筆者はインディーズゲーム開発スタジオAI Frog Interactiveの代表をしています。9月26日から29日にかけて開催された「東京ゲームショウ2024」のインディーゲームブースに出展したとき、AIを使ったゲーム開発について複数のテレビメディアの取材を受けました。そこではキャラクターデザインのアイデア出しなどで、画像生成AIの強みが発揮できるという話をしています。
発注指示書レベルのアートワークならAIで作れる
今年のゲームショウでも、テレビメディアが注目したのは生成AIを含むAIのトピックでした。日本のゲーム業界でも、生成AIの導入は進んでいるという実感はあるのですが、生成AIを使っていること自体がゲームを面白くするわけではないので、売りになる要素とはいえません。そのため、生成AIを開発過程で使っていること自体を押し出している企業はほとんどいないという印象です。そんななか、小社は「AIを使っている」ことを公言しているインディーゲーム会社ということもあり、取材がしやすかったのではないかと思います。
小社の社名には「AI」が含まれていますが、これは生成AIだけを示しているのではなく、多数のAIツール機能を搭載しているようなゲームエンジン「Unreal Engine 5(UE5)」等も含め、ゲーム開発を効率化し、ゲームそのものの面白さを追求できるようにAI技術全般を積極的に利用していこうという意味を含めています。ただ、現在のゲーム開発の中で、AIが指し示す範囲は、敵の制御から、地形生成、物理演算など、非常に多岐にわたり、一般的にわかりにくい要素も多数含まれています。そのため、取材の求めは生成AIを使っている部分に集中している印象はあります。
実際、筆者が開発しているゲーム「Exelio -エグゼリオ-」は、フル3Dのサバイバル系クラフトゲームであり、ゲームの実行中に生成AIを使っている部分はほとんどありません。生成AIで作った3Dデータも使っていません。生成AIで作り出される3Dデータは精度が低く、まだゲーム中に直接導入できる品質には達していないと判断しているためです。あくまで開発過程に組み込んで使えると判断したものを選定して使っています。
▲東京ゲームショウに合わせて公開した「Exelio -エグゼリオ-」のディザームービー。Steam Store
小社は2023年1月に創業していますが、開発を始めた早い段階から、画像生成AIは2Dデザインの一部に使えると判断していました。最終的な3Dモデルは人間が3Dツールを使って作成しなければなりませんが、3Dモデル作成者が参考資料とする発注指示書レベルのアートワーク水準であれば作れると判断していました。
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