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VAIO最新フラッグシップは「Z」ではなく「R」

忘れていたワクワク感を思い出す、絶妙モバイルノートPC「VAIO SX14-R」

2024年11月04日 13時00分更新

文● HK 編集●ASCII

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VAIO SX14-Rのメリットとデメリット

 以下、他のパソコンにはないVAIO SX14-Rならではの特徴(メリット)と、購入する際に注意したいポイント(デメリット)について解説します。

特徴1:魅力的なカラーバリエーション、細部まで作り込まれた入念な仕上がり

 VAIO SX14-Rを語る上でデザインは欠かすことのできないポイントです。すでに述べたように、本体カラーはVAIO SX14-Rはパソコンではあまり見ない鮮烈なグリーン(ディープエメラルド)を含む、6色ものバリエーションを用意しています。

緑との筐体との対比が美しいヒンジ部のオーナメント

よく見ると天板のエッジが緩やかな曲線を描いていることがわかります。こうした細部のこだわりが全体の質感を底上げしています。

 また、単に色が豊富なだけでなく、仕上げへのこだわりも入念です。実は、VAIO SX14-Rはクオリティーを上げるために、これまでよりも多い、4段階の試作工程を経て開発されています。ヒンジ付近に設けられたキラキラと輝く部材(オーナメント)も色に合わせてシルバー調とカッパー調の2種類を使い分けています。仕上げの曲線もきれいです。より長い時間をかけて検討した筐体は曲線や部品の合わせなど、細かな部分の完成度が高く、大きな魅力になっています。

 ここまで質感にこだわったパソコンはあまりないですし、180度フラットに開くヒンジ部、片手で簡単に持ち上げ、ディスプレーを開ける軽快性などちょっとした使い勝手にもこだわっています。細部まで手を抜かない仕上げはこれまでのVAIO同様、高水準な仕上がりと言えるでしょう。

特徴2:使い勝手のいい14.0型の画面サイズ、本体は1kgを切るほど軽量

 実使用の観点では、モバイルノートとしては大きい14.0型の画面サイズでありながら、重量は最も軽い構成で約948gと非常に軽く抑えているのがポイントです。

 いまパソコンを選ぶ際、携帯性を重視する人は14インチ、13.3インチ、10.4インチなどの選択肢がありますが、14.0インチはモバイルパソコンとして大きく、さらに縦方向が広い16:10のパネルを採用しているため、文書の編集作業が快適です。

端子類は充実しています。右側には2種類のUSB端子に加えて、HDMI出力、LAN端子、ヘッドホン/マイク入力端子などまで装備しています。企業ユースも意識した仕様のため、薄型ながら端子はかなり充実していると思います。

大小2つのUSB端子(従来からあるUSB Type-Aと、USB Type-C)は本体の左側にも装備しています。両サイドに分けるとその分だけ、コストも上がるわけですが、特にUSB Type-Cは充電やディスプレー出力にも使用するので、パソコンの向きやケーブルの取り回しに頭を悩ませずに済んでいいです。

 重量は単純な数値で比べれば、さらに軽い機種も存在しますが、キーボードなどの使い勝手、そして本体の堅牢性を損なわず、この重量に収めているのが重要なポイントです。そのために、天面と底面には新開発の「熱可塑性カーボンプレート」という素材を採用しています。

 堅牢性については、VAIOが全機種共通で実施している品質試験は当然実施しているほか、アメリカ国防省が制定したMIL規格準拠のテスト、そしてモバイルノート向けに特別に設定した特別品質試験も実施しています。品質チェック項目は120以上に及ぶそうです。

 なお、液晶パネルはタッチパネルにも変更可能です。光沢あり/光沢なしも選べ、ペン操作も可能です。こうしたカスタマイズできる幅の広さ、選択肢の豊富さもVAIOならではの特徴と言えるでしょう。

特徴3:大容量バッテリーも搭載可能

 モバイルノートパソコンの悩みの種はバッテリー切れ。

 バッテリー駆動時間が長い点もVAIO SX14-Rの特徴です。標準状態でも動画再生時で10〜11時間、アイドル時で26〜27時間(いずれもJEITA 3.0測定基準)と、現行機種を上回る性能ですが、さらに大容量バッテリーの搭載が可能となっています。

 大容量バッテリーを搭載した際には動画再生時で最大約16時間、アイドル時で最大約38時間と約60パーセントの改善が得られます。また、拡張バッテリーは組み立て時に本体に内蔵するタイプのため、搭載してもスリムな本体のサイズは変わりません。

 バッテリー駆動時間はバッテリーを多く積めば伸ばせますが、VAIOは重量を抑えたまま長時間の駆動ができる点もポイントです。大容量バッテリーを搭載した場合でも重量は1kgを少し超える程度です。

実はACアダプターも改良されています。小型であることに加えて、コンセントに差す部分を折りたためるようになっているため、コンパクトかつ他のものを傷つける心配なく携帯できます。

 また、VAIOはスペック上の値だけでなく、実駆動時間にこだわっています。画面を見ていない際にはバックライトの輝度を落とす、計算する内容に合わせてバッテリーの消費電力が最も効率いい設定を選ぶことができるほか、長期間使ってもバッテリー駆動時間が減らないようバッテリー劣化を抑える「いたわり充電モード」も搭載しています。

 スマートフォンなどと同様に、パソコンも購入時が一番長い時間使え、使えば使うほどバッテリ一の容量が減っていきますが、いたわり充電はこうした問題に配慮した機能です。1台を3年、5年と長く使っていきたい人にも安心です。

購入時に注意したい2つのポイント

性能は最新・最高とは言えない、AI PCだがその性能は限定的

 上に製品の完成度を高めるため、開発工程を通常より多く取ったと書きましたが、これは通常よりも開発期間を長く取った言い換えられます。

 そのこともあり、VAIOが搭載するCPUは最新のCore Ultra シリーズ2ではなく、1年前に登場した第1世代のCore Ultraとなっています。VAIO True PerformanceなどCPUの性能を引き出す独自の機能を装備しており、安定性を重視する企業での導入では敢えて「枯れたCPU」を選ぶケースもありますが、最新、最高の性能を求める人には少しもの足りなさがあるかもしれません。

 また、Core Ultraはシリーズ1でも、AI PC向けのCPUとして設計されており、Windows 11が持つAIパソコン向け機能の一部を利用できます。ただし、Core Ultra シリーズ2やAMDのRyzen AI 300シリーズ、Snapdragon Xなどと比べてAI処理に使うための機能ブロック(NPU)の性能が低いため、マイクロソフトが提唱するCopilot+ PCの条件を満たすことができません。

 そのため、最新AI PCでのみ活用できるWindows 11の新機能(リコール検索、画像生成、翻訳、ビジュアルエフェクト)などは使えません。現状では、AI機能でできることは少なく必須とは言えませんが、OSもソフトも今後対応を強化していくでしょう。

 3年、5年と長く使い続けることを想定し、かつ最新のAI機能を積極的に活用していきたいと考えている人は、購入時に注意すべきポイントです。

やっぱり価格には割高感がある

 VAIO SX14-Rの直販価格は20万円台の後半からです。パソコンの機種選びにこだわりがあり、高スペックを重視する人であれば、上位のCPU、高容量のメモリー、SSDが必要になるため、予算的には30万円程度を考えておいた方がいいと思います。

 インフレや円安の影響もあり、モバイルノートパソコン全体の価格が上がっている中では飛び抜けて高価という印象はありませんが、活用シーンがビジネス主体となり、価格と性能のバランスを重視したい人が買うPCとしては、やはり割高感があります。特に世界規模で販売されている外資系メーカーの機種と単純に仕様を比較した場合、コストパフォーマンスが高い機種とは言えません。

 しかし、国産PCならではの安心感のあるサポート、VAIOならではの使用感、デザインを含めた品質や満足感の高さなどに納得できる人にとっては購入する価値が十分にある製品です。VAIO SX14-Rを購入する人は、パソコンに何を求めるかを自問自答して、購入するかどうかを決めるといいでしょう。

 モバイルを中心に快適な操作感、軽さと作業効率、長時間のバッテリー駆動などを重視する人には良い製品ですし、デザインを含めたフィーリングが自分に合うのであれば、他にはない選択肢になるでしょう。

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