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最新パーツ性能チェック 第464回

マルチフレーム生成がなくても十分?

Radeon RX 9070シリーズの仕上がりは想像以上だったことがゲームベンチでわかった

2025年03月19日 10時00分更新

文● 加藤勝明(KTU) 編集●北村/ASCII

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FSR 3 FGだけでも十分強い?

 ここから先はレイトレーシングの他にアップスケーラー(DLSSやFSR 3)やフレーム生成(DLSS FG)を積極的に使用する。

「Call of Duty (Black Ops 6)」

 先ほどに続いてCall of Duty (Black Ops 6)を使用する。画質は「極限」設定だが、ここではFSR 3 FG(Frame Generation:フレーム生成)やDLSS FGを追加し、さらにRX 9070シリーズにおいてはFSR 4を有効化したパターンも見てみよう。DLSS / FSR 3/ FSR 4の設定は“クオリティー”に設定。ゲーム内ベンチマーク再生時のフレームレートを計測した。

Call of Duty (Black Ops 6):1920x1080ドット時のフレームレート

Call of Duty (Black Ops 6):2560x1440ドット時のフレームレート

Call of Duty (Black Ops 6):3840x2160ドット時のフレームレート

 アップスケーラーを使わない時のフレームレートと比較するとRX 9070シリーズのフレームレートの出方が変であることに気がついただろうか?

 RX 9070シリーズのフルHDやWQHDはフレームレートがまったく伸びていないが、4Kまで解像度を上げると人が変わったようにピリッとした結果を出す。先のCivilization VIIと似たパターンである。

 フレーム生成が入っているのでRX 9070シリーズであれば4K+極限設定であっても平均150〜180fpsは出せるのは素晴らしい。この理解に苦しむ挙動はゲーム側の実装にあるのか、評価用ドライバーの出来に由来するのかよくわかっていない。

 また、FSR 4に関してはFSR 3使用時と大差ないか、フレームレートが若干下がるような挙動が多く観測された。アップスケール処理をAIアクセラレーターに処理させるためそこがボトルネックになるかと思われたが、この結果を見るかぎり軽微な性能低下にとどめているのは素晴らしい。

Call of Duty (Black Ops 6):ベンチマーク中におけるTotal Board Powerの平均値(左3つ。単位:W)、および10Wあたりのフレームレート(右3つ。単位:fps)

 RX 9070シリーズのフルHDやWQHDでの挙動がおかしい点はTBPにも表れている。特にフルHDでは100W前後にまで下がっており、ちゃんとGPUに仕事をさせていない状態だったといえる。ただRadeonの評価用ドライバーでは得てしてこうなることがあるので、改善されるのも時間の問題だろう。

「Monster Hunter: Wildsベンチマーク」

 Monster Hunter: Wilds公式のベンチマークツールでは画質は“ウルトラ”、レイトレーシング“高”に設定。DLSS/ FSR 3は“クオリティー”とし、フレーム生成も追加。本稿の検証時点ではFSR 4に対応していなかったため、FSR 3での比較となる。ベンチマークシーン再生時のフレームレートを計測した。

Monster Hunter: Wildsベンチマーク:1920x1080ドット時のフレームレート

Monster Hunter: Wildsベンチマーク:2560x1440ドット時のフレームレート

Monster Hunter: Wildsベンチマーク:3840x2160ドット時のフレームレート

 平均フレームレートにおいてMonster Hunter: WildsはRadeonの方が向いているというこれまでの知見を裏切らない結果となったが、最低フレームレートにおいて「評価用ドライバーの性能は」既存のRX 7900 XTやRX 7900 GREを下回っている。

 特に4Kではベンチマーク終盤、オアシスから村落へ入るシーンにおいてRTX 5070等と同様にフレームレートが激しく下がる、一部オブジェクトのレンダリングにおいてポップアウト(低クオリティーで出てから高クオリティーに突然変化する)などが発生している。ただこのあたりはよくある“Radeonの仕草”であるため、製品版では改善されていることを期待したい。

Monster Hunter: Wildsベンチマーク:ベンチマーク中におけるTotal Board Powerの平均値(左3つ。単位:W)、および10Wあたりのフレームレート(右3つ。単位:fps)

 今回の検証ではベンチマーク中のTBPが解像度に連動する例の希少なサンプルである。とはいえRX 9070シリーズのTBPはGeForce勢よりも高い値を示している。RX 9070 XTの場合ワットパフォーマンスは“フレームレートが伸びる分TBPも増えた”と評することができるが、RX 9070に関してはワットパフォーマンスにおいてRTX 5070やRTX 5070 Tiの同等以上となった。

「Ghost of Tsushima DIRECTOR’S CUT」

 Ghost of Tsushima DIRECTOR’S CUTでは画質“非常に高い”、DLSS/ FSR 3 “クオリティー”およびフレーム生成も有効化。マップ“日吉の湯”における一定のコースを移動した際のフレームレートを計測した。

Ghost of Tsushima DIRECTOR’S CUT:1920x1080ドット時のフレームレート

Ghost of Tsushima DIRECTOR’S CUT:2560x1440ドット時のフレームレート

Ghost of Tsushima DIRECTOR’S CUT:3840x2160ドット時のフレームレート

 最低フレームレートにおいてRX 7900 XTはRX 9070シリーズよりも明確に上回っている一方で、平均フレームレートではRX 9070に負けてしまう。メモリーのバス幅からくる制約なのか、ドライバーの出来なのか判断しかねる部分だがRX 9070シリーズはスペックを絞っているにも関わらず格上扱いのRadeonのみならず、RTX 5070 Tiなどにも明確なアドバンテージを獲得している。

 もっとも、このGhost of Tsushimaはソニーと関連の深いメーカーが開発しているため、Radeonに対する最適化のノウハウが十分に蓄積されていると思われる。

Ghost of Tsushima DIRECTOR’S CUT:ベンチマーク中におけるTotal Board Powerの平均値(左3つ。単位:W)、および10Wあたりのフレームレート(右3つ。単位:fps)

 RX 9070は解像度に関係なくTBPはほぼフラットなのに対し、上位モデルであるRX 9070 XTは解像度と連動するようにTBPが変化している。ワットパフォーマンスにおいてRX 9070 XTよりRX 9070の方が圧倒的に優秀だが、それでもフルHDではRTX 5070 Tiより微妙に下となった。

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