さて、冬の新製品シリーズである。カメラの新製品がコンスタントに出るというのはいいことですな。
今回は、ニコンの「Z50II」。程良く軽くて、程良く握りやすく、程良い価格の“ちょうどいい”カメラと言っていい。普通の人が普通に買って、気の向くままに普通に撮るのにいいのである。
装着してるレンズは「24mm F1.7」の単焦点。室内で猫を撮るときは単焦点レンズが欠かせない。特にこのレンズは、コンパクトでZ50IIに似合うのだ。
今回はもうひとつ、フルサイズ用の新しいレンズ「Z50mm F1.4」も用意。Z50IIにつけると、いい感じの中望遠レンズになるのだ。
冒頭写真は、この50mmで撮ったもの。けっこう近くまでピントが合うからありがたい。もちろん猫瞳AF付きで、これがなかなか優秀なのである。
カメラを構えてたら、いきなりとことこと歩いてきたので連写したのだけど、ちゃんと瞳にピントが合い続けてる。
こういうの、いいよね。場所はいつもの「保護猫シェルター QUEUE」です。新しいカメラが届いたときに、まず訪れるスポット。
のんびりと床に座って、あれこれセッティングしながら猫を撮る。ぴょこっと顔を出したので、すかさず。背景の椅子にかかってる赤い服が邪魔! と思ったけど、そこに無造作に上着をかけたのは自分なのでしょうがない。
で、Z50IIは万人向けの廉価なカメラだから、猫のアクティブな姿ではなく、午後らしいのほほんとした姿を、のんびり収めようと思っていたのである。だがしかし、この日、保護されたばかりでまだほかの猫にも慣れてない子猫が、試験的に猫たちのフィールドに放たれたのである。
これが引き金を引いた。いつもならのんびり昼寝してる猫たちの一部がざわめきたったのである。こわごわだけど好奇心に勝てなくて予測不能な動きを繰り返す子猫と、新しくやってきた子猫が気になる古参猫の絡みが始まったのだ。見てると面白いのだけど、撮るのは大変。
Z50IIさん、無理なことお願いしてごめんなさい、と思いつつ、猫AF+高速連写モードにセットして、どのくらい撮れるか挑戦するはめに。
電動で動いてるオモチャが気になって、ソファーの下からダダっと飛び出したはいいけど、遊ぼうとしたとたん、ほかの猫に気づいてびっくりして引っこんじゃうなんて、カメラで追うの大変すぎ。
そして、時には逃げそびれて、捕まっちゃったりするのだった。
ともあれ、Z50II頑張った。黒い子猫という過酷な被写体なので捕まえきれないこともあったけど、このクラスでこのAF性能はさすがだ。普通の猫撮りには申し分ない。
面白かったので、もう1シーン。キャットタワーの中に隠れた黒子猫と、それをじっとチェックするキジトラ。
そして、キジトラが何かに気を取られてちょっと横を向いた瞬間に、黒子猫が飛び出してちょっかいを出してきたのである。びっくりしたのはキジトラ。慌てて、脱兎ダッシュしたのであった。
最後は、のほほんと平和なカットで締めることにいたします。
Z50IIは、さすがに上位機種ほどの速さはないけど、十分猫を追いかけてくれるし、軽くてグリップしやすいし、得手不得手なく幅広い被写体を撮れる(もちろん猫も)。
いま、普通のデジタル一眼が欲しい、特にせっかくのデジタル一眼なのだからファインダーを覗いて撮りたいって人にちょうどいいカメラだと思うのである。
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筆者紹介─荻窪 圭
老舗のデジタル系フリーライター兼猫カメラマン。今はカメラやスマホ関連が中心で毎月何かしらのデジカメをレビューするかたわら、趣味が高じて自転車の記事や古地図を使った街歩きのガイド、歴史散歩本の執筆も手がける。単行本は『ともかくもっとカッコイイ写真が撮りたい!』(MdN。共著)、『デジタル一眼レフカメラが上手くなる本』(翔泳社。共著)、『古地図と地形図で楽しむ東京の神社』(光文社 知恵の森文庫)、『東京「多叉路」散歩』(淡交社)、『古地図と地形図で発見! 鎌倉街道伝承を歩く』(山川出版社)など多数。Instagramのアカウントは ogikubokeiで、主にiPhoneで撮った猫写真を上げている。Twitterアカウント @ogikubokei。ブログは http://ogikubokei.blogspot.com/
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