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6Gに向け、AIを活用した無線インターフェース実証実験において伝送効率の改善を確認

株式会社NTTドコモ
2024年11月20日

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株式会社NTTドコモ
~国内初、4.8GHz帯を利用し屋内静止・移動環境においてスループット最大18%向上を実現~

株式会社NTTドコモ(以下、ドコモ)は、日本電信電話株式会社(以下、NTT)、Nokia、海外オペレーターであるSK Telecom Co., Ltd.(以下、SKテレコム)と共同で進める第6世代移動通信方式(以下、6G)に向けた実証実験※1※2において、国内ではじめて※34.8GHz帯の電波を飛ばし、AI技術を活用した6G無線技術の実証実験※4※5(以下、本実験)を実施し、屋内環境において従来と比較して通信速度を最大18%向上できること確認しました。

本実験は、6G時代に向けNTT、Nokia、SKテレコムの4社で連携し、取組みを進めるAI技術の活用によるさまざまな電波伝搬環境に合わせて送受信処理の最適化を行うもので、屋内外環境の実証実験において国内ではじめて4.8GHz帯の電波を飛ばして実験を行いました。

具体的には、Nokiaが開発するAIを活用した無線処理技術を利用し、送信処理において、電波伝搬環境に応じたAIを用いて最適な変調方式を設計し、無線インターフェースへ適用することで通信性能を改善します。加えて、受信処理において、従来、通信機器と基地局における送受信機間の電波伝搬チャネルを推定するために送受信機間において既知の信号(参照信号)※6を必要としていましたが、AIを用いることでチャネル推定から信号検出までの一連の受信処理の一括処理が可能となり、参照信号が不要となります。これにより、高い伝送効率が達成可能となり、図のとおり通信速度の向上を明らかにしました。将来的には、この技術を発展させていくことで、伝搬環境に応じて変復調方式を最適化し、多様なユースケースに対して通信品質を向上するなどの期待ができます。




ドコモは、本実験を通じて、さらに国内外の主要ベンダー、海外オペレーターとの実証実験を進め、幅広い移動通信技術の研究開発に向けて取り組みを進めるとともに、6Gの研究開発を加速させ、世界的な6Gの標準化や実用化に向けた検討に貢献してまいります。

なお、本実験の成果の一部は、2024年11月25日(月)から開催される「NTT R&D FORUM 2024-IOWN INTEGRAL」※に出展いたします。


※ 「NTT R&D FORUM 2024 ―IOWN INTEGRAL」公式サイト https://www.rd.ntt/forum/2024/
※1 報道発表:国内外の主要ベンダーと6Gの実証実験で協力 -「5G Evolution & 6G powered by IOWN」の実用化に向けた研究開発において世界をけん引-
https://www.docomo.ne.jp/info/news_release/2022/06/06_00.html
※2 報道発表:国内外の主要ベンダーと6Gの実証実験の協力体制を拡大 -新たにEricsson、キーサイト・テクノロジーとの実験協力に合意-
https://www.docomo.ne.jp/info/news_release/2023/02/27_01.html
※3 本実験のために試験局免許を取得のうえ、NTT横須賀研究センタ内において国内で初めて実際に4.5GHz帯の電波を飛ばした実証実験を行いました。
※4報道発表:ノキア、ドコモ、NTT3社による2つの技術開発により、6Gが大きく前進
https://www.nokia.com/ja_jp/about-us/news/releases/2023/02/15/nokia-docomo-and-ntt-make-two-key-6g-advances/
※5 報道発表:6G実現に向け新たにSKテレコム、ローデ&シュワルツと実証実験の協力に合意 ~Nokia、富士通、キーサイト・テクノロジーと取り組みを進める実証実験成果も確認~
https://www.docomo.ne.jp/info/news_release/2024/02/22_00.html
※6 参照信号は、送信機と受信機においてお互いに知っている信号のことで、受信機において参照信号を用いることで未知の伝搬チャネルを推定することができる



別紙1 実証実験概要


1.概要
ドコモは、世界的なベンダーや通信会社など全7社とともに、6Gに向けた新たな無線技術の創出をめざし、2022年6月から6Gのさまざまな周波数帯を想定した実証実験を行っています。本実験はドコモ、NTT、Nokia、SKテレコムの4社で連携し、AI技術の活用によるさまざまな電波伝搬環境に合わせて送受信処理の最適化を行う実証実験を、屋内環境において電波を飛ばして国内ではじめて実施しました。


AIを活用した無線処理において、送信処理では、電波伝搬環境に応じて最適な変調方式をAIにより設計・学習させることで通信性能を改善します。加えて、AIを活用した受信処理では、従来、送受信機間の伝搬チャネルを推定するために送信機で挿入されている参照信号を用いず、AIを用いて伝搬チャネルを推定し、さらに推定結果を用いた信号検出処理までの受信処理を一括で実現します。参照信号を用いないため、高い伝送効率を達成できます。


2.具体的な実証実験内容
今回、NTT横須賀研究開発センタで実施した実証実験では、実験室(7×13m)において、電波免許を取得して実際に電波を飛ばしてスループット特性を測定しました(図1)。具体的には、GPUサーバにAIを活用した送受信のベースバンド処理をソフトウェアで実現し、市販ソフトウェア無線(SDR)用ハードウェア※7を介して4.8GHz帯の無線周波数で実験を実施しました。ベースとなる無線通信方式は5G NR (New Radio)※8を用い、受信アンテナを台車に載せ、その台車を移動させて測定を実施しました。AIを用いない従来の方式と比較した結果、スループット特性が6~16%向上することが確認できました。また、移動ルートの25点において静止して実験を行った時も18%の向上を確認しました。これにより、AIを活用した変復調技術により、移動環境、静止環境とも通信性能が向上することを示すことができました。今後は、ユースケースを踏まえて、より複雑な屋内外環境において実証実験を進め、AIを活用した変復調技術の移動通信への適用領域を明らかにするともに、その拡大に必要な技術検証を行う予定です。





※7 ソフトウェア無線を研究開発するためのプラットフォームで、プログラマブルなデバイスを用いて無線信号処理やアルゴリズムの開発や検証が可能なハードウェア
※8 一般的に使用される現行の5Gインターフェース

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