似て非なるデータ仮想化とデータ統合 ユーザーに最適な選択肢とは?

Danielle Bingham 翻訳:兵藤朋代

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 本記事はCDataが提供する「CData Software Blog」に掲載された「データ仮想化とデータ統合、あなたに最適な選択肢は?」を再編集したものです。

企業が急増するデータ量に対処するためには、複数のクラウドサービスまたはオンプレミス、あるいはその両方に保存された情報を、管理・統合・分析し、活用する方法を見出す必要があります。この課題に対処するための主要なアプローチとして、「データ統合」と「データ仮想化」の2つがあります。

両者は複数のデータソースからデータを統合し、統一されたビューを提供する点で共通していますが、どちらがあなたに最適なアプローチでしょうか?

※本記事はCData US ブログ Data Virtualization vs. Data Integration: Which Is the Best Option for Your Needs? の翻訳です。

データ統合とは?

データ統合(ETL / ELT)は、より伝統的な方法です。この直截簡明なアプローチは、データのクレンジングや検証プロセスを通じて発生する可能性のある不整合やエラーを削減し、データの品質維持に役立ちます。異なるソースからデータを統合するための重要なコンポーネントであり、エンタープライズデータウェアハウスと並んで、ETL(抽出・変換・ロード)とELT(抽出・ロード・変換)のプロセスを組み合わせたものです。

データ統合の利点は広く認識されています。これは、レガシーシステムからモダンプラットフォームへのデータ移行や統合において非常に有用なソリューションであり、スケーラブルで高い精度を持っています。データ統合は、膨大な量のデータを処理することができ、メタデータ管理にも優れているため、より高い効果を発揮します。API やWeb スクレイピング、サードパーティアプリケーションなどの外部ソースからデータを抽出し、分析プロセスを強化するニーズにも応えます。

データ統合の仕組み

データ統合は、異なるソースのデータを統一されたビューに統合するプロセスです。このプロセスは通常、抽出・変換・ロード(ETL)の3つの主要なステップから成り立ちます。まず、抽出フェーズで多様なシステムやアプリケーションからデータを収集し、次に変換フェーズでデータを一貫したフォーマットに整え、互換性を確保して不一致を取り除きます。最後に、変換されたデータをデータウェアハウスなどの中央リポジトリにロードし、アクセスや分析を可能にします。

CData Sync のようなモダンなETL ツールは、ELT(抽出・ロード・変換)アプローチもサポートしています。この方法では、まず生データをターゲットシステムにロードして、その後データベース内で変換を行います。このストラテジーでは、データベースの処理能力を利用して、大量のデータをより効率的に処理します。ETL / ELT は、プロセス全体を通してデータの整合性・一貫性を維持することにより、統合されたデータは信頼性が高く、すぐに活用できます。

さまざまなデータソースを一元管理することで、企業はデータの品質向上、意思決定プロセスの強化、ビジネスインテリジェンスから人工知能に至るまで、幅広いイニシアティブをサポートできます。統合されたデータによって、実用的なインサイトをサポートする包括的な分析が可能になり、企業は競争力と俊敏性を維持できるようになります。

データ統合の手法

データ統合基盤を実装する手法として、主に3つの方法があります。API(アプリケーションプログラミングインターフェース)を使ったAPI 連携、IPaaS を使う方法、ETL を使う方法です。

ETL / ELT

ETL(抽出・変換・ロード)は、データを複製・変換してそのデータをデータベースやデータウェアハウスにロード、保存するプロセスです。最新のETL ツールはELT 機能も提供しており、データのロードと変換のステップを置き換えて、ロード後に基盤となるDWH を活用してデータを変換します。

このストラテジーはデータ統合の従来のアプローチで、大量のデータを扱う場合によく使われます。一元化されたデータベースやデータウェアハウス上で、BI を使った分析からAI、アプリ開発など、広範囲にわたるエンタープライズイニシアチブを実行するのに理想的です。定義上、このアプローチは純粋なデータ統合を使用しており、アプリケーションを統合することなくデータのみを統合します。

大規模なデータ統合を管理・自動化する必要がある場合は、CData の主要なETL / ELT ソリューションであるCData Sync をお試しください。Sync を使えば、何百ものアプリケーションやデータソースから任意のデータベースやウェアハウスにデータを複製し、データレプリケーションを自動化できます。

カスタムデータ統合とAPI

API とは、異なるシステムやアプリケーション間でデータをやり取りするメッセンジャーの役割を果たします。API を介してさまざまなアプリケーションを連携し、シンプルなAPI クエリを実行することで多様なソースからライブデータを取得できます。取得したデータを活用して、コードでカスタマイズ可能な柔軟な統合を作成することが可能です。

CData は、CData API Driver を介したユニバーサルAPI 接続により、API ベースの連携をシンプルにします。他のCData Drivers と同じ強力なSQL エンジン上に構築されたCData API Driver は、単一のクライアントインターフェースを介してAPI へのシンプルなノーコードのクエリ接続を可能にします。

データ仮想化とは?

データ仮想化では、複数のシステムに存在するデータを、ローカルのデータベース、あるいはクラウドネイティブの接続インターフェースを介して、仮想的に統合したデータに変換します。多くのデータ仮想化プラットフォームには、多様なデータソースにリアルタイムでアクセスできる機能が備わっています。データ仮想化ソリューションにより、単一のインターフェースを通じて企業データを公開できるようになります。

従来のデータ統合アプローチとは異なり、データ仮想化は、データの移動や複製が不要なキャッシュメカニズムを使用してデータを元のシステムに保持します。

仮想化アプローチは高速で高い柔軟性を持ちり、データソースやビューを簡単に変更することができます。そのため、データ仮想化はデータ統合と比較して開発サイクルが短くなります。また、厳格なユーザー権限を持たない者がデータを複製、移動、アクセスできないため、セキュリティも強化されます。

データ仮想化の仕組み

データ仮想化は、データを物理的に移動または複製することなく、複数のソースからのデータを統合したビューを提供する仮想データレイヤーを構築します。このアプローチでは、高度なデータ抽象化技術を使用してデータをリアルタイムで統合・表示することで、ユーザは異なるデータソースにあたかも単一のまとまったデータセットであるかのようにアクセスし、クエリを実行できます。

データ仮想化ツールは、データベース、クラウドサービス、API などさまざまなデータソースに接続して、データの仮想表現を作成します。この仮想データは、標準的なクエリインターフェースを通じてアクセスすることができます。

データ仮想化のプロセスは、データソースに接続し、データ構造を仮想モデルにマッピングすることから始まります。この仮想モデルは、基底となるデータの複雑さを抽象化し、簡素化された一貫性のある形式で表します。キャッシングメカニズムを採用すると、頻繁にアクセスするデータを一時的に保存して、ソースシステムから繰り返しデータを取得する必要性を減らすことで、パフォーマンスを向上できます。

ユーザーは、使い慣れたツールやインターフェースを使用して仮想化されたデータを扱い、データの複製や移動にリソースを消費することなくリアルタイムの分析とレポーティングを行うことができます。

データ仮想化には、データ管理における俊敏性や柔軟性の向上など、いくつかの利点があります。アプリケーションやワークフローを中断することなく、新しいデータソースをすばやく統合したり、既存のデータソースを変更したりできます。

データ仮想化では、データを元の場所に保持することで、データの移動に伴うセキュリティリスクを排除し、アクセス許可とデータガバナンスポリシーが維持されることを保証します。データ仮想化アプローチは、データ統合を簡素化し、全体的なデータアクセシビリティを向上させるため、ハイブリッドクラウド環境全体でデータへのアクセスと分析が必要な企業にとって特に有益です。

データ仮想化 vs. データフェデレーション

データフェデレーションは、さまざまなデータソースのデータを仮想データベースに集約し、データを物理的に移動することなく、統合されたデータセットとして提示するテクニックです。データフェデレーションとデータ仮想化は、どちらも異種データソースの統合ビューを提供することを目的としていますが、データ仮想化はより柔軟でリアルタイムなアクセスを提供します。

データ仮想化は、仮想データレイヤーを作成して、データ連携にありがちな複雑さやパフォーマンスの問題を伴わずに、シームレスなクエリや統合を可能にします。これにより、データ仮想化は現代のデータ管理ニーズに対応する、よりアジャイルでスケーラブルなソリューションとなります。

データ仮想化とデータ統合、どちらが最適な選択肢?

どちらのデータ統合手法を選ぶかは、最終的にはユースケースの具体的な要件、データ量、複雑さ、統合頻度によって決まります。

データ統合は、データマイニングや履歴分析に適しており、長期的なパフォーマンス管理や戦略的プランニングをサポートします。ただし、業務上の意思決定支援アプリや在庫管理、または日中のデータ更新を必要とするアプリケーションには適さない場合があります。そのような場合は、データ統合よりもデータ仮想化が優先されます。

どのような手法でデータ統合を実施するかお悩みの方は、ぜひ一度CData までお問い合わせください。データ統合・連携のプロフェッショナルがご案内します。

データ統合とデータ仮想化を両方使用するべきケース

データ統合と仮想化、双方の手法を活用すべき場合もあります。

複数のデータウェアハウスを統合して仮想化

データ統合では、データソースを最適化して互換性を確保する必要があります。データ仮想化を追加することで、物理的なデータを複製することなく、統一されたビューを提供することが可能になります。

履歴データ分析のためにレガシーシステムをモダナイズ

新しいテクノロジーが開発されるにつれ、レガシーシステムとの互換性は低下します。データ統合とデータ仮想化を併用することで、最新のストレージプラットフォームとレガシーストレージプラットフォーム内で履歴データと現在のデータの仮想ビューを作成できるため、ハイブリッドクラウドデータエコシステムを容易に管理できます。

既存のデータウェアハウスインフラストラクチャーを強化

ETL / ELT プロセスを通じて新しいデータソースを統合することで、データウェアハウスの機能が拡張され、より広範な情報にアクセスできるようになります。データ仮想化は、わずか数クリックで新しいソースを追加できるようにすることで、この統合を補完します。カスタムパイプラインは必要ありません。

大規模データセットのアプリケーション統合を可能に

複数のアプリケーションを管理・統合することは、IT チームにとってチャレンジです。データ統合は、ストレージソリューションへの迅速なデータ抽出を可能にし、まとまりのある統合されたビューが得られます。データ仮想化は、統合されたデータにレポートツールから直接アクセスできるようにすることで、より深い分析を行いその意味を理解できるようになります。

データ統合ワークフローを強化

データ仮想化は、多様なデータソースと統合プロセスを橋渡しし、アプリケーションやシステムの完全なビューを提供し、大量のデータを複製または移動する必要性を排除します。

CData のソリューションは両方のアプローチをサポートします

CData Sync は、データ統合および変換プロセスを包括的にサポートし、CData Virtuality は次世代データ仮想化を提供します。これら2つのソリューションは、異なるアプローチを提供し、特定の要件に基づいた柔軟性を提供します。

CData Virtuality またはCData Sync の製品ツアー、30日間無償トライアルをぜひお試しください。

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