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新幹線、進歩続けて60年 次は運転士が消える時代へ

2024年10月02日 18時00分更新

文● @sumire_kon

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高速運転を支える数々の技術

 在来線の2〜3倍の速さで走る新幹線は、安全性や環境への配慮から、在来線とは異なる技術も数多く開発されてきた。

●ATC(自動列車制御装置)

 時速200km以上で走っていると、線路脇の信号機や標識を十分に目視できない可能性も出てくる。そこで開業にあわせて開発、導入されたのがATC(Automatic Train Contro/自動列車制御装置)だ。

 ATCは線路脇に物理的な信号機や標識を設置する代わりに、車両の運転台にその区間で出せる最高速度を表示するというもの。制限速度を超えた場合は、システムが自動で減速してくれるので、運転士は手動扱いとなる加速と低速域のブレーキ操作に専念することができる。

速度計に内蔵されたランプで制限速度を表示していた0系の運転台

速度計に内蔵されたランプで制限速度を表示していた0系の運転台(写真AC

 2024年現在は列車間隔の最適化や、スムーズな減速を実現した発展型のデジタルATCに置き換わっており、列車の増発や乗り心地の向上に寄与している。

●CTC(列車集中制御)

 CTC(Centralized Traffic Control/列車集中制御)は、中央の指令室から担当路線のすべての列車の位置、各駅のポイントの切替状況などを常時監視、制御する仕組みで、在来線でも比較的ポピュラーな存在だ。

 2024年現在、新幹線ではダイヤ乱れ時の運転整理支援や車両管理、旅客向けの案内板制御など、複数の機能を統合した発展型のPTC(Programmed Traffic Control/列車運行管理システム)が使われており、回復ダイヤの設定など、人の手を介した作業は減少している。

●騒音を減らす不思議な「鼻」とパンタグラフ

 新幹線の先頭車は、初代の0系では旅客機のような丸みを帯びた流線型だったが、最近のN700SやE5系などではカモノハシのクチバシのような、何ともいえない独特の形をしている。

E6系新幹線の先頭部

 これは高速走行に発生する空気抵抗や騒音、トンネル突入時に発生する(トンネルドン)などを軽減する効果があり、住宅街など人口密集地帯を高速で通過する日本の新幹線特有の事情から発展した技術だ。

 また、架線から電気を受け取るパンタグラフも騒音の発生源となるため、小型化やカバーの取り付け、静かに飛ぶフクロウの羽根をヒントにした表面加工など、数々の試行錯誤がなされてきた。そのなかでも、60年前と比べ特に変化が大きいのがパンタグラフの搭載数。16両編成の場合、初代の0系では8個もパンタグラフを使っていたのに対し、最新のN700Sではわずか2個にまで減少している。

●カーブの高速通過を実現する車体傾斜装置

 東海道・山陽新幹線ではN700系から、カーブの多い東海道区間の所要時間を短縮するため、カーブ通過時に車体を傾け、より高速で通過できるようにする車体傾斜装置が搭載されている。

 最初に建設された東海道新幹線は、あとから建設されたほかの新幹線よりきついカーブもあり、所要時間短縮の妨げとなっていた。車体傾斜装置は、このボトルネックを打破するための最終兵器に近い存在だ。

 なお、車体傾斜装置自体は、N700系の後に登場した一部の新幹線車両(E5系など)でも採用されており、こちらは元々緩めのカーブをさらに高速で通過するために使用している。

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