NTTが総力を挙げて取り組む次世代通信基盤IOWNが、今年はいよいよ飛躍しそうだ。1970年代から光ファイバーの研究開発を進めてきたNTTは、電気から光へという通信のシフトに並々ならぬ意欲を注いできた。今回IOWNに関しては、大容量・低遅延という技術的な優位性をアピールするだけでなく、ひたすらユースケースを重ね、利用イメージを喚起し続けている。「今までのNTTとちょっと違う」と感じられる点だ。
台湾とのリアルタイムな映像中継、レベル4の自動運転バスのインフラ構築といったビジネス利用はもちろん、遠隔地同士のデュエット、漫才、ラップバトルなど、コンシューマーにもIOWNの世界観をアピールしている。大容量が注目されがちだが、低遅延の方が技術的に拡がりがある。先日はレコ大での音声プロダクションをIOWNで支援したという事例を披露(関連記事:生放送でも違和感なし 「レコ大」で実はIOWN使っていた)。トラブルなく生放送を成功させた後、「実は使ってました!」と後出しじゃんけんするところがなかなか憎い。
とはいえ、現時点では通信サービスIOWN APNが超高速・低遅延な専用線としてようやく離陸したに過ぎない。IOWNの本命は光での通信技術をコンピューティングにまで拡張すること。NTTが開発をリードする「光電融合デバイス」の最大の特徴は、消費電力の削減であり、生成AI時代の省エネトレンドにも合致する。多くのITベンダーが参加するIOWNグローバルフォーラムの動向も含め、2025年はIOWNに大注目。素直に日本の技術の底力に期待。「アイオン」という読み方もそろそろ覚えないと。
文:大谷イビサ
ASCII.jpのクラウド・IT担当で、TECH.ASCII.jpの編集長。「インターネットASCII」や「アスキーNT」「NETWORK magazine」などの編集を担当し、2011年から現職。「ITだってエンタテインメント」をキーワードに、楽しく、ユーザー目線に立った情報発信を心がけている。2017年からは「ASCII TeamLeaders」を立ち上げ、SaaSの活用と働き方の理想像を追い続けている。

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