「DIRT 5」
DIRT 5は画質“極低”、レンダースケールは100%に設定。ゲーム内蔵ベンチマークにおけるベンチマークシーン再生中のフレームレートを計測した。
Ryzen 7 7800X3Dよりもアーキテクチャーが進化した9800X3Dの方が平均・最低フレームレートどちらにおいても良好な結果を出したパターンである。
Core i9-14900KがRyzen 7 9800X3Dの3倍近い電力を消費しているが、全体傾向としては他のゲームと大して変わっていない。
「Days Gone」
Days Goneは画質“低”に設定。ワールドマップ東方、敵の大群を殲滅するミッション“箱船に入りなさい”中において、敵の巣付近の一定のコースを移動した際のフレームレートを計測した。
Ryzen 7 9800X3Dは7800X3Dに対しては平均フレームレートにおいて約13%向上だが、Core i9-14900Kに対しては約40%という非常に大きな伸びを示している。
消費電力の傾向は他ゲームと共通。ワットパフォーマンスは最後にまとめて紹介するが、Days GoneにおけるCore i9-14900Kのワットパフォーマンスを1とした場合、Ryzen 7 9800X3Dは2.86である。
「Dead Space (2023)」
リメイク版Dead Spaceは画質“低”、アンチエイリアスはTAA、TAA品質は“低”に設定。ゲーム序盤に訪れるハンガーエリアの無重力空間を移動した際のフレームレートを計測した。
Ryzen 7 7800X3DとCore i9-14900Kは僅差だが、Ryzen 7 9800X3Dは両者の14%程度上の平均フレームレートを示している。このゲームが興味深いのは消費電力のほうだ。
Dead SpaceはTPS視点のアクションゲームなのだが、CPUの電力が他のアクションゲームに比べ極端に大きいことが特徴だ。これは筆者の過去の検証でも判明しており、今回の検証で追認できた形になる。Core i9-14900Kだと平均260W、Ryzen 7 9800X3Dだと平均130W程度消費しているので、他ゲームにおける消費電力の傾向を継承しつつ、CPUの消費電力も限界まであげた、という感じだ。
Ryzen 7 7800X3Dのみが大人しく(それでも7800X3Dにしては消費電力は大きめだが)、9800X3Dの約半分の電力にとどまっている。このゲームだけなぜ消費電力が高いのか断言できる材料はまだないが、筆者が使用しているベンチマークシーンでは霧状のエフェクトが多用されており、この処理を実行する処理が非常に負荷が高いためではないかと推測している。
「Enshrouded」
Enshroudedは画質“パフォーマンス”、アンチエイリアスはFXAAに設定。ゲーム中に存在する尖塔“低木の牧草地”から西に飛び、一定のルートを移動した際のフレームレートを計測した。
どのCPUも平均190fpsあたりに見えない天井があるが、Core i9-14900KはRyzenよりも少しだけ天井が高いようだ。ただ、現時点におけるEnshroudedの実装では、CPUによる性能差が小さいだろうということは推測できる。
設定名にわざわざパフォーマンスと付けるだけあってCPUの負荷も非常に小さいことが消費電力の傾向から読み取れる。Ryzen 7 9800X3Dと7800X3Dの差の小ささにおいては、全56本のゲーム中最少である。
「F1 24」
F1 24では画質“超低”、アンチエイリアスTAA、異方性フィルタリングはオフに設定。ゲーム内蔵ベンチマークにおけるベンチマークシーン再生中のフレームレートを計測した。ベンチマークシーンのコースは“モナコ”、天候は“ウェット”としている。
ベンチマーク機能があるので大変助かるゲームだが、そのわりにフレームレートの出る時と出ない時の落差が大きいゲームがこのF1 24である。試行回数を多めに重ねた結果、これならばまあ外れはないだろうというのが上のグラフの結果だ。Ryzen 7 9800X3Dは7800X3Dによりも平均フレームレートにおいて12%、Core i9-14900Kに対し24%上回っている。
消費電力の傾向は他のゲームと同じである。Ryzen 7 9800X3Dはフレームレートが伸びている分消費電力も増加しているが、ワットパフォーマンスで考えると7800X3Dの方が費用対効果に優れているようだ(詳細は後述)。
「Far Cry 6」
Far Cry 6は画質“低”、アンチエイリアスTAAに設定。ゲーム内蔵ベンチマークにおけるベンチマークシーン再生中のフレームレートを計測した。
平均フレームレートの出方(比率)は先のF1 24とほぼ同比率となっている。3D V-Cacheを搭載したRyzen 7 7800X3Dと比較すると9800X3Dは12%のアドバンテージがあり、持たざるCore i9-14900Kに対しては同様に23%のアドバンテージがある。
消費電力の傾向に特筆すべき部分はない。
「Final Fantasy XVI」
Final Fantasy XVIでは画質“低”、スーパーレゾリューションを無効(レンダースケール100%)に設定。ゲーム序盤、過去回想編で訪れるマップ内を移動した際のフレームレートを計測した。
平均フレームレートではCore i9-14900Kがトップだが、Ryzen 7 9800X3Dとの差は小さく、3%程度の僅差にとどまっている。Ryzen 7 7800X3Dと9800X3Dも僅差であるため、3D V-Cacheの存在やCPUのパワーはあまり影響しない設計のようだ。
消費電力のパターンはこれまでと同様のパターンとなった。Ryzen 7 9800X3Dでも60W程度しか消費していないことを考慮すると、FF16でのCPU処理は控えめに設計されていると推測できる。
「For Honor」
For Honorは画質“低”、アンチエイリアスをFXAAに設定。ゲーム内蔵ベンチマークにおけるベンチマークシーン再生中のフレームレートを計測した。
620fpsを超えたあたりでフレームレートが頭打ちになるようで、Ryzen 7 9800X3Dでも7800X3Dに対し平均フレームレートで2%しかアドバンテージを得られていない。だがCore i9-14900Kに対してはRyzen勢は圧倒的なアドバンテージがあり、Ryzen 7 9800X3Dは平均フレームレートで32%上回った。
Dead SpaceほどではないがFor Honorのベンチマークシーンも消費電力が大きめである。Ryzen 7 7800X3Dと9800X3Dのフレームレートにほとんど差がついていないことを考えると、ワットパフォーマンスでは7800X3Dの方が優秀だ。
「Forza Horizon 5」
Forza Horizon 5では画質“最低”とし、アンチエイリアスはMSAA 2Xに設定。ゲーム内蔵ベンチマークにおけるベンチマークシーン再生中のフレームレートを計測した。
Ryzen 7 9800X3Dを筆頭にキレイな差がついた階段状のグラフになった。Ryzen 7 7800X3Dに対しては6%、Core i9-14900Kに対しては21%上回っている。
消費電力の傾向はまったく同じである。
「Forza Motorsport (2023)」
Forza Motorsportでは画質系の設定すべてを最低にしつつ、アンチエイリアスはTAAに設定。ゲーム内蔵ベンチマークにおけるベンチマークシーン再生中のフレームレートを計測した。
平均フレームレートでRyzen 7 9800X3Dが7800X3Dを越えられなかったゲームの数少ない例がこれ(他はAssassin's Creed Mirageとこの後解説するSilent Hill 2である)。とはいえ平均フレームレートでは2fpsも違っていない。ただ最低フレームレートはRyzen 7 9800X3Dが7800X3Dを上回った。Ryzen 7 9800X3Dと7800X3Dの差は小さい。
Core i9-14900Kは僅差でトップに立っているが、240fpsあたりに見えない壁が立ちはだかっているようだ。おそらくゲームで使用する物理シミュレーションの関係上、CPU側の仕事量の絶対値が決まっており、結果的にフレームレートに上限が課せられているのではないかと思われる。
Ryzen 7 9800X3Dと7800X3Dの消費電力の差が比較的小さめな(とはいえ、Enshroudedほど小さくはない)以外は、特筆すべき部分はない。
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