連載:今週の「ざっくり知っておきたいIT業界データ」 第161回
IT市場トレンドやユーザー動向を「3行まとめ」で理解する 11月23日~11月29日
来年度IT予算は「増額」が過去最高/推し活の支出額を最も増やすのは「負けたくない」心理 ほか
2024年12月02日 08時00分更新
本連載「ざっくり知っておきたいIT業界データ」では、過去1週間に調査会社などから発表されたIT市場予測やユーザー動向などのデータを、それぞれ3行にまとめてお伝えします。
今回(2024年11月23日~11月29日)は、国内企業の来年度IT予算動向、“推し活”に対する意識と支出額の関係、生成AIの搭載で活発化するノーコード/ローコード市場、いまや就活生の80%が経験する企業インターンについてのデータを紹介します。
[IT投資][トレンド]2025年度の企業IT予算は45%が「増額予定」、過去最多に(アイ・ティ・アール、11月26日)
・2025年度の国内企業IT予算額、過去最高の45%が「増額」を予定
・2024年度に「増額」した企業は44%、予算額指数は4年連続上昇
・「生成AI」は2025年の「新規導入可能性」「投資増減指数」でトップ
国内企業のIT戦略/IT投資意思決定者2374人を対象に、IT投資動向について調べた「国内IT投資動向調査報告書2025」より。2024年度(今年度)のIT予算額が「増額」だった企業は44%(2023年度と同じ)。そして2025年度(来年度)のIT予算額「増額」を見込む企業は45%。「DX予算」「AI予算」をIT予算内で計上する企業が多く、IT予算増額の一因となっていることがうかがえる。なお、2025年度の「新規導入可能性」「投資増減指数」のトップはいずれも生成AIだったが、これにはあまり驚きはない。
[生活][トレンド]4人に1人が行う“推し活”、「負けたくない」心理で支出が増える(国際社会経済研究所、11月28日)
・一般生活者の26%が「推し活」、29歳以下の女性では53%に達する
・推し活の支出額を最も強く押し上げる心理は「他のファンに負けたくない」
・入手しにくいチケットには「不正転売を禁止し、公式リセールを」の声が71%
一般生活者(18~69歳)を対象に、音楽などのライブイベントチケットの購入について調査を行った「ファンクラブ加入状況と公演チケット購入と推し活」より。国内の推し活人口は推計2240万人に達する。最大の目的は「日常生活に喜びや充実感を感じたい」、一方で、最大の悩みは「推し活に使用できるお金が少ない」。推し活の意識と年間支出額の関係を見ると、「ほかのファンに負けたくない」「やめられない義務感を感じる」といったネガティブな意識が支出額を押し上げていることも明らかに。“推し活がつらい、苦しい”というのは本末転倒にも思えるのだが……?
[開発][生成AI]ノーコード/ローコード市場、生成AIの開発支援機能追加でさらに活発化(IDC Japan、11月25日)
・2023年の国内ノーコード/ローコード/生成AI開発テクノロジー市場は1225億円
・2023~2028年の年平均成長率(CAGR)は17.1%、2028年には2倍以上の規模に
・生成AIの開発支援機能がノーコード/ローコードプラットフォームを補完
ノーコード/ローコードでのアプリ開発、および生成AIの支援によるアプリ開発の市場規模を調査。業務部門のビジネスユーザー(非エンジニア)自身でアプリ開発ができるノー/ローコードツールが注目されているが、最近はここに生成AIの開発支援機能(自然言語で指示すればアプリを生成する)が搭載され始めており、既存のプラットフォームを補完している。これによりノー/ローコード市場はさらに活気づく予想だが、生成AIだけでアプリが完成するわけではない。IDCも「ユーザー企業の期待と成果のギャップを防ぐための適切な支援が必要」と指摘している。
[就活][仕事]インターン経験は80%、仕事に求めるのは「安定」がトップ――イマドキの就活像(リクルートマネジメントソリューションズ、11月28日)
・インターン経験者は年々増加、25年卒は80%が経験者に
・インターンが「内定企業への志望度が高まった場面」になるケースも多い
・仕事に求めることは「安定」(42.6%)など変化はなし
2025年度卒予定で就職活動を行った、大学4年生/大学院2年生1117名を対象とした調査より。「仕事内容を知りたい」(73.3%)などの理由から、インターンシップ・仕事体験の経験者は、23年卒70.8%、24年卒73.5%、25年卒80%と増加傾向にある。「内定企業への志望度が高まった場面」として、「インターン」が「面接」に次ぐ2位。日本では1990年代後半にインターン制度が本格導入されたが、学生と企業の双方にメリットをもたらす仕組みとして、すっかり定着しているようだ。
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