距離を問わずに焦点を合わせてくれる点はメリット大だが
視野の広さという点では人間にマッチし切れてない部分もある
このことからもわかるように、ViXion01はメガネのように目の前に装着する自動焦点の拡大率ゼロのズームレンズのようなデバイスだ。白内障手術前の筆者のような高度近視だと、目の前2~3cmでも見えるが一般的に老眼と言われる人は目の前30cm以内だと見えずらいことが多い。ViXion01は前述したように自動焦点の可能な距離は人の目に近い5cm~無限だ。しかし視界の広さは今のところ人には追いついていない。
健常者の視野は左右の目を合わせると前方を中心に180度以上あり片眼の視野は鼻側に約60度、耳側に約100度、上方向に約60度、下方向に約70度とかなり広いという。一方で、ViXion01は視野に関する情報が公開されていない。しかし小さなレンズをメガネのように目の前にある程度の距離をおいて装着するので、人の裸眼やメガネ装着時の視野とはかなりの差がありそうだ。
実際に今、裸眼視力が左右0.4程度の筆者がViXion01を装着して、いろいろと場所を変えて7インチのポメラDM 250やThinkPad X1 nanoで文章を入力。その内容をスマホなどで検証している。
スマホもポメラもThinkPadも画面サイズは6.73~13.3インチと2倍以上の開きがあるが、いずれも30~40cmの距離で使うことが普通なので不自然さや使い辛さはあまり感じない。視野的にも十分にViXion01の守備範囲だ。
次に同じ原稿を普段原稿書きに使っているEIZOのFlexScan37.5インチ曲面モニターで画面まで30~40cmの距離で続きを書いてみた。中央に位置するテキストエディター画面はViXion01の正面に位置するので問題ない。
ところが左右に配置したChrome(左側)とPaintShop(右側)を見る場合は、いつものメガネをかけているときの習慣が出てしまう。実際にはほとんど頭を動かさずに、普段のくせで視線だけを目的のアプリに向けてしまう。その結果、ViXion01のレンズから視線が外れてしまい、ViXion01による視力矯正が働かず左右に開いたアプリの細かな文字が見え辛い。
視野の左右を見る場合は常に首を振って頭全体を動かせばいいが
どうにも人の行動としては不自然さを感じる
もちろん解決方法がまったく無いわけではない。左右のアプリを見る場合は、目線の移動だけでは無く左右に25度ずつ首を振って頭全体を動かして見ることで問題なく読めるのだが、どうもこれは人のモノを見るという標準的な行動としては不自然な気がしてしまう。まったく首を動かさずに見ることは少ないとは思うが、少し首を左右に振るのと視線の移動の組み合わせが現実的だろう。
これはViXion01を装着して大型テレビを画面からどの程度の距離で見るかというケースでも同様だ。筆者宅では60インチのTVを使っているが、3m離れれば問題なくViXion01を装着していても見ることができるが、リビングの床に寝ころんで1.5mあたりの距離だと全画面を見るのに首の運動が必要だ。
今までViXion01を装着して遠方(2m以遠)や最も使用頻度の高そうな近接距離(30~40cm)、テレビなどを観る中距離(1.5~3m)でのViXion01の操作性を見てきた。続いて筆者もよくやる作業なのだが近接距離よりもっと近い目の前、5~10cmの距離での見る作業が必要な腕時計のバッテリー交換をやってみた。
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