このページの本文へ

連載:今週の「ざっくり知っておきたいIT業界データ」 第172回

IT市場トレンドやユーザー動向を「3行まとめ」で理解する 2月15日~2月21日

IaaSでメガクラウドを選ぶのは「高度なPaaS」と併用したいから/“賃上げでも不満”その理由、ほか

2025年02月25日 08時00分更新

文● 末岡洋子 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

  • お気に入り
  • 本文印刷

 本連載「ざっくり知っておきたいIT業界データ」では、過去1週間に調査会社などから発表されたIT市場予測やユーザー動向などのデータを、それぞれ3行にまとめてお伝えします。

 今回(2025年2月15日~2月21日)は、国内パブリッククラウド市場の新たな成長要因、国内IaaS/PaaS市場でメガクラウドが選択される理由、企業規模別に見た「賃上げ」の現状と課題、国内データセンターのIT機器電力容量(ITロード)のこれからに関するデータをご紹介します。

[クラウド] 生成AIが活況でパブリッククラウドは高い成長(IDC Japan、2月20日)
・国内パブリッククラウド市場の売上、2024年は4兆円超え
・クラウド移行本格化、生成AI活用、デジタルビジネス投資拡大が背景
・今後も高い成長が続く。2024~2029年の年間平均成長率は16.3%と予測

 2024年の国内パブリッククラウドサービス(IaaS/PaaS/SaaS)市場は、前年比26.1%増の4兆1423億円となった。特に生成AI関連の動向が活発で、関連製品が売上を伸ばしたという。今後もクラウド移行、クラウドネイティブ化、生成AI活用、デジタルビジネスへの投資拡大を背景に、高い成長を続けると予想。なおクラウド移行については、ピークは過ぎたものの、2024年はレガシーシステムやスクラッチ開発したシステムの移行が本格化したという。

 ⇒ 「企業のAI活用ニーズ」が新たな成長を後押しし、2029年には、2024年の2倍以上にあたる8.8兆円市場になるそうです。

国内パブリッククラウドサービス市場予測 2024~2029年(出典:IDC Japan)

[クラウド][IaaS][PaaS] 2023年度のIaaS/PaaS市場、上位5社が2桁成長で市場を牽引(アイ・ティ・アール、2月18日)
・国内IaaS/PaaS市場の売上、2023年度は1兆5000億円強に
・メガクラウド上位5社はすべて2桁の伸び率で市場を牽引
・2023~2028年度のCAGRは12.8%と予測

 国内IaaS/PaaS市場は活況で、2023年度の売上額は前年比15.3%増の1兆5642億6000万円となった。ITRでは、2024年度も同様の伸びを維持すると予測している。IaaS市場ではベンダーによる値上げも続くが、大企業ではアップセル、中小企業では新規導入の動きが加速。またPaaS市場はAI関連サービスが追い風をもたらしているという。

 ⇒ ITRでは、すでに仮想サーバー(IaaS)だけを利用する企業は少数派となり、サーバーレスやコンテナ/Kubernetesサービス(高度なPaaS)と併用する企業が多数を占めること、そのためにメガクラウドが多く選ばれていることを指摘しています。こうしたクラウドネイティブ技術採用の動きにも注目です。

国内IaaS/PaaS市場の推移と予想 2022~2028年度(出典:ITR)

[仕事][報酬] 賃上げは大企業だけが先行して“二極化”鮮明に(NTTデータ経営研究所)
・「2年連続で賃上げ」の実施率、大企業/中小企業で最大24ポイント差
・「1万円~3万円の賃上げ」した大企業の割合は、小規模企業の約3倍に上る
・ただし賃上げ後も過半数が「物価上昇に追いついていない」と不満

 全国の20~50代正社員1080人を対象とした調査より。大企業(従業員5000人以上)では、過半数の58.9%が「過去2年間どちらも」賃上げを実施している一方、中小企業(4999人以下)では、その割合が34.5~47.6%にとどまり、最大24ポイントもの差があった。「賃上げ額」も同様で、組織規模が小さくなれば金額も小さくなる。

 ⇒ 2024年春闘は過去よりも高水準な賃上げが実現したと言われますが、過半数(57.8%)が「物価上昇に追いついていない」、また44.6%が「自身の業務に見合っていない」と感じています。

企業規模別の賃上げ実施状況。「2年連続で賃上げ」には大きな格差が見られる(出典:NTTデータ経営研究所)

企業規模別の賃上げ額(1年前と比較した月給の増加額)(出典:NTTデータ経営研究所)

賃上げに対する満足度(出典:NTTデータ経営研究所)

[データセンター] 国内データセンターのIT機器電力容量、5年後には現在の2倍に(IDC Japan、2月19日)
・国内データセンターのIT機器電力容量、5年後には現在の2倍近い規模に
・クラウド拠点のハイパースケールデータセンター建設需要が急拡大
・“生成AIブーム”もデータセンターの電力容量拡大に影響

 事業者が運用する国内データセンターのIT機器電力容量(ITロード)が急増している。2024年末は2365.8メガVAだったが、CAGR 13.7%で拡大を続け、5年後の2029年末にはその2倍近い4499.6メガVAを見込む。クラウドサービスの提供拠点としてハイパースケールデータセンターの建設需要が拡大、関東と関西では「建設ラッシュ状態」になっており、毎年、300メガVAを超える規模のデータセンター新設が見込まれるという。

 ⇒ さらに、ここでも“生成AIブーム”の影響が。消費電力が大きなAIサーバーの導入が、クラウド事業者、一般企業の双方で進み、データセンターの電力容量増加の要因になっているとのことです。

国内の事業者データセンター 電力キャパシティ予想 2023~2029年(出典:IDC Japan)

カテゴリートップへ

この連載の記事
  • 角川アスキー総合研究所
  • アスキーカード