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小島寛明の「規制とテクノロジー」 第305回

AndroidでMicrosoftストアが使えるように? “グーグル分割”の現実味

2024年10月15日 07時00分更新

文● 小島寛明

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 グーグルが複数の企業に分割されるかもしれない。

 米国時間2024年10月8日のロイターによれば、米司法省は、グーグルから一部の事業の事業の切り離しを求めるよう、裁判所に請求する可能性があることを明らかにした。切り離しの対象となる事業としては、インターネットの閲覧アプリGoogle Chromeやスマホの基本ソフト(OS)Androidなどが挙げられている。

 8月5日にはワシントンDCの連邦地方裁判所が判決で、グーグルが検索サービスで独占を維持し、反トラスト法に違反していると判断していた。米司法省は、この判決を受けて、独占状態の維持に寄与しているグーグル社内の事業の一部の切り離しを裁判所に請求すると考えられる。

 米国やEUで、グーグルを含む巨大IT企業の独占をめぐる訴訟は多数提起されているため、見落としがちなニュースだが、今回の判決は、巨大IT企業のあり方に大きな変化を及ぼす可能性があると見られている。グーグルの分割は以前から何度も取り沙汰されてきたが、今回は実現するのだろうか。

グーグルとは何をしている会社か

 巨大すぎて見えにくいのだが、グーグルとはどんな会社なのだろうか。アルファベット(Alphabet)という持ち株会社があり、グーグルはその傘下の企業のひとつに位置づけられている。ここまでは、多くの人の頭に入っている情報だろう。

 この他にも、自動運転技術を開発するWaymo、医療やヘルスケア領域に特化したVerily、老化の研究に取り組むCalicoなどが、アルファベット傘下の独立した企業として活動している。グーグル自身は、ユーチューブや、スマホOSのAndroid、インターネット閲覧アプリGoogle Chromeなど多数のサービスを提供している。GoogleカレンダーやGoogleドキュメント、Gメールなどもグーグル社が直接手掛けているサービスだ。

 グーグルが提供するサービスは、いずれも強力な検索技術と広告が密接に絡み合っている。今回、司法省がメスを入れる可能性が高いのは、アルファベットではなくその傘下にあるグーグル自身が提供するサービスの一部だ。

焦点とされたアップル、サムスンとの契約

 8月5日の連邦地裁判決では、グーグルがアップルやサムスンと締結していた契約の中身が問題とされた。アップルはiPhone、サムスンはGalaxyを製造しているが、両者とグーグルは、グーグルの検索サービスをスマホにプリインストールする対価として、グーグルが検索広告で得た収益の一部をシェアしている。こうした契約の結果として、米国で流通しているほとんどのスマホにグーグルの検索サービスがプリインストールされ、グーグルが独占的な地位を維持することに寄与してきたと指摘されている。

 グーグルが独占的な地位を維持するためのさまざまな手法に対して、米司法省は10月8日に裁判所に提出した書面の中で「是正措置の枠組み」を示している。まだ、地裁判決であるため最終的な司法判断ではないが、アップルやサムスンなど有力スマホメーカーと締結していた契約は是正の対象となりうる。つまり、iPhoneに搭載されているSafariや、Androidスマホに搭載されているChromeなどのブラウザーで、デフォルトの検索サービスをGoogleにせず、ユーザーがBingやDuckDuckGoなど好みの検索サービスを選べるようになるかもしれない。

 さらに、グーグルはChromeやAndroidも自社で手掛けているため、スマホやPCで検索を利用する際には、ほとんど自動的にグーグルの検索サービスが使われる。Androidのユーザーは、Google Playを使わなければ、新しいアプリをインストールできないが、司法省は、アプリストアも自社の検索サービスの独占を維持するために使われてきたと主張している。

 競合となるアプリストアも使えるようにすることで、競争を促す可能性はあるだろう。そうなると、マイクロソフトが提供するアプリストアMicrosoft Storeなどが、Androidで使えるようになるかもしれない。司法省側は、2024年11月までにより具体的な提案を書面として裁判所に提出するという。

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