東京地下鉄(東京メトロ)は11月5日、有楽町線支線(豊洲駅〜住吉駅間)と南北線支線(白金高輪駅〜品川駅間)の建設工事に着手したと発表した。両線とも、2030年代半ばの開業を予定している。
有楽町線延伸で東陽町〜住吉エリアのアクセスを改善
有楽町線については、現在途中駅となっている豊洲駅から分岐する形で、東陽町を経由し住吉へ至る支線を建設する。建設キロは4.8kmで、総建設費は約2690億円を見込む。
新たに設置する駅は豊洲側から順に「枝川」「東陽町」「千石」「住吉」の4駅(住吉以外はいずれも仮称)。東陽町駅では東京メトロ東西線に、住吉駅では同半蔵門線と都営新宿線に連絡する。
開業後は豊洲・お台場エリアと東京スカイツリーや都内東部・北部、千葉方面へのアクセスが改善するほか、東西線(木場駅→門前仲町駅間)ではピーク1時間あたり約20%の混雑率低減を期待できるとしている。
南北線品川乗り入れで幻の路線が100年ぶりに復活
南北線では白金高輪駅から分岐し、品川駅へ至る建設キロ2.5km(途中駅なし)の支線を建設する。総建設費は約1310億円で、JR品川駅の西側、第一京浜(国道15号)の地下に南北線用の駅を設置。同駅に乗り入れる初の地下鉄となる。
開業後は六本木や赤坂といった都心部と品川エリアへのアクセスが大幅に改善。例えば六本木一丁目駅から品川駅まで移動する場合の所要時間は、現行の約19分から約9分へと短縮される。
また、品川駅から他社線に乗り換えることで、羽田空港や名古屋・大阪方面へのアクセスも便利になる。建設中のリニア中央新幹線が開業すれば、利便性はさらにアップする見通しだ。
品川駅と白金エリアを結ぶ路線は、戦前に京急の前身となる京浜電気鉄道が建設を計画していたが、実現することなく、1928年に特許(建設許可)が失効している。今回の南北線支線が完成すれば、およそ100年越しに、両エリア間を結ぶ鉄道が実現することになる。