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3人制プロバスケチーム「esDGz OTAKI.EXE」が稲作の担い手不足とプロアスリートのキャリア問題を解決!?

「農業×バスケ、ときどきニワトリの孵化(非営利)」というまったく新しい働き方を実践する団体が存在 稲刈りの手伝いがてらお話を聞いてきた

文●ジサトライッペイ/ASCII 編集●ASCII

提供: 株式会社JAPANNEXT

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近隣の農家から耕作地を無料で委託
されど稲作は会社としての経営が難しい

――農業の現状はいかがですか?

近藤さん:今は弊社のリソースが不足しているので営業をかけていないのですが、それでも毎年やっぱり2~3名の近隣の農家の方が耕作地委託のご相談に来られます。離農の理由は担い手不足や機械の故障などなんですが、機械は特に1000万円とかしますから、60~70代の方がこれから新規で購入してってわけにはいかないのだと思います。

――耕作放棄地は獣害のほか、雑草問題もありますよね。

近藤さん:そうですね。結局、草刈りをしないと近隣の耕作地に迷惑がかかるので。でも、自分でやれないとなると業者にお金を払わないといけないので、それだったら無料でうちに使ってもらったほうがいいと考え、ご相談に来られますね。

――しかし、今はSDGs大多喜学園もリソース不足と。

近藤さん:やはり営利を考えると、なかなか……。稲作は利益が上がりづらい事業ですので、耕作地を増やせば増やすほど厳しいというのが現実ですね。耕作面積が広がったぶんお米も多く収穫できるのですが、手間や燃料などの経費を考えると、そんなにうまくはいかないんですよね。

「農業×バスケ、ときどきニワトリの孵化(非営利)」というまったく新しい働き方を実践する団体が存在 稲刈りの手伝いがてらお話を聞いてきた

今回僕らが稲刈りのお手伝いをさせていただいた田んぼも雑草が多かったです。人の手が入らないとさらにこの雑草が増え、やがてとなりの田んぼにも影響が出るのでしょう

――稲作を経営する上で、最大の悩みはなんですか?

近藤さん:人件費ですね。農家は家族経営が多いですから、人件費を安く済ませてなんとかってところが多いんです。だから、株式会社とかそういう企業として賃金を支払って、さらに利益をっていうのはなかなか難しいのかと思います。

――そうなると、お米の販売価格を上げる方向になると思うのですが、どうなのでしょう?

近藤さん:今年は米騒動があり、昨年よりも高価になりましたが、今回の値段をキープできれば、なんと事業は継続できるかと思います。去年までの安値だったら、やらないほうが……というのが現実です。あと、私達は自分たちで作った安心・安全なお米っていうところと、プロバスケ選手が作ったというところにブランド価値を置いておりますので、やや相場より高くても、チームのファンの方々に納得して買っていただくのがイチバンだと思っております。

――売れ行きはいかがでしょう?

近藤さん:今年は5キロ・3200円で、送料を入れても4000円なんですけど、北海道から沖縄まであちこちからご注文をいただきました。昨年は5キロ・2700円でも「高い」という声があったので、今年はだいぶ相場が変わったなという印象です。価格は選手と話し合って決めており、私は「もうちょっと高くしてもいいんじゃない」って言ったんですが、選手としては今回の価格ぐらいでいきたいとのことだったので、この値段にしました。おかげさまで反響は大きかったですね。

「農業×バスケ、ときどきニワトリの孵化(非営利)」というまったく新しい働き方を実践する団体が存在 稲刈りの手伝いがてらお話を聞いてきた

出荷待ちの「籠米」。こちらは2キロパック

――新規顧客開拓にもつながったのではないでしょうか?

近藤さん:はい。だから我々としては来年もご贔屓にしていただければと。安心・安全なお米を作っているバスケットボールチームということで、チーム活動のほうにも目を向けてくださるとありがたいですね。

――米袋にはチームのInstagramのQRコードもありましたね。

近藤さん:はい。お米からesDGz OTAKI.EXEに興味を持っていただいてもいいですし、農業とスポーツの相互にいい影響があればと思っております。最近ですと、農林水産省から農業×スポーツという取り組みが評価され、うちをモデルに全国展開したり、ノウハウを教えてくださいみたいなお問い合わせをいただきました。これからですね。長い目でやっていこうと思います。

「農業×バスケ、ときどきニワトリの孵化(非営利)」というまったく新しい働き方を実践する団体が存在 稲刈りの手伝いがてらお話を聞いてきた

籠米の袋にはチームロゴやイラスト、InstagramのQRコードが印刷されております

地域振興に力を注ぐJAPANNEXTとの親和性
「勝利至上主義はやめよう」がスローガン

――esDGz OTAKI.EXEは「地域貢献」という視点もいいですよね。

近藤さん:そうですね。チームができた時、最初に6人が大多喜町に移住したのですが、町長から20代が一気に6人も入ってきたっていうのはこの50年ではじめてと言われたぐらい、過疎が進んでいる地域なので、若い人材も限られております。なので、我々が地域の中学生のバスケチームの指導をしたり、年配の方向けにはストレッチ教室をやったりと、デュアルキャリアならではの地域貢献ができると考えています。

――都会への若い人材の流出は社会問題ですもんね。僕も宮城の田舎から上京してきた身なので耳が痛いです……。でも、千葉県だとその気になれば東京まで1時間半ぐらいだから、東北よりも立地は恵まれていると思うのですが……。

近藤さん:たしかに。私も関西の地方出身なのでそれはわかります。テレビで紹介されたところに1時間半で行けるみたいな。毎日遊ぶわけではないのだから、お休みの日にちょっと遠出するぐらいの気持ちで東京に行ける立地はいいですよね。あと、こっちは東京と比べてのんびりとした空気が流れており、今働いてくれている東京から来た女性スタッフも住み心地がいいって言ってくれています。

――JAPANNEXTでも同じようなお話をうかがいました。やはり自治体がお隣どうしということで、自然につながったのでしょうか?

近藤さん:もともと東京の企業を中心に、前職でお付き合いのあったところとかにいろいろお声がけしてたんですけど、なかなかうまくいかず。去年ぐらいからやっぱり自分たちの地元の企業さんに応援していただけるようにって考えに至り、その中で最初にお声がけさせていただいたのがJAPANNEXTさんだったんです。JAPANNEXTさんのスポンサーは本当にありがたく、お金はチームウェアとか遠征費用などにあて、ご提供いただいた75型の大画面ディスプレーは試合の作戦会議などですごく役立っております。

「農業×バスケ、ときどきニワトリの孵化(非営利)」というまったく新しい働き方を実践する団体が存在 稲刈りの手伝いがてらお話を聞いてきた

施設1Fの作戦会議室にはJAPANNEXT製の75型大画面ディスプレーが鎮座。こちらで試合を観戦しながら、作戦を立案しているとのこと。迫力満点の3×3バスケは一見の価値アリです!

――同じ地域だとシンパシーを感じる点も多いですか?

近藤さん:そうですね。JAPANNEXTさんは隣のいすみ市の振興に力を入れておられますし、いすみ鉄道つながりでもありますし(編集注:JAPANNEXTは上総中川駅、SDGs大多喜学園は東総元駅が最寄)。共通点が多いので、いっしょになにかをやる上で非常にマッチするなと感じております。

――JAPANNEXTのスポンサー活動で、esDGz OTAKI.EXEは大多喜町だけではなく、いすみ市でも愛されるチームになりそうですよね。

近藤さん:そうなったらありがたいですね。正直、現状では優勝を狙えるような力はないのですが、地元の人から愛されるチームでありたいなと思っております。強いチームだとそれこそ全国に大勢のファンがいらっしゃると思うんですが、うちのファンは本当に地元のおじいさんとか子供たちでして。それでいいと思ってます。

――子供たちもバスケを教えてくれたお兄さんたちだから応援したくなるってあると思います。

近藤さん:「明日遠藤コーチが出るから試合を見に行きたい!」とか、そう言ってくれる子もいますね。すごくうれしいことです。うちはチーム創設時から、「勝利至上主義はやめよう」っていう話をずっとしてきました。デュアルキャリアなので農業がおろそかになってもダメですし、地域貢献できないチームはファンも生まれないので。もちろん、スポンサー的には強いチームのほうがいいとは思いますが、JAPANNEXTさんは強いチームではなく、そんなうちの姿勢に共感してくださっているところがありがたいですね。

――最初はなぜディスプレーのメーカーが農業×バスケットにスポンサーしているのか不思議でしたが、お話が聞けて納得しました。本日はありがとうございました。

「農業×バスケ、ときどきニワトリの孵化(非営利)」というまったく新しい働き方を実践する団体が存在 稲刈りの手伝いがてらお話を聞いてきた

日頃運動不足のPC/IT系編集者にとっては、稲刈りは本当にいい運動になりました。アスキーチーム(写真右3人)は4人(1人は途中でダウン)で挑みましたが、それでも遠藤さんや成田さんの収穫スピードには追いつけませんでした。兼農プロアスリート、すごすぎです

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