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GeForce RTX 50シリーズまとめ 第16回

RTX 5080との性能差は価格に見合うものなのか?

GeForce RTX 5070 Ti性能検証、RTX 4080と互角以上の立ち回り

2025年02月19日 23時00分更新

文● 加藤勝明(KTU) 編集●ジサトライッペイ/ASCII

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3DMarkではRTX 4080をギリギリ超える

 定番の「3DMark」から検証をスタートしよう。ラスタライズとレイトレーシングでグラフを分割している。

GeForce RTX 5070 Ti性能検証、RTX 4080と互角以上の立ち回り

3DMark:ラスタライズ系テストのスコアー

GeForce RTX 5070 Ti性能検証、RTX 4080と互角以上の立ち回り

3DMark:レイトレーシング系テストのスコアー

 Fire Strike〜Steel Nomadのラスタライズ系テストでは、RTX 5070 Tiが僅差(2〜5%)でRTX 4080を上回った。RTX 5080と比較すると、RTX 5070 TiはSteel Nomadにおいて最大21%下になったが、Fire Strikeでは7%程度の下落にとどまった。描画負荷が高いシチュエーションほど、RTX 5080とのスペック差(主にSM数の問題)が響いてくるものと考えられる。

 RTX 4070 Ti SUPERに対しては10〜24%上回るなど、RTX 5070 Tiが後継者としての仕事をきっちりこなしている印象だ。また、RTX 3070 Tiと比べると1.5〜2倍のスコアー増となる。RTX 3070 Tiのユーザーなら、RTX 5070 Tiへの投資は劇的なパフォーマンス向上体験につながるだろう(投資額も劇的なことはさておき……)。

 Port RoyalやSpeed Wayといったレイトレーシングを用いたテストでも、RTX 4080よりもRTX 5070 Tiのほうが高いスコアーを出している。SM数が少なかろうとも、メモリー帯域の太さで総合性能を高くしている、という解釈でよいだろう。

消費電力は「上位に比べれば」控えめ

 それでは消費電力の検証に入ろう。今回も電源ユニットからマザーボードやビデオカードに接続した各種ケーブルや、PCI Express x16スロットを流れる電力を直接計測できるPownetics v2を使用。3DMarkのSteel Nomadを実行し、その最中のPC全体の消費電力およびビデオカード単体の消費電力(TBP:Total Board Power)を計測した。

 グラフには高負荷時のデータとして平均・99パーセンタイル点・最大値の3種類を記載。また、アイドル時の消費電力は文字通り、アイドル状態で3分間放置した時の平均値だけを掲載している。

GeForce RTX 5070 Ti性能検証、RTX 4080と互角以上の立ち回り

システム全体の消費電力:ATXメインパワーとEPS12V×2、PCI Express x16スロット、ビデオカードの補助電源ケーブルそれぞれに流れた電力の実測値から算出したもの

GeForce RTX 5070 Ti性能検証、RTX 4080と互角以上の立ち回り

ビデオカード単体の消費電力:前掲の消費電力データからPCI Express x16スロットと、ビデオカードの補助電源ケーブルの消費電力だけに注目したもの

 RTX 5070 TiのTBPは平均308Wで、スペック表のTotal Graphics Powerの公称値(300W)よりもやや多めではあるが近い値が観測できた。これはRTX 4070 Ti SUPERからはやや増、RTX 4080(TGP 320W)とほぼ同程度だ。

 RTX 5090は16ピンケーブルの扱いに慎重に慎重を期すくらいの気概が必要だが、今回テストしたRTX 5070 Tiに関してはそこまで神経質にならなくても良さそうだ。とはいえ、不備があれば燃えかねない場所ではあるので、ケーブルの装着や取り回し、ケーブルの質などには十分注意してほしい。

 次のグラフは、「Cyberpunk 2077」を4K最高画質(レイトレーシング:オーバードライブ、DLSS RR、DLSS(クオリティー)、DLSS MFG 4x)で5分程度放置し、RTX 5070 Ti搭載カードが消費した電力(つまり、TBP)がどのような分布を持っているのかを示したものである。

 電力データの取得はPownetics v2を利用し、サンプリング間隔1msおきに測定、合計30万余のサンプルをベースにしている。横軸はTBPだが10W刻みで、「300」とあれば300W以上310W未満という意味になる。

GeForce RTX 5070 Ti性能検証、RTX 4080と互角以上の立ち回り

ゲーム中のTBP分布:RTX 5070 TiでCyberpunk 2077を4K&最高画質でプレイした際の実測値を集計したもの。青のバーが長いほど頻度が高くなる

 RTX 5090だと700W以上、RTX 5080なら400W以上流れることもあるシチュエーションだが、RTX 5070 Tiだとほんの一瞬370Wになる程度とかなりおとなしめだ。公称スペックにおける300Wはちょうどこの山の中央付近にあり、そこを中心に±60W(つまり、上にも下にも2割程度)の範囲にほとんどのデータが着弾している。

 ちなみに、99パーセンタイル点は350W以上360W未満のところにあるので、言い換えれば360Wを超えるのはせいぜい全体の時間の1%程度ということになる。

条件次第ではRTX 4080に負けることも

 CGレンダリング系のテストでもパフォーマンスを比較しよう。まず「Blender Benchmark」はv4.3.0を指定して計測した。

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Blender Benchmark:スコアー

 3DMarkではRTX 5070 TiのほうがRTX 4080よりも高スコアーだったが、Blenderでは一転、RTX 4080のパワーが常にRTX 5070 Tiを上回った。前述の通り、CUDAコア数ではRTX 5070 TiはRTX 4080より少ないため、この数の差が効いたものと思われる。

 続いて、「V-Ray Benchmark」はGPUを利用するテスト2本(RTXおよびCUDA)を実施。CUDAテストに関しては、これまでRTX 50シリーズのレビューで“スコアーがふるわない”という不具合情報に基づいて除外していた。

 しかし、RTX 5090発売してやや日も経つので、現時点での立ち位置をハッキリさせるために今回はCUDAテストを加えた。なお、RX 7900 GREはこのテストで必要なRTXにもCUDAにも対応していないため、テストから除外している。

GeForce RTX 5070 Ti性能検証、RTX 4080と互角以上の立ち回り

V-Ray Benchmark: GPU RTXとCUDAを比較

 まずRTXテストの結果は3DMarkと似た傾向になった。SM数やCUDAコア数がRTX 4080より少なくても、RTX 5070 Tiはメモリー帯域などの強化用素のおかげでRTX 4080を上回れた。

 しかし、CUDAに関しては今回のレビュー時においても改善が見られず、RTX 5080ですらRTX 4080の半分程度のスコアーにとどまった。おそらくドライバーだけでどうこうできる問題ではなさそうなので、V-Ray側の対応が待たれるところだ。

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