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GeForce RTX 50シリーズまとめ 第19回

もうAFMF 2の好きにはさせない

Smooth MotionでGeForce RTX 5070 TiはRTX 4080を完全撃破!?

2025年02月27日 10時00分更新

文● 加藤勝明(KTU) 編集●ジサトライッペイ/ASCII

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「Dead Space (2023)」

 リメイク版Dead Spaceでは画質を最高設定(RTAO含む)にして、DLSSとFSR 2は「クオリティー」に設定。RTX 5080とRTX 5070 TiはSmooth Motionを、RX 7900 GREはAFMF 2を有効化。シナリオ序盤に訪れる無重力ハンガーエリアを移動する際のフレームレートを計測した。

Smooth MotionでGeForce RTX 5070 TiはRTX 4080を完全撃破

Dead Space (2023):1920x1080ドット時のフレームレート

Smooth MotionでGeForce RTX 5070 TiはRTX 4080を完全撃破

Dead Space (2023):2560x1440ドット時のフレームレート

Smooth MotionでGeForce RTX 5070 TiはRTX 4080を完全撃破

Dead Space (2023):3840x2160ドット時のフレームレート

 Smooth Motion設定に気がつかない状態であれば、AFMF 2オンのRX 7900 GREの平均フレームレートがダントツに高い、という間違った評価を下してしまっただろう。だが、Smooth Motionをオンにすることで、RTX 5070 Tiの平均フレームレートはRTX 4080より32〜57%、RTX 4070 Ti SUPERなら49〜65%高くできる。

 Smooth Motionがオフの状態なら、RTX 5070 TiはRTX 4080よりも平均フレームレートが4%低く、RTX 4070 Ti SUPER相手でも3〜13%高い程度の“残念な”性能評価となってしまう。なお、Smooth Motion利用時に発生する画質やE-Eシステムレイテンシーへの影響については、後日改めて検証をしたいと考えている。

 だが、動きの滑らかさを重視するのであれば、RTX 5070 Tiは既存のRTX 40シリーズにはない強みを備えていると言える。

Smooth MotionでGeForce RTX 5070 TiはRTX 4080を完全撃破

Dead Space (2023):ベンチマーク中におけるTotal Board Powerの平均値(左3つ。単位:W)、および10Wあたりのフレームレート(右3つ。単位:fps)

 Smooth Motionをオン・オフした時のTBPの違いを見ると、フルHDやWQHDでは変化せず、4KではTBPが下がっている。RTX 5080検証時はこの4Kのデータだけを見てTBPが下がっていると判定したのだが、少ないデータから推測するのは危険だと反省することしきりである。

「Tom Clancy’s The Division 2」

 もう少しSmooth Motionを使った検証を続けてみよう。Tom Clancy’s The Division 2では、画質「ウルトラ」(ただし、垂直同期はオフ)に設定。このゲームはDLSSやFSRに対応していないため、レンダースケールは100%設定にした。

 なお、RTX 5080やRTX 5070 TiではSmooth Motionを、RX 7900 GREではAFMF 2を有効化。ゲーム内ベンチマーク再生時のフレームレートを計測した。

Smooth MotionでGeForce RTX 5070 TiはRTX 4080を完全撃破

Tom Clancy’s The Division 2:1920x1080ドット時のフレームレート

Smooth MotionでGeForce RTX 5070 TiはRTX 4080を完全撃破

Tom Clancy’s The Division 2:2560x1440ドット時のフレームレート

Smooth MotionでGeForce RTX 5070 TiはRTX 4080を完全撃破

Tom Clancy’s The Division 2:3840x2160ドット時のフレームレート

 WQHDまではRX 7900 GREがとにかく強い。Smooth MotionがなければRadeon圧勝で終わったことだろう。ただし、RTX 5070 TiやRTX 5080の実売価格の高さを考えると、コストパフォーマンス的にはRX 7900 GREが圧倒的に優れている。

 しかし、今までDLSS FGの恩恵が得られなかったゲームでも、Smooth Motionによってフレームレートをかせげるようになった点は評価すべきだろう。さらに言えば、このゲームはメモリー帯域よりもSM数(Streaming Multiprocessorのほう)がカギになるようで、Smooth Motionオフ時のパフォーマンスはRTX 4080>RTX 5070 Tiである。

Smooth MotionでGeForce RTX 5070 TiはRTX 4080を完全撃破

Tom Clancy’s The Division 2:ベンチマーク中におけるTotal Board Powerの平均値(左3つ。単位:W)、および10Wあたりのフレームレート(右3つ。単位:fps)

 このゲームではどの解像度でもSmooth Motion有効時のほうがTBPが低い。Smooth Motionがない状態であれば、RTX 5070 TiよりもRTX 4080のワットパフォーマンスが良好である。Smooth MotionがRTX 5070 Tiの立場を意味のあるものにしている。

「Kingdom Come: Deliverance II」

 最後に試すのはKingdom Come: Deliverance IIだ。画質は未来のハードを想定した「実験的」、DLSSとFSR 2は「クオリティー」に設定。RTX 5080とRTX 5070 TiはSmooth Motionを、RX 7900 GREはAFMF 2を有効化した。マップ内の一定のコースを移動した際のフレームレートを計測。

 ちなみに、「ジサトラKTU #368」ではAFMF 2がうまく効いていないデータを出しているが、配信後に環境を見直し、AFMF 2の効いたデータで再度比較している。

Smooth MotionでGeForce RTX 5070 TiはRTX 4080を完全撃破

Kingdom Come: Deliverance II:1920x1080ドット時のフレームレート

Smooth MotionでGeForce RTX 5070 TiはRTX 4080を完全撃破

Kingdom Come: Deliverance II:2560x1440ドット時のフレームレート

Smooth MotionでGeForce RTX 5070 TiはRTX 4080を完全撃破

Kingdom Come: Deliverance II:3840x2160ドット時のフレームレート

 「実験的」と言うわりにはレイトレーシングもフレーム生成も使用していないゲームだが、植生の表現などが非常に重い。RTX 5070 TiはSmooth MotionなしではRTX 4080とほぼ同等の平均フレームレートにとどまるが、Smooth Motionをオンにすることで2倍程度の平均フレームレートに向上している。

Smooth MotionでGeForce RTX 5070 TiはRTX 4080を完全撃破

Kingdom Come: Deliverance II:ベンチマーク中におけるTotal Board Powerの平均値(左3つ。単位:W)、および10Wあたりのフレームレート(右3つ。単位:fps)

 Kingdom Come: Deliverance IIにおいても、Smooth MotionをオンにすることでRTX 5080やRTX 5070 TiのTBPは10〜15W低下した。Smooth Motionの処理をTensorコアで実行する際に発生するオーバーヘッドのおかげで、実際のフレームレートは若干低下するとNVIDIAは説明している。

 それがTBPの低下の原因であるとすれば、Tensorコアそのものの負荷はだいぶ軽いと考えられる。UNCHARTEDのようになぜ逆転するのかまで判断できる材料はないが、いずれは説明できるようになりたいものだ。

まとめ:Smooth MotionでRTX 4080を置き去りにする

 今回の検証から、RTX 5070 TiがSM数で勝るRTX 4080にときどき負けてしまうように、新世代だからといって無条件に勝てるGPUでないということが再確認できた。RTX 4080に対し、絶対的なアドバンテージがとれるのはDLSS MFG対応ゲーム、あるいはDLSS FGに対応しないゲームでSmooth Motionをオンにした時である。

 つまり、RTX 5070 Tiを評価するにあたり最も苦しい点は、DLSS FGのみ対応しているゲームである。こうしたゲームが今後どの程度のペースでDLSS MFG対応に変わるのか、あるいは新ゲームのDLSS MFGが事実上の標準化するのか否かが今後のRTX 5070 Ti評価に大きく影響するだろう。

 DLSS MFGの爆発力はすさまじいが、個人的にはSmooth Motionの登場でようやく前世代の同格モデルや、Radeonに対抗できる「汎用的なパフォーマンスブースト」が実装されたと考えている。そこがRTX 50シリーズの魅力なのだが、まだまだ細かい不具合も散見される。Smooth Motionは大事に育てていただきたいところだ。

 ただし、RTX 3070 Tiのように2世代前のxx70番台(xx80番台を入れてもいい)から見ると大幅なジャンプアップであることは確かだ。RTX 40シリーズの新品流通在庫がほぼ消滅している今、RTX 30シリーズ以前からのリフレッシュ候補として、RTX 5070 Tiはギリギリ20万円を超えない選択肢の1つとして検討すると良いだろう。

 RTX 5070 Tiのレビューはこれにて終了だが、3月5日にはRTX 5070が発売し、さらにはAMDのアレやコレやの発売が待ち構えている。運良くレビュープログラムに参加し、乗り切ることができるのだろうか……?

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