40歳を目前にオランダへ移住!長年の夢だった海外での生活をかなえるべくライフシフト
現在、オランダでフリーランス(個人事業主)として働くほか、日本人向けの求人サイトやマーケットプレイス型のサイトを運営している矢島七瀬さん。国家資格を持つ専門技術職をはじめ日本での安定した生活を手放し、オランダへの移住というライフシフトを果たしたのは彼女が40歳になる直前のこと。そんな矢島さんに移住にいたった経緯から、オランダでの仕事、プライベート、さらには日本人がオランダに移住する際に知っておきたいことまで、さまざまな角度から話を聞いてみた。
すべての画像を見る場合はこちら眼鏡店勤務から視能訓練士へのキャリアチェンジを経て、海外への挑戦を決意
オランダへの移住の話へと入る前に、まずは矢島七瀬さんのこれまでの経歴に触れておきたい。大学卒業後、七瀬さんは眼鏡店での勤務を経て、視能訓練士の資格を取得するべく医療の専門学校に入学する。視能訓練士とは、視機能の検査や小児の斜視や弱視の訓練を行う専門技術職で、国家資格となる。
「眼鏡店に勤務していたころ、多くのお客様の目を検査する中で、『もっと専門的に眼科の勉強をしたい』と思ったのが最初のきっかけです。キャリアチェンジを考えていたころはまだ26歳だったので、ワーキングホリデーに挑戦するかどうかで迷っていました。学生のころから海外への憧れはあったものの、家庭の経済状況に余裕がなかったため、海外はただの夢として普通の学生時代を送っていたので。ただ、私の世代は就職氷河期を経験していたこともあり、この時は〝手に職〟を優先することに…。そのおかげで安定した収入や貯金ができたので、後悔はしていませんが、あのタイミングで海外に挑戦しなかったことに、10年間ずっと後ろ髪を引かれる思いでした」
七瀬さんは「医療職は安定しているはず」と考え、はっきりとは決まっていないが、将来いつか来る〝何か〟のために資金を貯める、準備をしておくつもりだったという。そして、夜間の専門学校に4年間通ったのち、31歳で国家資格を取得。医療機関で働きながらも、いつか海外で生活をしてみたいとの思いから、オンラインで稼げる方法はないかと試行錯誤。2018年ごろからブログアフィリエイトや副業ライターもスタート。それなりに蓄えができたタイミングで、かねてからの夢だった海外留学を決意する。
「視能訓練士としての経験を十分に積んだころ、次のステップアップをどうしようかと考えていたタイミングで、あこがれだった海外に挑戦してみようと。37歳で医療機関を退職してアイルランドへ語学留学したのですが、パンデミックと重なり、10か月の滞在予定が2週間での緊急帰国という結果に…」
アイルランドからの帰国後は職場の厚意もあって復職がかない、副業ライターもしつつ、再び貯蓄をしながら、次なる道を模索し始めた七瀬さん。留学は10か月と短期だったので、もっと長期で滞在できるビザがないか調べることに。
「日本人はオランダでのビザを取りやすく、いったん取得したら最低2年間、更新ができたらさらに5年間滞在できると知りました。語学試験や収入などの条件をクリアすれば永住権も取れると知り、ぜひ挑戦したみたい!と。そこから、金銭面を含めて綿密に計画をたて、思い立ってから2年後の39歳8か月の時にオランダへ移住しました。日本を出国する直前に、当時運営していたブログを見たスタートアップ企業から声がかかり、リモートでWebコンテンツ(記事、デザイン)を作る仕事を獲得。日本円での収入ではありますが、オランダ移住後も、しばらくはこのリモートでの仕事で生計を立てることができました」
子供のころからゲームや本の影響を受けヨーロッパへの憧れがあったという七瀬さん。最初はヨーロッパならどこでもよかったということで、ほかに長期滞在が可能なジョージアやスヴァールバル諸島(ノルウェー領)も候補にあがっていたという。
「ポルトガルも永住権を取得しやすいと聞きましたが、一定額以上の現地不動産を所有していないといけないため、経済的に不可能だと諦めました。結果的にオランダなら個人事業主ビザで2年の滞在ができるし、ビザの更新ができなかったらジョージアやスヴァールバル諸島に観光ビザで入って、できるだけ長く海外生活をしようと考えていました」
海外での暮らしが夢だったとはいえ、アラフォーになってからの移住に不安や迷いはなかったのだろうか。七瀬さんを海外移住という思いに突き動かしたものは何なのか聞いてみた。
「時間が無限だと感じていた若いころと違い、〝人生は有限である〟と気づいてしまい。30代後半になると確実な老いを感じ、少しずつ死に近づいているのだと感じるようになったんです。変な話ですが、余命宣告を受けたような感覚というか。もし自分の余命がわかったら、何が何でも悔いがないように生きようと思いませんか? 私の頭にあったのは、安定した職と社会的地位、家や持ち物をすべて捨てたとしても、日本を離れて暮らしてみたいという海外生活への強い願望でした。まともに考えたらリスクしかありませんが、いつ死ぬかわからないなら後悔だけはしたくない、という思いだけに突き動かされたような気がします。それに、私には医療の資格があったので、もし2年後に日本に帰らざるを得なくなっても、日本全国どこかしらで職は見つかるだろうと(笑)」
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