このページの本文へ

前へ 1 2 次へ

「AWS Summit Japan 2024」レポート

AWSの内製化支援と“サーバーレス 三種の神器”でここまでやれる

ゼネコン現場社員が3年でここまで開発、戸田建設の内製化は「外部頼みでいいのか」から始まった

2024年08月01日 08時00分更新

文● 福澤陽介/TECH.ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

戸田建設社員の“三種の神器”、今後は生成AI・コアビジネスにも

 実践的なワークショップをベースに、短期間で学んできた戸田建設の社員。彼らは皆、クラウドネイティブでもなく、「サーバーレスネイティブ」なエンジニアになっていった。「ApacheやPHPは『なんすかそれ?』という状態。基本的に、彼らが“三種の神器”と呼ぶサービスで開発する」と佐藤氏。

 三種の神器とは、サーバーレスの基本サービスである、オブジェクトストレージの「Amazon S3」、サーバーレスでコードを実行する「Amazon Lambda」、LambdaなどをAPIとして実行する「Amazon API Gateway」の3つだ。

戸田建設の三種の神器

 この三種の神器を活用することで、サーバーもしくは管理をする人への“ご機嫌伺い”が不要になり、プログラムに集中できる。プログラムは、JavaScriptをゼロから書くのは大変なため、内製化支援パートナーに教わりつつ、「Vue.js」や「React」といったフレームワークを活用した。

 APIでやり取りするのがデフォルトになっているため、生成AIの登場にも飛びついた。同社のDX推進室では、生成AIで“すぐ使えるDXツール”を2つ開発している。

 ひとつは、AIモデルが切り替えられるチャットツールで、何でも相談でき、社員に気軽に生成AIを体験してもらう目的で作られた。もうひとつは、議事録の生成ツールで、音声ファイルをもとに文字起こしを行い、要約までしてくれる。現在は、エンタープライズ検索サービスの「Kendra」を用いて、現場の技術系のドキュメントを対象とした、自然文のベクトル検索を検証中だ。

戸田建設の議事録ツール、AIモデルによっては話者分離の機能も使える

 今後の内製化チームのチャレンジは、実務データを扱うこと、コアビジネスにもアプローチすることだ。

 「この前まで現場にいた“にわかエンジニア”が基幹システムに接続するのか、という疑問もわかるが、DBに接続したいのではなく、API経由でJSONをもらいたいだけ」だと佐藤氏。CDataのソリューションでアクセス制御しながら、APIで様々な基幹データが取得できる仕組みを構築している。

実務データへのアプローチ

 一方のコアビジネスについては、2024年秋に完成予定の新本社ビル「TODA BUILDING」で実装する「スマートビルディングサービス」を開発中だ。空調や照明、防災などのシステムをプラットフォーム化して、従業員向けのスマホアプリとつなげ、設定の制御やエレベーターの呼び出し、混雑状況の可視化などのスマートオフィスサービスを実現する。

 維持管理におけるデジタルツインにも取り組んでおり、プラットフォームとも連携させて新たな付加価値を創出できないか挑戦中だ。これらをすべて内製で開発するのは難しいため、3人のメンバーがベンダーと協力して、アジャイルで進めている。

BIMデータを使ったデジタルツイン

互いに勉強してベンダーと“バリューアップ”していく

 最後に佐藤氏は、改めて「丸投げはやめよう」と呼びかけ、「AWSはサービス部品の集合体で、想像以上に日々高度化、多様化していく。だからベンダー任せだと、良いも悪いも分からなくなってしまう」と強調した。

 まず、自分達で組み立てて“運転する”ことにチャレンジする、そのために勉強して、免許となる資格をとる。若いメンバーだけではなく、意思決定する立場の人間もとらなければならない。佐藤氏もASSOCIATEの資格を社内で最初に取得した。

 そしてベンダーに対しても、「ベンダーがいらないなんて夢を見ていない。でも言われたことだけやるという姿勢は止めて欲しい。ベンダーこそ新しいことをどんどん勉強して欲しいし、我々に新しいことをどんどん教えて欲しい。それによりパートナーとして一緒に“バリューアップ”していきたい」と語った。

■関連サイト

前へ 1 2 次へ

カテゴリートップへ

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

この連載の記事

アクセスランキング

  1. 1位

    ITトピック

    情シス人材不足でも「採用予定なし」中小企業の意見/“従業員発のSNS炎上”6割の企業が懸念/「SNS疲れ」利用を減らす効果的方法、ほか

  2. 2位

    ビジネス・開発

    「Gemini Enterprise」に大規模導入の波 ― SOMPO・NTTデータ・Skyが描く“エージェント企業”への進化

  3. 3位

    sponsored

    キャッシュレス決済の利用シーンを広げる 三井住友カードの「stera terminal light」とソフトバンクのIoT回線

  4. 4位

    sponsored

    60年の時を超え「COBOL」がGitHub Copilotでよみがえる 勘定系アプリの“超難関”モダナイに7社が挑戦

  5. 5位

    sponsored

    “120TB消失危機”を救ったBox。ゼネラルが挑むグローバルデータ統合の舞台裏

  6. 6位

    データセンター

    「関東・関西に次ぐDC集積地」目指す 北海道・石狩でデータセンター連合 さくら、NTT東らが参画

  7. 7位

    TECH

    パンや酒、チョコづくりにも関わる微生物「酵母」の進化を追求

  8. 8位

    YouTube

    ぶっちゃけ、あのSaaSってどう!? 情シスがガチ格付け! 本当に使えるツールを決める最強SaaSティア決定戦!!

  9. 9位

    デジタル

    異常検知からロボット走行、車両制御まで —— 現場を遠隔化・自動化するSORACOM活用のIoTソリューション

  10. 10位

    TECH

    プロアクティブDNSでDNSをセキュリティ基盤へ 福岡大学でも「運用課題なし」の実績

集計期間:
2026年07月29日~2026年08月04日
  • 角川アスキー総合研究所