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データ基盤でAI開発可能なメリットを自社で活かす

グローバル8000人規模のITサポートを自動化 SnowflakeがAI開発の自社事例を披露

2024年08月21日 14時00分更新

文● 大谷イビサ 編集●ASCII

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 2024年8月21日、データクラウドを展開するSnowflakeは、「Snowflake for IT」と題した自社事例を披露した。説明したのはSnowflake Chief Information and Data Officerのサニー・ベディ(Sunny bedi)氏になる。

Snowflake Chief Information and Data Officerのサニー・ベディ(Sunny bedi)氏

従業員のサポートをSnowflakeのAIアプリで実現

 Snowflakeはデータウェアハウス、データ分析基盤、データマーケットを統合した「データクラウド」を提供する。現在は、データ基盤にAIを統合しつつあり、アプリ開発環境のSnowparkやLLMの実行環境であるCortex LLM、Cortex上でのRAG構築、各種AIファンクションなどを提供。また、Snowflake Horizonと呼ばれるセキュリティレイヤーも用意しており、ガバナンスやデータ漏えい対策にも対応している。

 今回紹介されたSnowflake for ITは文字通り、IT部門でのSnowflakeの自社事例を解説する内容。具体的には、グローバルで8000名におよぶ同社の従業員をサポートするAIアシスタントのデモが披露された。

 ベディ氏が事例として挙げたのは、「Employee for AI」と呼ばれる新入社員のオンボーディン用チャットボットだ。「Slackをモバイルフォンに入れたい」と訪ねると、インストール方法や利用に際するドキュメントなどが表示され、「出張に出る場合は、どうすべきか?」といった質問に関しては、申請や旅費精算の方法を教えてくれる。「同僚や上司に手順を聞かなくても大丈夫だし、問い合わせに対するITチケットも不要だ」とベディ氏はアピールする。

「シャンペンを飲む」過程でAIの回答をレベルアップ

 アプリ開発は1ヶ月かからなかった。900あまりに及ぶ各部門の「ナレッジアーティクル」のドキュメントを学習させ、回答を生成するようにした。一番時間がかかったのは「クリーニング」と呼ばれるドキュメントのアップデート。古い内容を更新し、正確性を期すためのある意味泥臭い作業に労力を費やしたわけだ。

 Snowflakeでは社内での自社製品利用を「ドッグフーディング」ではなく、「シャンパンを飲む」と呼ぶ。「危ないモノを試す」というより、「初物を開ける」といったポジティブな意味合いだろう。この「シャンパンを飲む」過程においては、不適切な回答や誤回答を防ぐため、ユーザーがチャットボットの回答に対してフィードバックを行なうという。もちろんガードレールも設けられており、不適切な質問には回答しないよう設定されている。

 今後は役職やペルソナに合わせたトレーニングが進み、より回答の精度も高まっていくという。ソフトウェア開発であえば、QAやテスト過程はAIに任せ、設計や開発などに注力できるという。最後、ベディ氏は、「データがなければ、AIはない」と語り、データ基盤でAIの開発ができるというSnowflakeならではのメリットを強調した。

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