みなさんこんにちは。新横浜ラーメン博物館30周年企画の一環として今年2月より、ラーメン職人の隠れた潜在能力や新たな才能を発掘するラーメンコンテスト「佐野実メモリアル ラーメン登龍門2024」を展開してまいりました。今年6月2日(日)に最終選考(決勝戦)が開催され、上位3店舗がラー博に出店致します。
前回の記事はこちら:ラーメン登龍門【準優勝】らーめん愉悦処 鏡花 八王子想庵「和山椒薫る、極上味噌鶏清湯」
過去の連載記事はこちら:新横浜ラーメン博物館のウラ話
佐野実メモリアル ラーメン登龍門2024の概要につきましてはこちらをご参照ください。
準優勝の「らーめん愉悦処 鏡花 八王子想庵」に続き、8月1日(木)からは優勝した「博多文福」さんの出店です!
【出店情報】
店舗名:博多文福
出店期間:2024年8月1日(木)~1年間
場所:新横浜ラーメン博物館 地下1階(準優勝 鏡花 八王子想庵 跡地)
まずは店主島津智明さんの経歴からご紹介いたします。
島津智明(しまづともあき)1980年福岡生まれ。
1998年、専門学校時代に一風堂大宰府インター店でアルバイトを始める。働いていると「ラーメン業界を変えてやる」という志の高い人たちばかりで、「こんな風になりたい」「この人たちと一緒に働きたい」と2000年に一風堂(力の源カンパニー)に入社。
2002年に一風堂五反田店の店長として赴任。当時としては最年少(22歳)の店長でした。2005年には関東のエリアマネージャーに就任。こちらも当時としては最年少(25歳)でした。
そして2008年「IPPUDO NY」の立ち上げにOperation Managerとして参画。以後7年半の海外で、一風堂の北米エリアの責任者として、韓国、香港、オーストラリア、イギリスの新規参入国の立ち上げに携わる。
7年半の海外生活を経て、国内の一風堂営業本部長や取締役を歴任。2021年5月、アルバイト期間を含め22年間働いた一風堂を卒業。2021年12月、福岡県春日市に「博多文福」を開業。
そして今回、どのような経緯や想いでラーメン登龍門にエントリーしたのか?店主の島津さんに伺いました。
「私は20数年間、一風堂、そしてラーメンに携わってきました。独立するに際に、地元福岡で開業すること、そして5年以内に海外へ日本の食文化を届け、人モノの交流を作るという目標を掲げておりました。そしてとんこつラーメンが福岡のご当地ラーメンとして、地元の人に愛されるように、私は福岡・博多で新しいご当地味噌ラーメンを作りたいという想いがありました。地産地消を考えたときに、今回のラーメン登龍門のテーマが”味噌”と”国産小麦”でしたので、この大会をきっかけに1つの形を表現したいと思い、応募致しました」
「とんこつの聖地」で何故”味噌”なのか?
島津さんの経歴を見るとわかるように、20数年間働いた一風堂はとんこつラーメンのお店ですし、開業した福岡は「とんこつラーメンの聖地」です。何故そのような経歴と福岡という立地において味噌ラーメン専門店を開業したのでしょうか?島津さん曰く「独立する際、味噌ラーメン専門店をやると言ったら『なんで味噌?』と100人以上に言われました(笑)味噌を選んだ理由は色々な国で暮らしてみて、あらためて日本の発酵文化や醸造文化の面白さ・奥深さに気づいたからです。
醤油や味噌、日本酒など、その技術は古くから日本の暮らしに根付いていて、地域によって味に違いがあります。そこから”みそソムリエ”の資格も取り、学びを深めていく中で、とんこつの聖地福岡だからこそ、味噌ラーメンで挑戦する価値があるのではないかと考えました」とのこと。
島津さんが試行錯誤のうえ辿り着いたのは、あえて火入れをしない”生味噌”です。生味噌を使用するのは、麹(こうじ)が生きている感じを表現するためで、スープの熱で麹が変化していき、食べ始めと食べ終わりまで飽きずに食べられるという設計です。島津さん曰く「味噌を勉強していくうちに、火を入れることにより味は安定しますが、味噌本来の特徴が失われ、勿体ないな~と思うようになりました。生味噌はスープの熱で麹が変化し、酸味だったり塩味、旨味というものが変わっていくのが面白く、それを丼1杯の中で表現したかったのです」とのこと。
島津さん曰く「パンチの効いた濃厚味噌ラーメンも個人的には大好きですが、私が目指しているのは小さな子供からお年寄りの方まで味わえて、毎日でも食べられるような”ほっこり”できる味噌ラーメンです。そして地元を離れた若い子たちが帰省したら”久しぶりに文福行こうか!”といって家族や友達と食べに来たくなる町のラーメン屋さんを目指しています」
味噌ソムリエである島津さんがラーメン登龍門で使用した味噌は、福岡、長崎、信州、仙台、北海道の5種類をブレンド。福岡ということもあり、麦味噌が主体ですが、白も赤も、豆味噌の風味も生かし、火入れをしない”生味噌”が特徴です。そのブレンドした味噌に和だしや九州産醤油、香味野菜をなどを合わせて寝かせます。
スープは福岡らしく、豚骨主体の白湯に和だしをブレンドしたWスープ。豚骨を主体とし親鳥や香味野菜を加え、白濁させた白湯スープと、羅臼昆布、鰹の厚削り、椎茸、煮干し等からとった和だしを別々にとり、営業直前にブレンドします。コンセプトに合わせ幅広いお客様に、毎日でも食べたくなるスープを目指したとのことです。
そして、麺は様々な国産小麦を試した中、地産地消を考え福岡県産の「ミナミノチカラ」100%で勝負しました。福岡に馴染みのない新しい麺を目指しました。加水(麺に加える水の量)は35%の多加水麺。
そして、今回最もポイントとなったのが太麺と細麺をミックスして提供するという点です。
麺の生地自体は同じなのですが、太麺(切刃10番)は平打ちの形状、そして細麺(切刃24番)はちぢれの形状と、太さも食感も大きく異なる2種類の麺を1度で味わえ、愉しめます。
ラーメン登龍門の決勝戦では多くの審査員がこの麺を評価していました。
ここで審査員のコメントをご紹介いたします。
麺の食感はつるみがあって良かったですし甘味も感じました(飯田将太様)
麺の食感、長さ、茹で加減文句なしです!(井上こん様)
同じ麺帯ながらも食感・風味がかなり変わりどちらも良い(前島司様)
太麺も細麺も食感良く、スープも良く絡んで美味しい(海老名東人様)
島津さんによると「太麺・細麺では茹で時間が異なるため、全てのオペレーションをミックス麺で行うのは大変ではありますが、評価をいただいたのと、是非皆さんに食べていただきたいという想いがありますので、頑張ります!」とのことです。
具材は、国産豚の肩ロース、モモ肉の2種チャーシューを1枚ずつ。キクラゲ、和だしで炊いた太メンマ、青ネギ、そしてクルトン替わりにガーリックオイルで揚げた高野豆腐がアクセントになっていますチャーシューの厚みや、各食材は食感を楽しむチョイスにしており、福岡の味噌ラーメンや博多ラーメンと差別化した具材にしています。
最後に出店に向けて島津智明さんよりメッセージです。
自分の中では優勝すると思っていなかったので、優勝の発表があった時、嬉しさよりも、びっくりしたというのが本音でした。それと同時に、オープンまでの2ヶ月でどう準備しようかと、頭の整理がつかない状態でした。優勝後、友人や先輩、後輩から多くの祝福をいただき、さらに責任の重大さを感じました。しかし、ラー博への出店という中々得ることの出来ないきっかけをいただきましたので、私自身、開業時に掲げた目標に向けて今回の出店は次なるステージと捉え、これまでの想い・経験・感謝を1杯の丼に注ぎたいと思います。
【出店情報】
店舗名:博多文福
出店期間:2024年8月1日(木)~1年間
場所:新横浜ラーメン博物館 地下1階(準優勝 鏡花 八王子想庵 跡地)
まずは店主島津智明さんの経歴からご紹介いたします。
【博多文福本店情報】
住所:福岡県春日市須玖北9-62
お愉しみに!
新横浜ラーメン博物館公式HP
https://www.raumen.co.jp/
・X(旧Twitter):https://twitter.com/ramenmuseum
・Instagram:https://www.instagram.com/ramenmuseum/
・Facebook:https://www.facebook.com/raumenmuseum
・LINE:https://lin.ee/k9AJTKt
・YouTube:https://www.youtube.com/rahakutv
この連載の記事
- 第50回
地方活性
ラーメン登龍門【準優勝】らーめん愉悦処 鏡花 八王子想庵「和山椒薫る、極上味噌鶏清湯」 - 第49回
地方活性
ラーメン登龍門【第3位】手打ち麺 あお井 とら食堂直伝の“限定手打ち麺” - 第48回
地方活性
博多ラーメンに旋風を巻き起こす"豚骨カプチーノ「博多一双」 - 第47回
地方活性
あの銘店をもう一度がついにフィナーレ!! 大トリは横浜「六角家1994+」 - 第46回
地方活性
あの銘店をもう一度 第29弾 初代の味が復活 岩手・久慈「らーめんの千草」 - 第45回
地方活性
あの銘店をもう一度“94年組” 第6弾 白丸・赤丸誕生前の原点の味 博多「一風堂1994」 - 第44回
地方活性
あの銘店をもう一度 第28弾 カナダ発の行列店 カナダ・トロント「RYUS NOODLE BAR」 - 第43回
地方活性
あの銘店をもう一度 第27弾 春木屋1番・2番・3番弟子が集結「春木屋郡山分店」 - 第42回
地方活性
あの銘店をもう一度”94年組”第5弾 30年前の濃厚味噌ラーメンが復活!! 札幌「すみれ1994」 - 第40回
地方活性
あの銘店をもう一度第26弾 欧州全土の食通が訪れる銘店 ドイツ「無垢ツヴァイテ」