創業者からCData Virtuality誕生秘話が披露
アルプスでヨーデルをレコード化したら、事業が急成長 データ仮想化が必要になるまで
さて、ゴロビン氏からは実際のユーザー事例も披露された。フランスの総合金融機関であるクレディアグリコル(Credit Agricole S.A.)は、もともとDWHを運営していたが、監督官庁である中央銀行の要請で従来より詳しいレポートを提出する必要に迫られていた。しかし、DWHから必要なレポートを生成できるシステム構築は最低でも半年かかると言われていたという。
これを短期化したのが、CData Virtualityだ。半年かかると言われていたシステムの構築に対して、レポート生成できるまでは2週間で済んだ。「顧客の許可なしに、データを複製できない」というGDPRの制約要件に関しても、データ仮想化により、柔軟なデータ活用が可能になったという。これまで時間のかかっていたデータ分析もリアルタイムになり、顧客からのローンの相談に対して、競合よりもスピーディに提案できるようになったという。
また、中東の金融機関であるアリーバ(Areeba)は、モバイルアプリからのデータ、マスタデータ、データレイク、インメモリDBのデータをCData Virtualityに仮想統合し、これをTableauで分析しているという。今までは個別にデータ連携を設計する必要があったが、データ基盤のCData Virtualityだけを見ればよいという。また、単なるデータの保管場所としてではなく、ビジネスロジックまで組まれているため、モバイルアプリを用いた小規模金融の営業効率も大幅に向上したとのこと。
今後のロードマップとしては生成AIの導入が予定されており、自然言語での検索も実現される。RAGと組み合わせて、データのマスキング、利用許諾の管理、監査などの機能も合わせて提供し、ガバナンスを確保するという。
AWSの東京リージョンで提供開始 エンタープライズのニーズに応える
セミナーの後半はCData Software Japanの桑島義行氏が、キーシナリオと製品のデモを披露する(関連記事:データ活用の万能ナイフ「CData Virtuality」で、溜めるだけのビッグデータやDWH乱立に訣別を)。
まずCData Virtualityの特徴については「業界最多級のデータソース」を挙げる。SaaS、オンプレミスアプリケーション、データベース、ファイルなどさまざまで、買収以降、対応データソースの数は加速度的に増えている。
また、データ仮想化とレプリケーションを単一のプラットフォームで実現している点も重要。データ仮想化はクライアントから仮想テーブルへのアクセスし、リアルタイムにデータを取得してくるので、鮮度を重視するケースに最適。データベース間のクエリ、セマンティックデータモデリングなども可能だ。一方、大規模なデータや履歴データの分析を前提とする場合は、ETL処理を介してデータ自体をレプリケーションしてしまう方法がオススメだ。
さらに最大80%のコスト削減を実現すべく、オンプレ、ホスティング、SaaSなど幅広いデプロイオプション、AIやキャッシュを活用したデータの最適化、エンタープライズで重要なデータガバナンス機能なども大きなメリット。あらゆる専門家が手軽に利用できるよう、セルフサービスのウィザードやデータカタログも用意されているほか、手続き型のSQLやジョブ・スケジュールの自動化なども可能となっている。桑島氏は、同日付でAWSの東京リージョンでクラウド版が利用できるようになったことをあわせて発表した。
国内で検討しているユーザーの活用事例から考えたキーシナリオとしては、従来のETL+DWHというデータ統合に変わる新しい選択肢として挙げられるほか、BIやデータアプリの開発効率化、あるいは複数のDWHの統合といった用途でも活用できるという。現在、国内で導入3500社を誇るMotionBoardからのCData Virtualityへの接続も検証しているという。
そして、残り30分はデモ。桑島氏は、200を超えるデータソースへの接続をポイント&クリックで設定できる点をアピール。クエリの実行やスクリプトのスケジュール設定、クエリ履歴の表示、ファイルのインポート/エキスポートが可能な「コードエディタ」、異なるデータベースのテーブルから取得したデータを結合したビューのGUIでの作成なども披露した。
その他、クエリパフォーマンスを向上させるマテリアライズドテーブル(キャッシュ)の作成、DWHへのデータのレプリケーション、組織内のデータ資産を包括表示するデータショップ、デスクトップ型ツール、REST APIやJDBC/ODBCなどの接続についても説明。CData Virtualityの多機能ぶりや使いやすさをアピールした。
あわせてISO 270001、SOC 2 TypeⅡ、SOC 3の認証、GDPR/HIPPAへの準拠といったセキュリティ標準への準拠、ユーザーごとの権限やアクセス管理、マスキングによるデータ保護、行・列レベルでのアクセス制御、メタデータの履歴管理といったデータガバナンスへの取り組みも披露。エンタープライズでの利用において、妥協のない高機能な製品仕様についてアピールした。