国土交通省(国交省)は11月19日、高速バスのフルフラット座席に関するガイドラインを公表した。夜行高速バスを中心に、水平までリクライニングできるフルフラット座席のニーズが高まっていることを受けた対応となる。
安全を保ちつつ規制を緩和
同省が発表したガイドラインの主な要件は以下のとおり。対象は乗車定員11人以上の高速バスだ。
■主な要件
衝突時の安全確保
・座席は前向きに設置すること(頭部、頸部の保護)
・転落防止プレートと衝撃吸収材を座席前部(脚部)に装備すること(転落や怪我の防止)
旋回時等の転落防止
・転落防止措置と保護部材を座席の頭部および側面に設けること
車両転覆時の放出防止
・2点式座席ベルトを装備すること(3点式は頸部圧迫のリスクにより使用不可)
■その他
・乗客の手荷物置き場を確保すること
・非常時の脱出経路確保と手順を明示すること
・乗降時や非常時に補助が必要な乗客に対して事前に必要な案内をすること
上記のほか、技術的要件として転落防止プレートに900kgの力に耐えられる強度をもたせることや、保護部材の表面をショアA硬度50未満の材料で覆うことなどが定められている。
海外の高速バスでは座席をフルフラット(寝台)化した車両が普及しているが、日本では安全上の理由から、高速バスへのフルフラット座席搭載は認められていなかった。今回、国交省が規制緩和の方針を示したことは、国内の高速バス事業者や車両メーカーにも大きな影響を与えそうだ。