OpenAIが2月28日、最新AIモデル「GPT-4.5」研究プレビュー版を公開した。月額200ドル(約3万円)の「ChatGPT Pro」利用者と、開発者がAPI経由(プレビュー提供)で利用可能になる。
GPT-4.5は、推論機構を持たない「GPT」シリーズ最後のモデル。教師なし学習をスケールアップすることで、より広い知識ベース、ユーザーの意図を汲み取る能力の向上、そして進化した「EQ(心の知能指数)」を備えた。対話がより自然に感じられ、文章作成、プログラミング、実用的な問題解決などに役立つという。誤った情報を生成する「ハルシネーション(幻覚)」の頻度も低減している。
最新の情報にアクセスできる検索機能を備え、ファイルや画像のアップロードにも対応している。ただし、現時点では音声モード、動画、画面共有などのマルチモーダル機能には対応していない。
学術ベンチマークでは、GPT-4.5はGPT-4oなどの従来モデルと比較して性能向上を示しており、特に科学分野のGPQAでは71.4%、多言語理解のMMMULでは85.1%のスコアを達成している。
GPT-4.5は非常に大規模で計算負荷の高いモデルであるため、現在はChatGPT Proプランのユーザーと有料APIユーザーのみに提供している。来週中にも月額20ドル(約3000円)の「ChatGPT Plus」ユーザーにも提供を開始する予定だ。
実際にGPT-4.5を試したユーザーからは、以前のモデル(特にGPT-4やo1)と比べて文章がより自然になったという感想が出ている。先行テスターからは「『平凡なアシスタント』から『AIの親友』へと転換しようとしている」との評価もあった。SVG(ベクター画像)の出力に強いという報告もある。
ただし、その進化は劇的ではなく、「ちょっとだけ良くなった」「どこが改善したのか分かりにくい」との声も目立つ。数学や科学のテストでは先行モデル「o3-mini」に劣るなど、新モデルとして明らかな優位があるとも言いづらい。
APIの価格設定にも不満の声が挙がっている。GPT-4.5のAPI価格は現在、入力トークンが100万トークンあたり75ドル、出力トークンが100万トークンあたり150ドルに設定されている。先行モデルGPT-4o(同 2.5ドル、10ドル)に比較すると大幅に高額で、開発者コミュニティーからは「高すぎる」「価格に見合う価値があるのか疑問だ」といった声が出ている。
ただし、現在提供されているGPT-4.5は研究プレビュー版であり、今後のアップデートや利用状況で評価が変わる可能性はある。
