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スタートアップ支援におけるトップランナー達が本気で挑む! 「ICTスタートアップリーグ」から世界で活躍できるスタートアップを輩出するための支援とは?

【支援金最大2000万円】令和7年度 ICTスタートアップリーグの支援対象者を募集

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ICTスタートアップリーグ

提供: ICTスタートアップリーグ

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日本国内での小さな成功か、最初からグローバルに挑戦するべきか

福田:最近の傾向として、「上場すれば御の字」というスタートアップが増えているように感じるのだが、どう思う?

岡本:小粒なイグジットを狙うことにもやもやする思いはありますが、一概には否定できません。海外のスタートアップには、2回目の挑戦で成功した例が多くみられるからです。金銭的に余裕があるからこそ大きなチャレンジができ、成功確率が高まることもあると思います。

名倉:何度でも挑戦できるようになったのは、日本のエコシステムが成熟してきた証拠だと思います。失敗に対して寛容になってきたし、セカンドチャンスも増えてきました。2000年代前半にはVCがほとんどなく、資金調達の概念もありませんでしたから。今の20代、30代の起業家は、20年後には多くの経験を積んでいるはずで、それってすごいことですよ。その頃にはエコシステムの幅や深さも相当に広がっていそうです。

福田:しかし、今は日本の市場だけでは通用しない時代。それでも日本で成功すればいいのだろうか。最初から世界を見据えた事業を考えるべきでは。

名倉:日本国内での成功が勝ちパターンだと認識されてしまうと、グローバルに挑戦する人が減ってしまうのは問題です。一方で、世界での成功を目指すのは良いことですが、リスクも大きく、そのリスクを受け止められるほど日本社会が追い付いていないとも感じます。

岡本:スタートアップがグローバルに進出しない原因のひとつがグローバル人材の不足だと思います。大手の製造業や商社にはグローバル人材がいるけれど、その人たちはスタートアップマーケットには出てきません。人材が流動しやすい社会的な仕組みを整えることが重要です。

奥田浩美氏(株式会社ウィズグループ代表取締役、以下奥田):サウス・バイ・サウスウエスト(SXSW)の日本企業の出展枠が埋まらなくて困っていると国から相談を受けたことがあります。せっかくお金を投じて出展枠を買っているのに、人が集められず、「場」だけを用意して、ハブができていないのが問題です。

株式会社ウィズグループ 代表取締役 奥⽥ 浩美氏

中村亜由子氏(株式会社eiicon代表取締役社長、以下中村):例えば、沖縄の企業などは立地的にも海外市場にアクセスしやすいですし、アクアポニックス(魚の養殖と水耕栽培を組み合わせたシステム)などは国内よりも海外のほうが受け入れられやすいです。言語の壁や海外へ挑戦することへの不安感を克服できるようなグローバルマッチングを提供することで、飛躍するスタートアップは少なくないと思います。

株式会社eiicon代表取締役社長/株式会社XSprout取締役 中村 亜由⼦氏

福田:自治体も海外展開に力を入れている。海外市場に出たいが伝手がないスタートアップと、こうした自治体を結びつけることで、大きな加速が見込めるかもしれない。アイデアは豊富にあるので、つなぎ方次第でもっとうまくいくはずだ。

奥田:自治体との連携でいえば、この2月に名古屋市で開催されたテクノロジーとスタートアップの祭典「TechGALA Japan」の総合プロデュースを担当しました。このプロジェクトは日本のSXSWを目指しており、愛知だけのイベントに留まらず、東京都の「SusHi Tech Tokyo」とも連携しています。海外を目指すスタートアップの流れでは、各省庁のさまざまな施策とも連携を図れるのではないかと考えています。

世界に挑戦するスタートアップは、アスリートやアーティストと同じ

福田:正直、スタートアップは必死でやらないと世界には勝てないと思っている。寝食を忘れて夢中でやるからこそ成功する。しかし今のご時世では、ブラックな働き方は推奨されないので、我々としては叱咤激励する加減が難しい。みんなはどう考える?

岡本:プロフェッショナル道を極めようとしているのに、その働き方を認めないのはおかしいですよね。雇用で働く人と経営者は別物として捉えるべきでしょう。スタートアップの社員が長時間働かされるのは問題ですが、経営者には寝食を忘れて取り組む自由があり、その挑戦の機会を提供すべきです。

名倉:NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)のプロジェクトでは労働時間が厳格に定められていますが、それは長時間労働が重大な事故につながる恐れがあるからです。ICTスタートアップリーグも「研究開発費」ではありますが、いわゆる国プロの研究者とは分けて考えるべきでしょう。アスリートやアーティストと一緒で、死ぬ気でやってもいいし、そうしなくても成功する天才もいます。強制はよくないけれど、「やってもいいですよ」と言えない社会は才能をつぶす社会だと思います。

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