スタートアップ支援におけるトップランナー達が本気で挑む! 「ICTスタートアップリーグ」から世界で活躍できるスタートアップを輩出するための支援とは?
【支援金最大2000万円】令和7年度 ICTスタートアップリーグの支援対象者を募集
提供: ICTスタートアップリーグ
総務省が推進する官民一体の取り組み「ICTスタートアップリーグ」は、3期目の支援対象者を2025年3月31日まで募集している。2月、募集開始を前にリーグ運営委員会による公式ミーティングが開催され、リーグの目指すべき未来や、採択者に期待する姿勢など多岐にわたって意見が交わされた。その中でも福田正運営委員長の「スタートアップの情熱に対して、我々は資金や人脈をどんどん投入していくのみ」という言葉からも、本気で世界で成功するスタートアップを育成していく決意が感じられた。本レポートでは、トップランナーたちによる議論が白熱したミーティングの内容をお届けする。
ICTスタートアップリーグとは?
「ICTスタートアップリーグ」は、総務省のプログラム「異能vation」の過去10年にわたる成果を受け継ぐ形で令和5年度より始動。奇想天外で野心的な研究者を支援してきた「異能vation」からもう一歩進み、総務省、スタートアップに知見を持つ有識者、企業、団体といった民間が一体となって、ICT分野におけるスタートアップの起業と成長に必要な“支援と競争の場”を提供するプロジェクトだ。
発掘と支援だけでなく、多くの人に応援してもらえるようメディアとも連携し、採択者の事業や取り組みが多くの人の目に触れる機会を増やすことで、競争を勝ち抜いていくプロフェッショナルとしての意識を育て、世界で戦えるスタートアップを育成する。また、⼦供がスポーツ選⼿になりたいと憧れるように、未来を担う⼈材が“スタートアップビジネスプレーヤー”を⽬指す未来を作ることもビジョンのひとつとして活動している。
現在募集している令和7年度の支援対象者は、ICT分野での起業を目指す個人またはグループ、スタートアップで、採択者には最大2000万円の研究開発費が支援される。経済産業省などの研究開発費助成金には、特定の審査基準や申請書の様式が定められているが、ICTスタートアップリーグの応募には決まった様式がなく、自由な様式で事業やアイデアをアピールできるのが特徴だ。
ICTスタートアップリーグにおける審査は、加点方式の総合評価ではなく、審査員の中の一人でも「どうしても採択したい」強く推すものがあれば採用される絶対評価が採用されている。支援についても、採択者各々がそれぞれのビジネスに最適な支援を相談しながら受けられるなど、型にはまらない柔軟な支援体制も魅力のひとつとなっている。
世界で通用するスタートアップをどう発掘し育成するべきか
福田正氏(ICTスタートアップリーグ運営委員会委員長、以下福田):今日はこれまでのICTスタートアップリーグの活動を振り返り、今後の支援の方法について議論したい。どうすれば未来の革新的なアイデアが集まり、より大きく成長させることができるのか。審査や運営でのアイデアがあれば聞かせてほしい。
佐々木喜徳氏(株式会社ガイアックス執⾏役員、以下佐々木):大きな流れを作るには、大きな挑戦、大きなマーケットを目指している起業家をもっと数多く採択して引き上げていかなければ、その流れについていけないと思います。僕らの課題として、どうしても審査では、成長が期待できる起業家やスタートアップを選びがちなので、もう少し挑戦的なスタートアップを選び、挑戦できるフィールドを用意したいですね。
名倉勝氏(CIC Instituteディレクター/東京工業大学特任教授、以下名倉):書類を見てすぐわかるようなものは大きな成功にはなりません。理解されにくいけれど一部の「通」には評価されるものから新しいビジネスは生まれます。その観点では、これまで採用してきた「推し方式」による審査は良いと思っています。影響力のある人が応援することで支持が広がり、成功するスタートアップを見極める基準にもなります。ただし、単なる人気取りにならないように、その両輪として事務局が資金の用途や技術の精査をしっかり行うことが重要です。
岡本祥治氏(株式会社みらいワークス 代表取締役社⻑、以下岡本):異能vationの流れもありますし、奇想天外な人々に集まってほしいですね。いくつかのスタートアップコンテストの審査委員を務めていますが、形式が決まっているものは、審査する側も正直つまらないですし、フリースタイルのほうが自由なアイデアが出てきやすいと思います。これまでの採択者も、一部の人にしか理解されないかもしれませんが、可能性がある人々が集まっている印象はあります。現時点ではVCからの投資は難しいですが、国が研究費を提供することで可能性が広がると思います。
福田:委員の目利き感がこのプログラムの特徴でもある。運営委員会は、ベストメンバーを選んでいるつもりだ。大谷翔平は時速100キロの球だとホームランを打てないというのと同じで、優秀な人は体裁が整っているとかえって選びにくく、フリースタイルのほうが逆に選びやすいこともあるのではないか。
名倉:異能vationはおもしろさやポテンシャルを重視していましたが、ICTスタートアップリーグでは、研究開発スタートアップのロールモデルとなり得る高いレベルを目指しています。それにはビジネスの成長性も厳しく評価しなければなりません。面白さやポテンシャルはフリースタイルのほうがわかりやすいけれど、ある程度はビジネスをジャッジする基準も必要だと思います。
藤本あゆみ氏(一般社団法人スタートアップエコシステム協会 代表理事、以下藤本):ICTスタートアップリーグには、成長を「強要する」という要素が絶対に必要です。そのためには、圧倒的に成長しているスタートアップを数社参加させてみるのもよいかと思います。スポーツの世界では、チームのレベルを上げるために強い選手を移籍させることがありますよね。同様に、適切な競争を通じて成長を促す仕組みは必要だと思います。
名倉:他国からの起業家に参加してもらえると、良い刺激になるかもしれません。最近は韓国のスタートアップが多く入ってきていますが、みなさん非常に優秀で、ピッチの見せ方や特許の取り方もうまいですよね。他国の起業家に研究開発費を出すことが難しければ、日本での事業開発をサポートしたり、メンターとして入ってもらったり、イベントのゲストとして招聘する方法もあるので、もっと多様な人々と出会う機会をたくさん作りたいですね。
岡本:ICTスタートアップリーグの特徴のひとつは、複数年度にわたって支援を継続することです。先輩が磨かれていく姿が後輩の励みになったり、3年目の採択者が後輩にアドバイスをしたり、といった複数年度だからできる厚みを出していきたいですね。また、スタートアップには浮き沈みがあるため、成功しなかったスタートアップに焦点を当てるのも興味深いかもしれません。





























