AMDは2024年12月11日、ベルサール汐留にて同社が主催するAI技術イベント「Advanced AI & HPC 2024 Japan」を開催した。本イベントは、次世代のAI技術が実社会の課題解決や、ビジネス価値創出にどのように貢献するのかを探求するということをテーマに、多くのセッションが開催された。
セッションのオンデマンド配信は、近日中に公式サイト(https://biz.amd-heroes.jp/amd-hpc-ai-2024/)で公開される予定だ。本記事では、「Advanced AI & HPC 2024 Japan」に先立ち開催された基調講演について、要旨をお伝えしよう。
ジョン氏「AI技術は日本の経済を活性化させる重要な要素」
基調講演1に登壇したのは、日本AMD株式会社 代表取締役社長のジョン・ロボトム氏。まずは、スクリーンにジョン氏が映し出され、日本語、英語、中国語、韓国語で挨拶が述べられた。
しかし、実はこれはAIで生成された動画。実際にはジョン氏は中国語と韓国語を話すことはできない。このようなAIを活用したビデオでスタートしたのは、実にAIイベントらしい趣向であった。
その後、AMDの歴史と、同社のAI技術への取り組みについて説明。特に最近では、データセンター向けのGPUやAI技術に注力しており、その成果として第5世代のEPYCプロセッサーを発表したと述べた。
また、AMDの技術が、自動車のインフォテインメント(Infotainment)システムやクラウドサービス、PCのAIゲーミングなど、多岐に渡る分野で活用されていることをアピール。最後に、AI技術が日本の経済を活性化させるための重要な要素であり、AI技術の未来について共に考え、議論することの重要性を訴えた。
サミュエル氏「AMDは、AIの約束を可能な限りエネルギー効率の高い方法で実現」
基調講演2に登場したのはサミュエル・ナフシガー氏。まずは、「組み込み製品 VersalおよびAlveo」、「Radeon GPU」、「Ryzenモバイルプロセッサー」、「第5世代AMD EPYC」、「AMD Instinct MIアクセラレーター」などのAMD製品のポートフォリオについて紹介。これら製品のアーキテクチャーにAI機能が組み込まれていると述べた。
その次に、AIがもたらしている具体例について解説。自動車分野ではスバルの次世代アイサイトシステムにAMD製プロセッサーが採用されたこと。科学分野では、CERNが建設した世界最大の大型ハドロン衝突型加速器にAMD EPYC CPUが採用され、大量のデータ処理に役立てられていること。
そして、医療分野ではAIは活用され始めたばかりであるが、人間の医師が処理できる量をはるかに上回る能力を持つAIが、今後ゲノミクス分析、薬物発見、あらゆる種類の予測診断などにおいて、なにを達成できるかについて興奮していると語った。
また、エネルギー効率の向上に向けたAMDの取り組みについて解説。スーパーコンピューターによる膨大な計算には、膨大なエネルギーが消費される。AMDはこの膨大な量のコンピューティング要件を、必要最小限のエネルギーで満たすことを目標としていること。
そして、2020年の基準値と比較して、「MI300X」プロセッサーは28.3倍のエネルギー効率を達成しており、2025年までにエネルギー効率を30倍にするとしたマイルストーンを達成したと述べた。
最後に、AMDは、AIの約束を可能な限りエネルギー効率の高い方法で実現できる立場にあり、そのことを非常にうれしく思っていると語った。