ゲーム用の機能全部盛りだが、そのぶん結構高価
従来モデルの弱点も克服したラピトリ・SOCD対応キーボード「Apex Pro Gen 3」、向上した使い心地にも注目
SteelSeriesは、人気キーボードの最新作「Apex Pro Gen 3」シリーズを10月29日に発売した。最新の「OmniPoint3.0スイッチ」を搭載し、キーのぐらつき軽減やキータッチの改善、さらにラピッドトリガーおよびラピッドタップに対応するなど(この2つの機能は過去のApexシリーズにもアップデートで対応している)、多くのグレードアップを重ねた最新作は、まさに「正統進化」という言葉がぴったりな一品となっている。
Apex Pro Gen 3シリーズは、フルサイズの有線モデル「Apex Pro Gen 3」(4万9420円)、テンキーレスの有線モデル「Apex Pro TKL Gen 3」(4万5530円)、テンキーレスの無線対応モデル「Apex Pro TKL Wireless Gen 3」(5万4420円)の3つが用意され、それぞれに日本語配列と英語配列が用意されている。
今回は、同シリーズの中から「Apex Pro TKL Wireless Gen 3」を2週間ほど『VALORANT』といったシューティングタイトルや、仕事などで使用した際のインプレッションをお届けする。
個人的オススメポイント1:キーのぐらつきは大幅改善、高いビルドクオリティ
まず試用して感じたのは、キー入力における大きなストレスとなりえるキーのぐらつきが大幅に改善されていることだ。筆者はApex Pro Mini(OmniPoint2.0)をメインキーボードとして使用していた時期があったが、その際の大きな不満がキーのぐらつきだった。FPSやタイピング時、押し込んだ際にまっすぐ入っていく感覚が不安定で、気持ちのいいキーボードとはいいがたかった。
それが今回、刷新されたスタビライザーのおかげか、このぐらつきは大幅に改善されている。FPSをしている際ホームポジション(WASD)に指をおいていても、軸がしっかりとし地に足が付いたような安定感がある。
個人的オススメポイント2:キータッチが気持ちよい
キーのぐらつき改善と連動する部分でもあるが、キーごとに潤滑剤が塗布されていることや、3層の防音フォームが搭載されていることなどから、キータッチも心地よいものとなっている。よりキーを押し込む感覚がスムーズに感じられ、本稿の執筆を含め長時間のタイピングでも疲れにくくなっているように感じる。
また、アームレストも付属している。こちらは硬めの素材なので、机とキータップのギャップを埋める目的だ。ふかふかタイプではないので注意されたし。
個人的オススメポイント3:ラピトリ&SOCDに対応
FPSには欠かせないラピッドトリガーおよびSOCD(SteelSeriesはRapid Tapと呼んでいる)にも対応している。アクチュエーションポイントは0.1mm~4.0mmの間で0.1mm単位で調整可能だ。また。Aキーを押しながらDキーを押しても、Dキーのみ入力された扱いとなるSOCDにも対応する。前述のキーのぐらつきが改善されたことによって、これらもより実感できるようになっている。
SOCDは、ゲームによってはハードウェアチートとみなされることがある場合もあるので注意してほしい。また、繰り返しとなるが過去のApexシリーズでもこの2つの機能はアップデートで対応している。
個人的オススメポイント4:「GGクイックセット」で快適プリセット
ここまで述べてきたとおり、「Apex Pro Gen 3」シリーズにはかなり多くの機能が詰め込まれている。とはいえ、ゲームによってどのようにプリセット設定していいかわからないユーザーも多いと思うが、著名なタイトルのプリセットを用意してくれている。
『VALORANT』であればWASDのほかShiftやCtrl、Spaceキーにラピトリが設定され、それぞれのアクチュエーションポイントが調節されており、とりあえずこのプリセットで試してみるのもおすすめだ。
個人的オススメポイント5:プロテクションモードがゲームだけでなく普段使いで重宝
アップデートで対応するプロテクションモードは、キー入力した際の周囲のキーの感度を下げるという機能だ。あまり馴染みのない機能だが、誤入力を極端に減らしてくれる機能となり、思いのほか重宝した。
キータッチが軽めのゲーミングキーボードでは普段の文字入力時に誤入力が頻発するのだが、それを防いでくれる(もっというと雑にタイピングしてもミスが減るのでライター諸君にもおすすめしたい)。また、ゲームではアビリティーなどの使用の誤入力を防ぐというメリットもある。
比較的動きの静かなゲームではあまりメリットを実感できなかったが、『オーバーウォッチ2』などのスピーディなゲームでは「ミスってシールド出しちゃったよ」などのミスアビリティーが減ったような気がする。(筆者は最近始めた『リーグ・オブ・レジェンド』で意図せぬミスフラッシュをしまくるが、こればっかりはこの機能でも防げなかった、シンプルにFとDを間違えていることに気付かされた。)
なお、例の如くこのプロテクションモードは過去のApexシリーズでもアップデートで対応している。
個人的イマイチポイント1:有機ELモニターの用途は限定的
ここまで触れてこなかったが、TKLモデルながら本体右上部分には有機ELモニターが設置されている。好きな画像を取り込んで表示させることで、愛着の湧く1台にするのも楽しいのだが、いかんせん表示できる情報はバッテリー残量や保存したプリセット番号などのみに留まっている。プリセットの名前を表示したり、設定変更時にはそれを文字で大きく表示したりと、もうひとこえ機能がほしいところだ。
個人的イマイチポイント2:やっぱりちょっと高い
円安の加速や原材料の価格高騰などを鑑みる必要はあるが、最上位モデルの「Apex Pro TKL Wireless Gen 3」は5万4420円とかなり高価だ。また、ここまで述べてきた機能の多くは過去モデルでも使用できるという点もあり、筆者としては買い換えにはやや憚られる印象だ。
どちらかといえば、現在の完成形を手に入れたいというユーザー、これからゲーミングキーボードを購入するユーザー、現在のモデルに不満を抱えているユーザーにとっては、有力な候補になることは間違いない。
世代を重ねてよりブラッシュアップしていることは間違いなく、とくにキーのぐらつきのない高いビルドクオリティは評価に値するし、過去シリーズも対応するとはいえ、ゲーマーを支援する機能として思いつく限りを詰め込まれている一品ではある。もしこれに価格と見合う価値を見出せるのであれば、購入を検討してもいいだろう。
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