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最新パーツ性能チェック 第445回

「Ryzen 7 9700X」「Ryzen 5 9600X」のゲーミング性能はゲームキングRyzen 7 7800X3Dに勝てる?

2024年08月08日 15時00分更新

文● 加藤勝明(KTU) 編集●北村/ASCII

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「Mount & Blade II: Bannerlord」

 Mount & Blade: Bannerlord IIでは画質“Low”設定としたが、アンチエイリアスにFXAAを追加。さらにBattle Sizeを最大の1000とし、1000人の兵士が画面内に登場できるよう設定。ゲーム内ベンチマーク再生中のフレームレートを計測した。

Mount & Blade II: Bannerlord:1920×1080ドット時のフレームレート

 このゲームも1CCD構成のRyzen 7 7800X3Dが輝く。兵士のアニメーション処理にCPUパワーをやたらと使うのだが、CCDまたぎが発生するのが相当なハンデになっており、結果としてCCDまたぎのないRyzen 7 7800X3Dが最強ということになる。

 Ryzen 7 9700XはRyzen 9 7900X3Dには一歩及ばないものの、Ryzen 7 7700Xに対してはしっかり優勢を発揮できている。Ryzen 5 9600XについてもRyzen 5 7600Xより優秀だがRyzen 9 7900Xには微妙に負けている。

Mount & Blade II: Bannerlord:ベンチマーク中のCPUおよびシステム全体の消費電力(平均値)

 CPUの消費電力傾向についてはこれまでと同じ。ゲームにおいてRyzen 9000シリーズはTDPが7000シリーズよりも低く設定されているが、実消費電力は7000シリーズよりもやや高い。

「Homeworld 3」

 最後に検証するHomeworld 3では画質“低”に設定。アップスケーラーはFSR 2だがレンダースケールは100%とした。ゲーム内ベンチマーク再生中のフレームレートを計測した。

 なお、このゲームはWindows側からゲームとして認識されていなかった(8月初頭時点)ため、Game Barを利用してゲームであることを手動で指定している。

Homeworld 3: Bannerlord:1920×1080ドット時のフレームレート

 Ryzen 7000X3Dシリーズがその他のCPUを置き去りにしているが、Ryzen 9000シリーズは7000シリーズよりも高いフレームレートを出している。Ryzen 9 7950Xや7900Xのフレームレートが伸びきらない理由は不明だ。

Homeworld 3: Bannerlord:ベンチマーク中のCPUおよびシステム全体の消費電力(平均値)

 ここまで見てきた通りの消費電力傾向となった。Ryzen 7 9700Xは7700XよりTDPが下がっても性能が高いため消費電力微増となるという傾向はゲームにおける処理ではほぼ共通であると断言していいだろう。

 すると今後登場するTDP 170WのRyzen 9 9950XはRyzen 9 7950Xと同じTDPである。つまりRyzen 9000シリーズの上位モデルの消費電力は今回のRyzen 7 9700Xのイメージを覆す可能性すらある。

ゲームでもRyzen 9000シリーズは強いが
3D V-Cache搭載モデルの登場が待たれる

 以上でRyzen 9000シリーズレビューの後編は終了だ。今回発売になったRyzen 7 9700XおよびRyzen 5 9600XはTDPが抑えられているためにマルチスレッド性能は既視感の強いものだったが、シングルスレッド性能や浮動小数点演算性能は格段に伸びており、PhotoshopやAI処理において大きな伸びを発揮した。

 一方、今時のマルチスレッド化が進んだゲームにおいては前世代の同格モデルを少々上回る程度にとどまる。しかし一部ゲームでは絶対王者であるRyzen 7000X3Dシリーズを上回るどころか、Ryzen 7 9700XがRyzen 9 7900X3Dを上回るシーンすら観測できた。

 消費電力はRyzen 7000シリーズよりも若干増えてしまったが、発熱量は前編で確認した通り7000シリーズより圧倒的に低いため、空冷クーラーでも運用しやすいという点は多いに評価すべきである。

 ただ筆者としてはRyzen 7 9700Xはもう少しTDPを引き上げてもよかったのではないかと考える。PhotoshopやF1 24で良好なパフォーマンスが出るとなっても、今ひとつパンチがない。

 低消費電力&低発熱でスゴい! となるのはある程度CPUについて知見を積み重ねた“訓練された自作er”だろう。そうでない人にもインパクトを与える“あと一歩”が欲しいところだ。

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