最新パーツ性能チェック 第464回

マルチフレーム生成がなくても十分？

Radeon RX 9070シリーズの仕上がりは想像以上だったことがゲームベンチでわかった

DLSS MFGの前には歯が立たず

「S.T.A.L.K.E.R. 2: Heart of Chornobyl」

　S.T.A.L.K.E.R. 2: Heart of Chornobylでは画質“ウルトラ”、DLSS/ FSR 3 “クオリティー”およびフレーム生成も追加、さらにRTX 5070およびRTX 5070 TiはDLSS MFG (4x)に設定。ゲーム中最初に到達する拠点内において一定のコースを移動した際のフレームレートを計測した。

S.T.A.L.K.E.R. 2: Heart of Chornobyl：1920x1080ドット時のフレームレート

S.T.A.L.K.E.R. 2: Heart of Chornobyl：2560x1440ドット時のフレームレート

S.T.A.L.K.E.R. 2: Heart of Chornobyl：3840x2160ドット時のフレームレート

　DLSS MFGが出てくるとマルチフレーム生成に対応していないRadeon勢はどうしても見劣りしてしまうのは致し方ない。ただRTX 40シリーズや既存のRX 7900 XTおよびRX 7900 GREと比較するとRX 9070シリーズは着実に1ランク以上高いフレームレートを出せている点は素晴らしい。

　また、本ゲームはFSR 4にも対応しているがフレームレートに変化はなかった。画面を観察する限り、検証時点では画質が向上した感が希薄だったため、まだ十分に機能していなかった可能性もある。

S.T.A.L.K.E.R. 2: Heart of Chornobyl：ベンチマーク中におけるTBPの平均値（単位：W）、および10Wあたりのワットパフォーマンス（単位：fps）

　DLSS MFGが使えるRTX 50シリーズのワットパフォーマンスが高くなるのは仕方ないが、RX 9070シリーズのうち特にRX 9070は前世代に比べても格段に向上している。RX 9070 XTは今回集めたGPUの中でゲーム中のTBPが最も高いため、ワットパフォーマンス的には今ひとつな結果になったが、それでもGeForce勢のRTX 40シリーズと遜色のないワットパフォーマンスを獲得している。

「Marvel Rivals」

　Marvel Rivalsの画質は“最高”、DLSS/ FSR 3 “クオリティー”に設定し、さらにフレーム生成とDLSS MFG (4x)も有効化。訓練場で一定のコースを移動した際のフレームレートを計測した。

Marvel Rivals：1920x1080ドット時のフレームレート

Marvel Rivals：2560x1440ドット時のフレームレート

Marvel Rivals：3840x2160ドット時のフレームレート

　S.T.A.L.K.E.R. 2と同様にRX 9070シリーズのパフォーマンスはRTX 40シリーズより高く、DLSS MFGを使用したRTX 50シリーズには敵わない。DLSS MFGがないRTX 50シリーズのデータはとっていないが、DLSS MFGのないRTX 50シリーズはRTX 40シリーズと大差ないというこれまでの知見と合わせると、RX 9070 XTであれば確実にRTX 5070より上になると思われる。

Marvel Rivals：ベンチマーク中におけるTotal Board Powerの平均値（左3つ。単位：W）、および10Wあたりのフレームレート（右3つ。単位：fps）

　TBPの傾向は他のゲームと同じ。特にRX 9070 XTのTBPが高いが、ワットパフォーマンス的は今ひとつな結果に終わっている。ここでもRX 9070のワットパフォーマンスはRTX 40シリーズと比べても1枚上手だ。

「SILENT HILL 2」

　SILENT HILL 2は画質“最高”、レイトレーシングをオンに設定。DLSS/ FSR 3 “クオリティー”、フレーム生成やDLSS MFG (4x)も有効化。新ゲーム開始直後、下山〜最初のカットシーン直前までのコースを移動した際のフレームレートを計測した。

SILENT HILL 2：1920x1080ドット時のフレームレート

SILENT HILL 2：2560x1440ドット時のフレームレート

SILENT HILL 2：3840x2160ドット時のフレームレート

　RX 7900 GREでもFSR 3のフレーム生成を使えば4Kでなんとか60fps近くまで出せるが、RX 9070であればさらに余裕を持ったフレームレートでプレイ可能だ。そしてその性能がRTX 4070 Ti以上である点にも注目したい。RX 9070 XTであれば、4K＋最高画質設定でも60fpsをほとんど下回らないような環境が期待できる。

SILENT HILL 2：ベンチマーク中におけるTBPの平均値（単位：W）、および10Wあたりのワットパフォーマンス（単位：fps）

　RX 9070 XTのTBPが特に高いが、これはテスト用カードが強めのファクトリーOCモデルであるため、RX 9070 XTの本来の傾向とは異なる可能性があることを念押ししておきたい。

「Indiana Jones and the Great Circle」

　Indiana Jones and the Great CircleはRadeon環境でもパストレーシング（PT）やFSR 3が利用できるようになった。今回も画質は“ウルトラ”をベースに“フルPT”を有効化。パストレーシング設定は最も重い設定とした。そしてDLSS / FSR 3 “クオリティー”、さらにフレーム生成とDLSS MFGも有効化した。マップ「サンタンジェロ城」内の一定のコースを移動した際のフレームレートを計測した。

Indiana Jones and the Great Circle：1920x1080ドット時のフレームレート

Indiana Jones and the Great Circle：2560x1440ドット時のフレームレート

Indiana Jones and the Great Circle：3840x2160ドット時のフレームレート

　本ゲームにおけるフルパストレーシング設定は極めてVRAM消費量が多いため、GPUのスペック次第ではメニュー画面から動けなくなる。グラフで数値のないものはすべてそういった“計測に値しない”状況であることを示している。

　RTX 5070をはじめとするVRAM 12GB搭載のGeForceはフルHDでどうにか動くものの、WQHDでは10fps程度、4Kになると2fps程度に下がる。GeForce勢において4Kで動くのはVRAM 16GBを擁するRTX 5070 Tiのみである。つまりRadeonとGeFoeceでVRAM搭載量の重みが若干異なることを示している。

　一方RadeonではフルHDではFSR 3のフレーム生成があるおかげで100fps程度のフレームレートを出せているがRX 7900 GREはフレームレートが低過ぎ計測を断念。そしてWQHDになるとRX 9070 XTとRX 7900 XTのみが動作、4KではRX 7900 XTのみという状況であった。単純なVRAM搭載量で動作の可否が決まるというよりも、GPU自体の処理性能も動作可否に関係しているのかもしれない。WQHDでRX 9070が動かないのにRX 9070 XTで動かなかったのは理解に苦しむ。

Indiana Jones and the Great Circle：ベンチマーク中におけるTBPの平均値（単位：W）、および10Wあたりのワットパフォーマンス（単位：fps）

　解像度によっては動かない条件が多く発生してしまったため、0の欄が目立つ。RTX 5070で唯一プレイが可能だったフルHDだけに注目すると、RTX 4090の2/3程度の電力でほぼ同レベルのフレームレートを出せている。