米非営利シンクタンク・Progressive Policy Institute(PPI/※)エグゼクティブ・ディレクターで、公共政策を担当するリンゼイ・マーク・ルイス氏が来日し、日本における加熱式たばこへの切り替えの状況や、たばこ代替品の普及率と税の関係性などについて講演した。
※アメリカでは、教育、科学、慈善活動などの公共目的に寄与しているなど、特定の条件を満たした非営利団体が税制上の優遇を受けることができる。PPIも非営利団体として運営される独立機関であり、営利を追求しない中立的な立場から、政策提言を行っているとされている。フィリップ モリス ジャパンが、与党の税制改正議論について、たばこ業界の視点から有識者を交えて解説・議論する機会として開かれたセミナーで登壇したものだ。
日本の加熱式たばこのシェアは世界でも稀
リンゼイ氏はまず、自らの立場を明らかにしたいと語り、「今回の旅費は自費でまかなっています。この問題が非常に重要だと信じているからこそ、私はここに来ました」とコメントした。
“この問題”とは、成人の喫煙状況と紙巻たばこから代替製品への切り替え、医療にかかる政府の支出の増減だ。
リンゼイ氏は、日本のたばこ規制に関する取り組みについて「私は世界中を旅してこの問題について議論していますが、日本を『成人喫煙者を従来の紙巻たばこから、より害の少ない新しい製品に切り替えることに成功している例』として挙げることがあります。(中略)他国が参考にするべきモデルであり、日本が誇るべき成果です」と話した。
リンゼイ氏は続けて、他国の状況についても語った。イギリスやニュージーランドは、紙巻たばこから代替製品への切り替えを促進するために、代替製品に対して大幅な税制優遇を行っているという。特にイギリスでは、喫煙する習慣を持つ低所得者に対しては、代替製品を無料で提供することもあるそうだ。
一方で、インドやオーストラリアでは、たばこの代替製品そのものが禁止されている。結果的に、規制されず、課税もされていない代替製品がブラックマーケット(闇市場)で取引される状況を生んでいるという。