このページの本文へ

前へ 1 2 3 4 次へ

世界最大テックイベント「CES 2025」現地レポート 第8回

AMD、CES 2025にて「Ryzen 9 9950X3D」「Radeon RX 9000シリーズ」の概要を発表

2025年01月07日 05時30分更新

文● 加藤勝明(KTU) 編集●北村/ASCII

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 2025年1月7日、AMDはラスベガスで開催された「CES 2025」において基調講演を行ない、ゲーミング・モバイル・AIの3分野で数々の新製品を発表した。

CES 2024はどのメーカーもAIが主軸だったが、AMDのCES 2025はゲーミング/AI PC向け/ エンタープライズの3分野に対する新製品が発表された。本稿では前2者についてのトピックをまとめている

 昨年のCES 2024での発表では「Ryzen 8000Gシリーズ」や「Radeon RX 7600 XT」といったメインストリームよりやや下の製品が発表されたが、本年の発表内容はハイエンドやメインストリーム向け製品中心である。

ゲーマー&クリエイター向けCPU「Ryzen 9 9950X3D」「Ryzen 9 9900X3D」
(2025年3月発売予定)

 AMDは11月にZen 5に第2世代3D V-Cacheを搭載した「Ryzen 7 9800X3D」を発売、全世界的に驚異的なセールスを記録しているが、CPUコアが8基“しか”ないという欠点もある。処理の並列度が高いゲームの裏でCPUに負荷をかけるような処理をしようとするとコアの奪い合いになるし、動画編集のようにCPUパワーを使う仕事もさせたい時に8コアでは不足するかもしれない。

 そこで、ゲーム“も”クリエイティブな作業“も”快適に処理したいという層に向け登場したのがRyzen 9 9950X3DおよびRyzen 9 9900X3Dの2モデルである。「Ryzen 9 9950X3D」の発売は3月と発表した。1世代前のRyzen 9 7950X3Dや7900X3Dの後継モデル、あるいはRyzen 9 9950Xや9900Xの高付加価値モデルという位置付けである。

 CPUコアは16基ないし12基の2CCD構成であり、片方のCCDにのみ64MBの3D V-Cacheを搭載する。2基のCCDに3D V-Cacheを載せるという噂もあったが、これはかつて3D V-Cacheのダブル搭載は技術的に意味がない(ゲームでの恩恵が得られにくい)と否定していたが、本製品でもその主張を変えていない。つまり3D V-CacheのあるCCDと通常のCCDを組み合わせているわけだ。

Ryzen 9 9950X3Dは、CPUの負荷がヘビーな状況への対応力を高めた製品である

Ryzen 9 9950X3Dの内部(レンダリングイメージ)。CCDは2つあり、片側(おそらく左側)のCCD側のみに3D V-Cacheがある(図には示されていない)。3D V-Cacheを持たない右側のCCDの下には、おそらく高さ合わせ用の部材が敷かれているはずだ

Ryzen 9 9950X/ 9900X3Dのスペック。CPUコア数や動作クロックは現9950X/ 9900Xとほぼ同じ。ただTDPはRyzen 9 7950X3Dよりも引き上げられている点に注目

 Ryzen 9 9950X3D/ 9900X3Dの動作クロックだが、9950X3Dは9950Xと同じ最大5.7GHz動作なのに対し、9900X3Dは9900Xより100MHz下の最大5.5GHz動作となっている。また、Ryzen 9 9950X3DのTDPは7950X3Dの120W設定から170Wに引き上げられているが、これはCCDの下に3D V-Cacheを敷くという第2世代3D V-Cacheを採用したことで実現できたものだ。

 ゲームのフレームレートに関しては、Ryzen 9 7950X3Dに対しては9950X3Dは平均8%上、Core Ultra 9 285Kに対しては20%上というデータを提示しているが、Ryzen 7 9800X3Dとの比較データはなかった。

 ただ今回のRyzen 9 9950X3D/ 9900X3Dは片方のCCDにしか3D V-Cacheがないため、ゲームの処理が2基のCCDに散らかるようなシチュエーションではRyzen 7 9800X3Dよりもパフォーマンスが落ちると予想される(Ryzen 7 7800X3DとRyzen 9 7950X3Dの関係から類推)。

 Windows 11の「Xbox Game Bar」でゲームとして認識されないと3D V-Cacheが使われない、といったRyzen 9 7950X3Dや7900X3Dに特有の“扱いづらさ”は依然として残ると考えられる。どんなゲームでも確実に速い最強CPUの座はRyzen 7 9800X3Dであり、若干使いにくさはあるがCPUパワーを必要とするタスクへの対応を追加したものがRyzen 9 9950X3D/ 9900X3Dという位置付けになるだろう。

Ryzen 9 7950X3Dと9950X3Dゲームのフレームレートで比較。まったく変わらないもの(「Black Myth: Wukong」は完全にGPUバウンドになるゲームだ)もあるが、40タイトルで比較したところ、Ryzen 9 9950X3Dは7950X3Dをフレームレートにおいて平均8%上回るという。ちなみにGPUはRTX 4090である

Core Ultra 9 285Kとの比較。Arrow Lakeは元より絶対的なゲームパフォーマンスに問題を抱えているCPUであるため、Ryzen 7 7950X3Dのグラフよりも盛大に差がついている。特に「Watch Dogs: Region」での差がすさまじい

Ryzen 9 7950X3Dと9950X3Dをクリエイティブ系アプリで比較したもの。コア数が同じでも、20本のベンチでRyzen 9 9950X3Dが平均13%勝つとしている。性能差の多くはZen 4とZen 5のアーキテクチャーの差、そしてTDP設定(120Wと170W)の違い、メモリークロックなどで出ていると思われる

同様にクリエイティブ系アプリでCore Ultra 9 285Kと比較すると、Ryzen 9 9950X3Dが平均10%上回る。ゲームでもクリエイティブ系アプリでもRyzen 9 9950X3Dが強いというのがAMDの主張である

前へ 1 2 3 4 次へ

カテゴリートップへ

この連載の記事