わせることで、バイクの進行方向を変更させるような動画を作ろうとした例。画像はGPT 4oイメージ機能で作成

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